百万塔(読み)ひゃくまんとう

精選版 日本国語大辞典「百万塔」の解説

ひゃくまん‐とう ‥タフ【百万塔】

〘名〙 供養塔の一つ。奈良時代、天平宝字八年(七六四)恵美押勝の乱後に称徳天皇が造らせて畿内の十大寺に納めた百万基の木造の三重の小。高さ約二一・四センチメートル、基の径約一〇・五センチメートル。ろくろ挽(びき)で造り、中の空洞に印刷した無垢浄光経の根本・相輪・慈心・六度の四種の陀羅尼(だらに)一巻ずつが納めてある。この陀羅尼は木版で印刷され、世界最古の印刷物といわれる。法隆寺に四万五七五五基が現存する。
※観古雑帖(1841)一「百万塔并塔中所納陁羅尼」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「百万塔」の解説

百万塔
ひゃくまんとう

称徳天皇が,天平宝字8 (764) 年に藤原仲麻呂の乱平定ののちに弘願を発して製作した 100万基の小塔。宝亀1 (770) 年に完成し,近畿の十大寺に分置されたが,法隆寺の分のみが伝存している。総高約 21cmの木製,ろくろびき,円形の三重小塔で,胡粉が塗られている。塔身と相輪に分れ,塔身には陀羅尼経が納められているが,これは製作年代の明らかなものでは世界最古の印刷物である。なお後世作善 (さぜん) のため,この塔を模倣して造立した例もある。

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デジタル大辞泉「百万塔」の解説

ひゃくまん‐とう〔‐タフ〕【百万塔】

天平宝字8年(764)の藤原仲麻呂の乱後、鎮護国家および滅罪のため称徳天皇発願により、南都の十大寺に納められた百万基の木製の供養塔。高さ約23センチ。轆轤ろくろ細工で作られ、中に納められた陀羅尼は世界最古の印刷物として有名。現在、法隆寺に4万余基が存する。

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世界大百科事典 第2版「百万塔」の解説

ひゃくまんとう【百万塔】

奈良時代に作られた轆轤(ろくろ)びき木製三重小塔で,塔身部に〈陀羅尼経(だらにきよう)〉を納めている。相輪部と塔身部に分かれ,それぞれ一木を用いて削り出す。大きさは個体によって異なるが,標準的なもので総高21.4cm,基底部径10.5cm,塔身部のみの高さは13.4cmある。塔身部の軸部上端を筒状にえぐり,ここに〈陀羅尼経〉を納め,上から相輪部をはめこむ。基底部裏面,屋蓋上面,相輪部基底部に年月日人名の墨書がある。

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世界大百科事典内の百万塔の言及

【法隆寺】より

… 奈良時代には庭儀法要のさまをほうふつとさせる伎楽面,舞楽面,響銅(さはり)の金銅鉢,水瓶,また錫杖,柄香炉などの法具がある。百万塔はろくろ仕上げによる木製塔だが,恵美押勝の乱(764)鎮定後,十大寺に10万基ずつ分置されたもので,法隆寺のみに残った。最古の印刷物である陀羅尼を納め,塔にも工人名などを記す墨書がある。…

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