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韓国,慶尚北道慶州市の郊外にある大寺。新羅の法興王代(在位514-540)に創建され,景徳女王10年(751)に宰相金大城の発願により伽藍は大規模に拡充されたと伝える。伽藍は吐含山麓に東西2部を営み,大雄殿を中心とする東部は,大雄殿前方左右に多宝塔,釈迦塔を配し,四囲に回廊をめぐらせ,正面の紫霞門前面には高い石壇を築き,石造アーチを用いた優美な青雲橋,白雲橋がかかる。伽藍配置は薬師寺と同じ双塔式で,石築壇や建物の基壇・礎石はすべて金大城再興のものであるが,大雄殿,極楽殿,紫霞門などの現存の建物は李朝中期の再建になり,1972年には現存の建物と様式を統一して伽藍全体が復元された。釈迦塔は別名無影塔と称される方形3層石塔である。3層とも塔身と屋根は一石から造り出している。石組技巧のすぐれたもので,軽い反りをもち,簡素で完璧なまでの正確な比例を保つ。相対する多宝塔の特異な構造形式は釈迦塔ときわだった対照をなし,いずれも新羅時代の代表的石塔で,朝鮮建築中の最もすぐれた作品である。釈迦塔の第3層塔身上部の舎利孔からは,金銅・銀製の舎利函3点とともに,1966年,新羅木版の《無垢浄光大陀羅尼経》が発見された。これは8世紀前半のものと推定され,現存する世界最古の印刷物とされている(〈印刷〉の項を参照)。大雄殿北方の舎利塔は灯籠型の石塔で,塔身の4区の仏龕(ぶつがん)中に如来型座像2軀,天部型立像2軀の浮彫があり,高麗初期の造立と推定される。大雄殿の本尊毘廬遮那如来,極楽殿の本尊阿弥陀如来は,ともに金銅の半丈六座像で,両像とも様式上景徳女王10年の造立で,新羅銅造彫刻を代表するものである。仏国寺の名が示すように護国仏教の中心地で,現在は慶州観光の中心地ともなっており,慶州郊外の仏国寺門前には観光ホテルがたちならんでいる。
執筆者:宮本 長二郎
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韓国(大韓民国)、慶尚北道慶州市吐含山(とがんさん)にある寺。華厳(けごん)仏国寺、華厳法流寺ともいう。新羅(しらぎ)法興王が528年に王夫人法流尼のために勅建されたものである。のち574年真興(しんこう)王のとき重興され、毘盧遮那(びるしゃな)仏・阿弥陀(あみだ)仏の2像を鋳造奉安した。また670年講堂無説殿が建立され、華厳が講ぜられた。751年、宰相金大城は両親のために堂宇を建て、先祖のために石仏寺(石窟庵(せっくつあん))をつくり、神琳表訓(しんりんひょうくん)を請(しょう)じて住持させた。774年12月大城の没後、朝廷はその事業を継承し、東都第一の名刹(めいさつ)となった。たび重なる再興、重修を経て栄えたが、1592年日本軍の兵火にかかり(文禄(ぶんろく)の役、壬辰倭乱(じんしんわらん))、大雄殿、極楽(ごくらく)殿、紫霞(しか)門ほかことごとく焼失。1659年に再興されたが、ふたたび祝融(しゅくゆう)の災にかかる。現存の大雄殿は1767年6月、道泰(どうたい)・贊弘(さんこう)らによる重建である。伽藍(がらん)配置はわが国の奈良時代前期の規模と類似したものであった。極楽殿に安置されている銅造阿弥陀像は初唐の気風をもち、新羅統一時代の代表的傑作といわれる。この寺は慶州石窟庵とともに、1995年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[里道徳雄]
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韓国慶州市郊外にある寺院。創建は751年,新羅の宰相金大城(きんだいじょう)の発願による。その死後,工事は新羅国家に引き継がれて完成したが,豊臣秀吉の侵略の際に焼失し,石造物だけが残った。現在の堂宇はその後の再建によるもの。近年,発掘調査をふまえて伽藍(がらん)全体が復元された。伽藍は東西2区よりなり,東区の釈迦塔(しゃかとう)と多宝塔は新羅時代の石塔。
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