盆棚に供える花のこと。8月6日ころから12日ころまでの間に山へとりに行く。ミソハギを中心としたキキョウ,カルカヤ,オミナエシなどである。京都市内ではコウヤマキを盆花とする。江戸時代初めころから珍皇寺へ旧暦7月9日(今は月遅れの8月9日)に精霊迎えに行き,3回の鐘で迎えた先祖を境内の売店で購入したコウヤマキにのせて帰るのである。盆花は祖霊の依代(よりしろ)であった。これを13日まで井戸につるした後,蓮華や早稲穂をそえて盆棚に供える。大阪の藤井寺市でもコウヤマキを盆花とするが,仏壇に飾られた経木にはミソハギを用いて水たむけをしている。高知県の一部ではクリの小枝が盆花である。滋賀県大津市の旧志賀町北小松では盆花の中に稲の穂を必ずつけている。これにキキョウやソラマメ,カシの葉などの形をしただんごを供えているが,これも盆花の一種であろう。稲の穂については《塩尻》巻三十九にも〈田圃の初穂を懸〉とあり,これも重要な盆花の一つであったことがわかる。
執筆者:田中 久夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…盆市,花市ともいい,盆行事用品を売る市。この市に欠かせない品物は,祖霊の依代(よりしろ)と考えられる盆花と,精霊棚用の材料などである。盆花は,もともと山から採ってきたものであろう。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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