感ずる(読み)カンズル

デジタル大辞泉 「感ずる」の意味・読み・例文・類語

かん・ずる【感ずる】

[動サ変][文]かん・ず[サ変]
外からの刺激のために、感覚器官にある感覚を起こす。「空腹を―・ずる」「暑さを―・ずる」
心の中にある種の気持ちを持つ。「うれしく―・ずる」「必要を―・ずる」「―・ずるところがあって」
心を動かされる。感動する。「深く―・じさせる演説」「善行に―・ずる」
計測器などが反応する。「地震計に―・ずる」
病気に感染する。
「いつどんな病に―・じて、こんな風に死ぬるかもしれないと」〈鴎外・妄想〉
感心してほめたたえる。
平家、船ばたをたたいて―・じたり」〈平家・一一〉
前世行為の報いが現れる。
殺生の罪は現報を―・ずるなりと知るべし」〈今昔・九・二一〉
[類語](1覚えるもよお知覚する感じるいだ持つ/(2思うさと感じ取る実感する感得する感受する感知する直感する直覚する予感するぴんと来る/(3感動する感銘する感心する胸に応える胸に響く胸に迫る

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精選版 日本国語大辞典 「感ずる」の意味・読み・例文・類語

かん‐・ずる【感】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]かん・ず 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 心にひびく。心が強く動かされる。感動する。
      1. [初出の実例]「御門おほきに驚かせ給て、かんぜしめ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
      2. 「童(わらは)よりいとことなる音を吹き出でしにかんじて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)横笛)
    2. 前世の行為の報いが現われる。
      1. [初出の実例]「さればかの信施無慙の罪によって、今生に感ぜられけりとぞ見えたりける」(出典:平家物語(13C前)三)
    3. 外物の刺激を受けて反応する。
      1. [初出の実例]「夕日がきらきらすると、其熱に感(カン)じて、葉が青く顕れて」(出典:露団々(1889)〈幸田露伴〉七)
    4. 病気に感染する。
      1. [初出の実例]「カゼニ kandzru(カンズル)」(出典:和英語林集成(初版)(1867))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]かん・ず 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 感心する。ほめたたえる。
      1. [初出の実例]「夫、妻の言を聞て、其の心を感じて喜ぶ事、无限くして」(出典:今昔物語集(1120頃か)二)
      2. 「その詞のあやまらざる事を、人みな感ず」(出典:徒然草(1331頃)二三八)
    2. ある感情、感覚をいだいたり、ある考えを浮かべたりする。心に思う。また、刺激によって身心にある感覚を生ずる。
      1. [初出の実例]「大に感(カン)ずる所あって、僕は志を決したから」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉五)
      2. 「罵詈其れ自身は別に痛痒を感ぜぬが」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉五)

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とっさの日本語便利帳 「感ずる」の解説

感ずる

「感じる」と「感ずる」の二様がある。両者とも誤りではないが、「感ずる」は文語名残で、今は「感じる」が主流。他に、「信じる」と「信ずる」、「命じる」と「命ずる」、「通じる」と「通ずる」などもある。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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