磁気コンパス(読み)ジキコンパス(英語表記)magnetic compass

デジタル大辞泉 「磁気コンパス」の意味・読み・例文・類語

じき‐コンパス【磁気コンパス】

羅針盤の一。水平面で自由に回転する目盛り盤に永久磁石を取り付け、航行中に機首方向磁気方位を知る装置。船舶・航空機に使われる。磁気羅針儀方位磁石方位磁針マグネチックコンパス

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「磁気コンパス」の意味・読み・例文・類語

じき‐コンパス【磁気コンパス】

  1. 〘 名詞 〙 ( コンパスは[オランダ語] kompas ) 磁石の指南性を利用して方向を知る装置。磁気羅針儀。磁気羅針盤。
    1. [初出の実例]「操舵輪や、レーダアや、伝声管や、磁気コンパスや」(出典:午後の曳航(1963)〈三島由紀夫〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁気コンパス」の意味・わかりやすい解説

磁気コンパス
じきコンパス
magnetic compass

磁石の性質を利用して方位を測定する器具。航空機,船,自動車,測量などで使われる。12世紀,水に浮かべた磁鉄鉱北極星の方向をさすことに船員が気づいたことに由来する。この現象は,地球自体が南北磁極とする巨大な磁石の働きをし(→地磁気),固定されていない磁鉄鉱をひきつけるためである。地球の磁場の方向は,地軸の真北・真南と少しずれているため,厳密には磁気コンパスがさす北は真北ではない。このずれは偏角,または偏差と呼ばれ,ずれの程度は地域によって異なる。周囲にある磁気の影響で磁針が狂うことを自差という。磁気コンパスには数々の改良が施され,13世紀にはピンの上に磁針を乗せるようになり,32方位が記載された方位盤が置かれた。15世紀には偏角が知られるようになり,磁気コンパスの方位と子午線とのなす角度を測定して,正確な方位を割り出せるようになった。1745年にはイギリス人の発明家ゴーウィン・ナイト永久磁石のつくり方を発明した。初期の磁気コンパスには水に浮かべない乾式コンパスと液体コンパスがあったが,液体コンパスの改良が進む一方で,乾式コンパスは振動に弱いなどの理由から 19世紀末には使われなくなった。今日の船舶用コンパスは通常,ビナクルと呼ばれる円柱型の架台の中に収められ,自差修正用の磁石と金属が配置されている。航空機用コンパスには,機体が急に進路を変えた際に生じる誤差を修正するため,回転軸の方向を一定に保持する性質をもつジャイロスコープを用いたジャイロ磁気コンパスが使用されている。(→コンパスジャイロコンパス

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「磁気コンパス」の意味・わかりやすい解説

磁気コンパス
じきこんぱす

磁石を重心で支えて水平軸の周りを回転させ、磁力線の方向(磁気子午線)を知る航海計器航空計器。ジャイロコンパス(gyro compass)に対してマグネティックコンパス(magnetic compass)とよばれる。

 磁石のさす北(磁北)と地理学的真北とは同一点ではないため、地球上のある点を通る磁気子午線は地球の子午線とは一致せず誤差を生じる。これを偏差(variation)といい、地球上の偏差量の分布状況はあらかじめ海図や航空図に記入されている。一方、コンパス自体のもつ取り付け誤差や永久磁気と感応磁気の影響により生ずる誤差があり、これを自差(deviation)といい、その値は船・機首方向によって変化する。この二つの誤差を修正して正しい方位を求める。

[青木享起・仲村宸一郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「磁気コンパス」の意味・わかりやすい解説

磁気コンパス【じきコンパス】

方位目盛を記した板に磁針を取り付け,磁北を指示させ磁方位を知る。俗に磁石,コンパスと呼ぶ。簡単ではあるが最も基本的な航法計器
→関連項目グリッド航法航法

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「磁気コンパス」の意味・わかりやすい解説

磁気コンパス (じきコンパス)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の磁気コンパスの言及

【航海】より

…また地図(海図)作成が盛んとなり,地中海をはじめ,インド洋,アフリカ南方海岸についてもつくられ,航海の精度をあげるのに役だつものとなっていった。 このような航海の情報の質的向上に加えて,航海の方法を大きく変えたものとして,中世後半の磁気コンパスの導入があげられる。中国の指南針がこれにあたるが,曇天などのときに,北極星などによる方向を定めるのに使用されたようである。…

【航海計器】より


[方位の測定]
 目的地点に向かう針路を定めるには方位の基準が必要である。磁気コンパスは地球の磁北を指す簡便な計器であるが,船内の鉄材が影響して自差を生ずる。この自差は船の針路によって変化するので,取扱いがめんどうなことから,中・大型の船では指北力も強く,針路を変更しても修正が不要で真北を指すことのできるジャイロコンパスが使用されている。…

【羅針盤】より

…羅針儀,コンパスとも呼ばれる。船や航空機などで方位を測定するために用いられる器具で,原理から,磁石の指極性を利用して方位を知る磁気コンパスと,高速で回転するこまの運動を利用するジャイロコンパスに分けられる。磁石の指極性を最初に発見したのは中国で,おそくとも11世紀末には貿易船に備えられていた。…

※「磁気コンパス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android