改訂新版 世界大百科事典 「祇園執行日記」の意味・わかりやすい解説
祇園執行日記 (ぎおんしゅぎょうにっき)
南北朝期,京都祇園社執行の日記。原本は八坂神社に所蔵されており,〈社家記録〉の表題をもつ康永2年(1343),貞和6年(1350),文和1年(1352),応安4年(1371),同5年の5冊は執行顕詮の日記。このほかに貞治4年(1365)の〈三鳥居建立記〉などがある。内容は,丹波国波々伯部保などの社領支配に関するもの,祇園社に所属する座・神人(じにん)に関するもの(たとえば1343年の綿座の本座神人と新座神人の争い),山門(延暦寺)による一向宗仏光寺や法華宗妙顕寺破却事件,その際に犬神人(つるめそ)が動員されたことにみられるような山門との従属関係を示す記事,南北朝動乱期における京都の世情を伝えた記事など興味深いものが多い。《八坂神社記録》として刊行。《増補続史料大成》所収。なお《群書類従》所収のものは康永2・貞和6・文和1年の抄記に1532-35年(天文1-4)の日記を追補したもの。
執筆者:稲葉 伸道
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報