(読み)えん(英語表記)pratyaya

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


えん
pratyaya

仏教用語。仏教ではあらゆる存在に固定的実体を認めず,諸条件の集ったものと考えるが,その因果関係において,因を助成する間接的原因を縁という。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

えに【縁】

《「えん(縁)」の「ん」を「に」で表記したもの》えん。ゆかり。ちなみ。和歌では「江に」に掛けて用いることが多い。
「みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐり逢ひける―は深しな」〈澪標

えに‐し【縁】

《「えに(縁)」+強意の副助詞」から》えん。ゆかり。多く男女間についていう。
「われら二人、なんという薄い―であろう」〈藤村・春〉

えん【縁】

《〈梵〉pratyayaの訳》仏語。結果を生じる直接的な原因に対して、間接的な原因。原因を助成して結果を生じさせる条件や事情。「前世からの
そのようになるめぐりあわせ。「一緒に仕事をするのも、何かのだろう」
関係を作るきっかけ。「同宿したのがで友人になる」
血縁的、家族的なつながり。親子・夫婦などの関係。「兄弟のを切る」
人と人とのかかわりあい。また、物事とのかかわりあい。関係。「金の切れ目がの切れ目」「遊びとはのない生活」
(「椽」とも書く)和風住宅で、座敷の外部に面した側に設ける板敷きの部分。雨戸・ガラス戸などの内側に設けるものを縁側、外側に設けるものを濡れ縁ということが多い。

えん【縁】[漢字項目]

常用漢字] [音]エン(呉)(漢) [訓]ふち へり よる ゆかり えにし よすが
〈エン〉
物のへり。ふち。「縁海縁辺外縁周縁
物事のつながり。かかわりあい。ゆかり。「縁由奇縁絶縁地縁無縁由縁(ゆえん)
婚姻によって生じる関係。親子・夫婦のつながり。「縁故血縁再縁遠縁内縁復縁離縁良縁類縁
仏教で、ある結果を生じる間接的な原因。「縁起因縁(いんねん)機縁宿縁前縁
〈ふち(ぶち)〉「額縁金縁黒縁
[名のり]まさ・むね・やす・ゆか・よし・より
[難読]薄縁(うすべり)所縁(ゆかり)

ふち【縁】

物の端の部分。また、物の周りの、ある幅をもった部分。へり。「がけの」「が欠ける」「帽子の
刀の柄口(つかぐち)の金具。
[用法]ふち・へり――「机のふち(へり)に手をつく」「茶碗のふち(へり)」「崖のふち(へり)」のように、物のまわりやまぎわの部分の意では、相通じて用いられる。◇「ふち」には「目のふちを赤くする」とか、「眼鏡のふち」「額(がく)ぶち」のような、回りの枠をいう使い方もあり、この場合は「へり」は用いない。◇「へり」は、「船べり」「川べり」のように平らなものの周辺部をいうことが多く、さらに周辺部につける飾り物などの意まで広がる。「リボンでへりをつける」「畳のへりがすり切れる」

へり【縁】

池・穴などに接したすぐそば。そのものに入るすぐ手前をさす。「崖(がけ)のに立つ」「川の道」
もののはし。ふち。「机ので肘(ひじ)をうつ」「船
2につけた飾り。特に、畳の長いほうの両端をつつんだ布。
ふち(縁)用法

ゆかり【縁/所縁】

なんらかのかかわりあいやつながりのあること。因縁。「縁(えん)も―もない」「文豪―の地」「―の者を頼って上京する」
血縁関係のある者。親族。縁者。
「おのが―、西東合はせて六百人ばかり」〈宇津保・藤原の君〉
《「ゆかりじそ」の略》梅干と一緒に漬け込んだ紫蘇(しそ)の葉を乾燥させて粉にしたもの。飯にふりかけたりする。

よす‐が【縁/因/便】

《「寄す処(か)」の意。古くは「よすか」》
身や心のよりどころとすること。頼りとすること。また、身寄り。血縁者。よるべ。「知人を―に上京する」「身を寄せる―もない」
手がかり。手だて。方法。「今ではもうを知る―はない」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

えに【縁】

〔「縁えん」の「ん」を「に」で表記したもの〕
えん。ゆかり。 「夕露にひもとく花は玉ぼこのたよりに見えし-こそありけれ/源氏 夕顔

えにし【縁】

〔「えに(縁)」に副助詞「し」の付いたものから〕
えん。関係。つながり。特に、男女の間のえん。 「 -の糸」

ふち【縁】

物の端の、他との境界になる部分。へり。はし。また、そこを取り囲む枠など。 「花びらの-」 「眼鏡の-」 「 -をとる」

へり【縁】

海・川・湖・穴などのふち。きわ。 「池の-に立つ」
物のはし。物のふち。また、そこに付けた飾り。 「本の-がいたむ」 「カーテンに-をつける」 「 -をとる(=縁ニ装飾ヲホドコス)」
畳や薄縁うすべりなどのふちにつけた布。 「 -が切れる」

ゆかり【縁】

何かのつながりや関係があること。縁。縁故。 「岡崎は家康-の地だ」 「縁えんも-もない人」
血のつながる者。親類縁者。 「国の内は、守かみの-のみこそ畏きことにはすめれど/源氏 須磨
赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの。
菓子の一種。柚ゆずの香りをつけ、砂糖でくるんだあられ。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

え【縁】

〘名〙 (「えん」の「ん」の無表記) ゆかり。つながり。えにし。えん。
伊勢物語(10C前)九六「秋かけていひしながらもあらなくに木の葉ふりしくえにこそありけれ」

えに【縁】

〘名〙 (「えん(縁)」の韻尾の n を「に」で表記したもの) ゆかり。縁故。ちなみ。
源氏(1001‐14頃)澪標「みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐりあひけるえには深しな」
[語誌]→「えにし(縁)」の語誌

えに‐し【縁】

〘名〙 (「えに(縁)」に強めの助詞「し」の付いたものから) =えに(縁)
(イ) 「し」が助詞としての性質を保っているとみられるもの。
※伊勢物語(10C前)六九「とりて見れば、かち人の渡れど濡れぬえにしあれば、と書きて末はなし」
(ロ) 熟して一語化したとみられるもの。
※謡曲・玉葛(1470頃)「またこの川は所から、名に流れたる海人小舟、初瀬の山と詠み置ける、その川のべの縁(えに)しあるに、不審はなさせ給ひそとよ」
[語誌](1)和歌では、「えにし」の「え」に江・枝を掛けることが多い。また、「えに」が単独で用いられることはまれで、ふつう、「えにしあらば」「えにしあれば」などと、強めの助詞「し」を伴う。
(2)(イ)の挙例の「伊勢物語‐六九」などがもととなって、「えにし」で特に男女の間柄を意味することが多くなり、一方で俗語としても用いられた「えに(縁)」に対する雅語意識も働いて、一語化したものか。

えん【縁】

〘名〙
[一] 二つ以上のものが寄りついてかかわりを持つ作用を表わす。
① 仏語。
(イ) 広義には結果を引き起こす因のこと。狭義には結果を引き起こす直接の内的な原因である因に対し、それを外から助ける間接の原因をいう。
※三教指帰(797頃)上「重輅軽走、抑亦油縁」
※観智院本三宝絵(984)上「縁を待ちて形を顕し給ふ事」
(ロ) 心が外の事物に向かって行なうはたらきかけ。攀縁(はんえん)
※袋草紙(1157‐59頃)上「縁は物を聞きもし、見もする心也」
② (①から生じたような)人と人とのめぐり合わせや結びつき。縁故。
※能因本枕(10C終)八二「つぎつぎえんたづねて、文得んといはすれば」
③ 親子、夫婦、主従など、人と人との結びつき。つづきあい。あいだがら。
※平家(13C前)二「我子の縁にむすぼほれざらむには」
④ 関係を持つきっかけ。現在の状況をもたらす過去からの関係。えに。えにし。
※黄表紙・敵討義女英(1795)上「さてさて不思議の御ゑんでお心やすくいたした」
⑤ 物事との関係。つながり。
※福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉緒方の塾風「何程えらい学者になっても、頓と実際の仕事に縁(エン)がない。即ち衣食に縁(エン)がない」
⑥ 「えんご(縁語)」の略。
※和歌肝要(1296頃)「歌をはやく詠まむ故実には、題につきて縁をいそぎ求めて」
[二] (「椽」とも書く) 物事のまわり、周辺を表わす。
① 物事のへり。ふち。端。「外縁」「周縁」
② 家の外側の板敷きの部分。
(イ) 寝殿造りで、母屋(もや)の廂(ひさし)の外側や渡殿に張り渡された板敷きの部分。
※竹取(9C末‐10C初)「この皇子(みこ)〈略〉えんにはひ上(のぼ)り給ひぬ」
(ロ) 座敷の外側に作り付けた細長い板敷き。縁側。
※俳諧・続猿蓑(1698)夏「涼しさや椽より足をぶらさげる〈支考〉」
(ハ) (縁側に代用される台の意で) 縁台。
※俳諧・去来抄(1702‐04)先師評「咲花にかき出す椽のかたぶきて〈芭蕉〉」
[語誌](1)(一)①について。(イ)「縁」は仏教語では四縁〈因縁・等無間縁(次第縁)・所縁縁(縁縁)・増上縁〉のうち増上縁に当たる。(ロ)「日本書紀」「風土記」などでは、縁をコトノモトと読む。これらは因縁由来の意であり、次第に縁は男女(夫婦)、親子、主従など仏教語からは離れた用法に傾いてゆく。→えにえにし
(2)(二)②について。(イ)寝殿造りで廂の間をとりまいている部分のうち、板を横に並べた板敷きを「簀子(すのこ)」といい、板を縦に並べたものを「縁(えん)」または「縁側(えんがわ)」と呼ぶとする説がある。おおむね東、南、西側は簀子で、北側に縁を用いていたようである。(ロ)現代の民家では、縁板を奥行き方向に張った縁を切り目縁(きりめえん)あるいは木口縁(こぐちえん)といい、長手方向に張った縁を榑縁(くれえん)という。

えん‐・ず【縁】

〘他サ変〙 仏語。心とその働きが対象に向かって働いて、その対象のすがたをとらえる。
往生要集(984‐985)大文五「或縁生浄土衆生、応是念」 〔雑阿含経‐一二〕

ふち【縁】

〘名〙
① 物のまわりの部分。へり。めぐり。多く、ふちどりしたりして他と区別できるような、周縁の部分をいう。
※大鏡(12C前)四「的のかたにいろどられたりし車のよこさまのふちをゆみのかたにし」
② 刀剣の柄口(つかぐち)、鞘口(さやぐち)の金具。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浄瑠璃・博多露左衛門色伝授(1708)五「ふちはなるとにたつ波の、さっと打たる岩崎や」

へり【縁】

〘名〙
① 物の端。めぐり。まわり。ふち。また、物の端につけた装飾など。
※大和(947‐957頃)一七三「簾もへりは蝙蝠にくはれて」
② 特に、畳やござのふちにつけた布。
※枕(10C終)二七七「高麗縁(かうらいばし)の、筵青うこまやかに厚きが、へりの紋いとあざやかに」

ゆかり【縁】

〘名〙
① なんらかのかかわりあい。多少のつながり。ちなみ。機縁。
※安法集(983‐985頃)「大空のゆかりと聞けばまだみねど雲に埋る跡ぞゆゆしき」
※源氏(1001‐14頃)蓬生「大弐の北の方のたてまつり置きし御衣どもをも、心ゆかずおぼされしゆかりに、見入れ給はざりけるを」
② 血のつながりのある者。血縁。縁者。また、夫から見た妻、または妻から見た夫。親族。一族。
※貫之集(945頃)三「ゆかりとも聞えぬものを山吹の蛙の声に匂ひけるかな」
※増鏡(1368‐76頃)二「七条院の御ゆかりの殿原、坊門大納言忠信・尾張中将清経」
※滑稽本・大山道中膝栗毛(1832)初「ハアゆかりか妙だ妙だ。でやっと目がさめた」

ゆか・る【縁】

〘自ラ四〙 (名詞「ゆかり(縁)」の動詞化) ゆかりとなる。ゆかりである。血縁の関係にある。
愚管抄(1220)四「此すぢに満仲なんどもかたらはれけるにや、武士にてゆかりつつかはれて、推知してつげ申たりけるにや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

寒暖差アレルギー

寒暖の差により鼻の奥の毛細血管が詰まり、鼻の粘膜が腫れることで起きる鼻炎。医学的には血管運動性鼻炎の一種とされる。多くの場合秋から冬にかけて1日の寒暖差が大きい時期や冷房による急な温度変化などにより起...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

縁の関連情報