美濃(読み)ミノ

デジタル大辞泉 「美濃」の意味・読み・例文・類語

みの【美濃】


旧国名の一。東山道に属し、大半が現在の岐阜県南部。一部愛知県豊田市濃州のうしゅう
岐阜県中南部の市。長良川支流板取川流域にあり、古くから美濃紙産地。人口2.3万(2010)。
美濃紙」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「美濃」の意味・読み・例文・類語

みの【美濃】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 東山道八か国の一国。大化改新(六四五)のときに一国となる。鎌倉時代は大内・宇都宮氏らが守護、南北朝時代以降土岐氏、次いで斎藤氏・織田信長が支配。江戸時代は諸藩・天領などに分轄され、廃藩置県後、岐阜県南部となる。濃州
    2. [ 二 ] 岐阜県南部の地名。長良川に沿い、古くから上有知港と呼ばれた河港で、美濃紙の集散地、飛騨材の市場町として栄えた。昭和二九年(一九五四市制
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. みのがみ(美濃紙)」の略。
      1. [初出の実例]「是程紙の高直なるに、大直しの美濃(ミノ)を水打にして」(出典:浮世草子・元祿大平記(1702)二)
    2. みのぎぬ(美濃絹)」の略。
      1. [初出の実例]「唐綾一つをば、唐には美濃五疋が程にぞ用ゐるなる」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「美濃」の意味・わかりやすい解説

美濃(市)
みの

岐阜県中南部の商工業都市。美濃和紙の産地として有名。1954年(昭和29)美濃町と洲原(すはら)、下牧(しもまき)、上牧、大矢田、藍見(あいみ)、中有知(なかうち)の6村が合併して市制施行。市街地は、長良川(ながらがわ)とその支流板取川(いたどりがわ)の合流点よりやや下手の東岸の台地を中心に発達。ここは戦国大名金森長近(かなもりながちか)が1600年(慶長5)ころに標高約150メートルの小倉山に館(やかた)を築き、その麓(ふもと)の台地に近在の商業中心町を開いたのが始まりで、美濃紙の集散地として続いてきた。かつては長良川の水運の拠点でもあり、川岸灯台がその名残(なごり)をとどめる。現在は長良川鉄道が通じる。長く名古屋鉄道美濃町線の終点(美濃駅)であったが、1999年(平成11)美濃町線の新関―美濃間は廃止(2005年全線廃止)となった。国道156号、東海北陸自動車道が通じ、美濃インターチェンジがある。美濃紙の製造は板取川沿いの牧谷(まきだに)を中心に行われ、集落により特色のあるものが漉(す)かれた。いまでは従業者、生産量ともに減少したが、蕨生(わらび)地区中心に保存されてきた優秀な手漉き和紙技術は、国指定の重要無形文化財、美濃和紙は国指定の伝統工芸品となっている。和紙などの製造にかわり、しだいに刃物製造の下請、縫製加工などが行われる。製造品出荷額ははん用機械、プラスチック製品、生産用機械、パルプ・紙、金属製品の順である(2020)。市の南西部に1990年から県営工業団地美濃テクノパークを開発、企業誘致が進んだ。美濃市の中心市街には、「うだつ」のある家が残されていて、小坂家住宅は国の重要文化財、また町並み一帯は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。また、本美濃紙は2014年(平成26)に「和紙―日本の手漉和紙技術」として、島根県浜田市の「石州半紙(せきしゅうばんし)」(石見半紙)、埼玉県小川町、東秩父(ひがしちちぶ)村の「細川紙(ほそかわし)」とともに、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。大矢田神社のひんここ祭りは有名。面積117.01平方キロメートル、人口1万9247(2020)。

[上島正徳]

『『美濃市史 通史編』(1979・美濃市)』


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改訂新版 世界大百科事典 「美濃」の意味・わかりやすい解説

美濃[市] (みの)

岐阜県中南部,長良川中流部にある市。1954年美濃町と洲原,下牧,上牧,中有知(なかうち),藍見,大矢田の6村が合体,市制。人口2万2629(2010)。中心市街の旧美濃町は古くは上有知(こうずち)と呼ばれ,近世初期に佐藤氏,金森氏が居城した城下町であった。長良川水運の河港としても栄え,近世以降美濃紙の集散でにぎわった。市街地には古い町屋が多く,屋根の妻を一段と高くした防火構造の〈うだつ造〉や土蔵造が見られ,小坂家住宅は重要文化財に指定されている。長良川の支流板取川流域は牧谷と呼ばれ,美濃紙の生産地として古くから知られた。今も各種の和紙が生産されるが,和紙需要の減退により,機械すき紙が主流となっている。本美濃紙製造技術は重要無形文化財。美濃和紙の里会館がある。南部の大矢田は牧谷と武芸(むげ)谷(関市の旧武芸川町)の中間にあり,室町時代には紙を中心とする六斎市が開かれ,紙座を結成した近江商人が紙の購買を独占した。大矢田神社には特殊神事〈ひんここ〉が伝わり,神社の社叢は楓谷(かえでだに)のヤマモミジ樹林として天然記念物に指定されている。北部に天然記念物の洲原神社ブッポウソウ繁殖地もある。長良川鉄道線,名鉄美濃町線(2005年廃止),東海北陸自動車道,国道156号線が通じる。
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百科事典マイペディア 「美濃」の意味・わかりやすい解説

美濃[市]【みの】

岐阜県中部の市。1954年市制。中心市街は長良(ながら)川左岸にあり,水運と,牧谷(板取川流域)や武儀谷(むぎだに)に産する美濃紙の集散地として発達。コウゾのみを原料とした本美濃紙は1969年重要無形文化財(総合指定),2014年〈和紙:日本の手漉和紙技術〉として,細川紙(埼玉県,現在は〈小川和紙〉のひとつ),石州半紙(島根県)とともに,ユネスコ無形文化遺産に登録された。長良川鉄道,東海北陸自動車道が通じる。市の製造品出荷額は2004年まで増加していたが,2009年以降はほぼ横ばいで推移している。牧谷では現在も美濃紙を産す。楓谷(もみじだに)ヤマモミジ樹林(天然記念物),洲原神社ブッポウソウ繁殖地(天然記念物),美濃橋(重要文化財)などがある。市街地には江戸・明治時代の防火構造の〈うだつ造〉や土蔵造が多く,小坂家住宅は重要文化財に指定されている。117.01km2。2万2629人(2010)。

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世界大百科事典(旧版)内の美濃の言及

【将棋】より


【将棋遊び】
 将棋の駒を使った他の遊び方として,駒を積み上げて崩さないように取り除いていく積(つみ)将棋,中央3筋に9枚の駒を置いて相手側に早く達するのを競う蛙跳び,下段に駒を並べて相手の駒をはさんで取りあうはさみ将棋,金将をさいころ代りに振って盤上の周囲を回りながら上っていくすごろくの応用の歩回り(回り将棋)などがある。【増川 宏一】
〔戦法と用語〕

【王の囲いに関する用語】
美濃振り飛車に多用される囲い。片美濃,高美濃などの変型もある(図9)。…

※「美濃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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