出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
儀式用の調度の一種で長柄の団扇である。〈さしば〉ともいう。その字形が示すように,中国では鳥の羽で作った。北魏の竜門賓陽洞前壁の浮彫(6世紀前半)にその形を見ることができる。しかし,遺品はほとんどなく,千葉県金鈴塚古墳出土の1対の金銅透金具を翳の飾金具とする解釈が正しければ,稀有の1例となる。敦煌莫高窟第138窟の晩唐の維摩経変相図(9世紀)には,縦長と円形との2種の翳を同じ画面に描いてある。《延喜式》巻四に,伊勢太神宮や度会宮(わたらいのみや)の装束を挙げて,〈紫翳・菅翳〉などと記すものは,紫羅を張った楕円形のものと,菅(すげ)を編んだ円形のものとであるらしい。前者は柄の長さ約4m,後者は約2mという。奈良県高松塚古墳壁画や,唐の永泰公主墓壁画の女子が持つ円扇を翳と見る人もあるが,これらは柄の長さ1mに足らぬ短いものである。器財埴輪にも翳をかたどったものが若干ある。円板形の下端に細い円筒をつけた形に作り,円板の中央に円形の透孔のあるものや,円周に三角形の飾りをめぐらしたものもある。円板に放射状の線をいれたものがあるのは,後世の菅翳と同じく菅製であることを示すものであろうか。《万葉集》巻十六に〈渋谿(しぶたに)の二上山に鷲そ子産(む)とふ 指羽にも君がみために鷲そ子産とふ〉という越中の国の歌がある。ワシの尾羽で翳を作ることは,日本でも奈良時代に行っていたのである。
執筆者:小林 行雄
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