(読み)さしば

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


さしば

鳥の羽などで扇形につくり,長い柄をつけたもの。貴人の行列などでさしかけ威儀を正した。中国では竜門敦煌莫高窟などの壁画に若干みられる。日本では埴輪や,福岡県竹原古墳の壁画などに,それらしいものがみられる。実物としては,千葉県の金鈴塚から出土した金銅製の翳があり,伊勢神宮遷宮に用いられる翳は全長 4.36mもある紫色の羅 (うすぎぬ) である。

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デジタル大辞泉の解説

えい【翳】[漢字項目]

[音]エイ(漢) [訓]かげ かげる かざす
物におおわれてできる陰。かげり。「暗翳陰翳
さえぎり隠す。「掩翳(えんえい)」
[補説]1は「」を代用字とすることがある。

さし‐は【×翳】

《「さしば」とも》鳥の羽や絹を張ったうちわ形のものに長い柄をつけた道具。貴人の外出時や、天皇が即位朝賀などで高御座(たかみくら)に出るとき、従者が差し出して顔を隠すのに用いた。

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世界大百科事典 第2版の解説

さしは【翳】

儀式用の調度の一種で長柄団扇である。〈さしば〉ともいう。その字形が示すように,中国では鳥の羽で作った。北魏の竜門賓陽洞前壁の浮彫(6世紀前半)にその形を見ることができる。しかし,遺品はほとんどなく,千葉県金鈴塚古墳出土の1対の金銅透金具を翳の飾金具とする解釈が正しければ,稀有の1例となる。敦煌莫高窟第138窟の晩唐の維摩経変相図(9世紀)には,縦長と円形との2種の翳を同じ画面に描いてある。《延喜式》巻四に,伊勢太神宮や度会宮(わたらいのみや)の装束を挙げて,〈紫翳・菅翳〉などと記すものは,紫羅を張った楕円形のものと,菅(すげ)を編んだ円形のものとであるらしい。

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