自助具(読み)ジジョグ(英語表記)self-help device

デジタル大辞泉 「自助具」の意味・読み・例文・類語

じじょ‐ぐ【自助具】

運動機能に障害のある人のために、自力で日常生活動作を行えるように工夫して作られた器具・道具。補助具。

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共同通信ニュース用語解説 「自助具」の解説

自助具

日常生活で不便な事を自分でできるようにデザインされた生活便利用具木材爪切りに貼り付け、指先に力が入りづらい人でも簡単に使える台付き爪切り、バネの働きで軽く握るだけで自然に箸先がそろうバネ箸、長い柄に取り付けて爪先まで届く爪やすり、片手靴下がはけるソックスエイドなど、体の不自由な人のためにニーズに応じて開発されてきた。

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精選版 日本国語大辞典 「自助具」の意味・読み・例文・類語

じじょ‐ぐ【自助具】

  1. 〘 名詞 〙 広義には、回復しにくい身体機能の代用となる道具。狭義には、身体機能を補助する生活のための道具。義足、車いす、水平スプーンなどの類。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自助具」の意味・わかりやすい解説

自助具
じじょぐ
self-help device

上肢の麻痺(まひ)などによる機能障害のため日常生活動作が困難な場合に、それを補うために用いるものをいう。自助具には、洗面歯みがき、食事など基本的な日常生活動作を行いやすくするため日常使用する普通の物品改良・くふうを加えて操作を容易にしたもの、あるいは特定の動作のみを対象としてその動作を可能にする特定の用具などがある。たとえば、市販のスプーン、フォークコップなどに改良を加えて持ちやすくしたものなどが前者に相当するものであり、遠くの物をとるためのリーチャー、入浴時に背中を洗うためのブラシなどが後者に属する。市販品でまにあうこともあるが、簡単な細工を施してつくるものや、特別に製作しなければならないものもある。また、電話の受話器を持てない人のためのくふう、片手で料理ができるまな板なども自助具である。自助具には、それを使用するときの便利さだけでなく、すぐに使える場所に置けること、使い慣れるのにあまり練習しなくてよいことなどの条件が要求されるので、できるだけ単純なものがよいとされている。自助具を使用する練習や自助具の選択、自助具の製作などは、リハビリテーションの専門医師の指導のもとに作業療法士によって行われる。

 なお、上肢、下肢の機能障害者に対してその機能を補ったり代償させたりするための器具類は、義肢、装具、自助具に大別される。このうち、義肢は欠損に対する補いであり、装具は機能障害に対する補助具であるが、自助具は日常生活動作の能力障害に対して用いられるものといえる。

[永井 隆]

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改訂新版 世界大百科事典 「自助具」の意味・わかりやすい解説

自助具 (じじょぐ)
self-help device

身体障害者が一時的あるいは永久的にその失われた機能を補って種々の動作を可能ならしめ,または容易ならしめ,自立独行できるように助けるために考案工夫された補助具をいう。たとえば慢性関節リウマチによる上肢の変形のために行動が制限される場合に,種々の自助具を用いると自立独行できる動作が増加する。これは,単に日常生活動作における食事,身のまわり,更衣や整容,書字,電話などにとどまらず,さらにその概念は,旅行,家事や炊事動作の補助,職場における適合から,重度障害者などで残存能力としての頭部の運動,口や呼吸などのコントロールによる環境制御システムを用いてベッドや車いす上での自立に近づくという方法にまで発展している。食事用の自助具は摂食用具と食器に大別される。摂食用具としては,用具に対する手指把持機能,食器から食物をすくいとり食物を口まで運ぶときの問題が考慮されねばならない。

 自助具が機能的に有用であるためには,目的を満足させる,むだがない,安価である,耐久性がある,使いやすい,作りやすい,などの条件が満たされる必要がある。自助具は道具であるから,自由に選べ気に入ったものを使えなければならない。障害を有する人が現実に必要でない自助具は,おのずから使用を放棄してしまうため,真に役立つものだけが残る。自助具にはまた,永久障害の機能の代償として使われるだけでなく,障害の回復過程で,保護的や補助的なものとして筋力や関節可動性が機能的になるまで一時的に用いられるものもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自助具」の意味・わかりやすい解説

自助具
じじょぐ
self-help devices

障害や病気などによる麻痺加齢による身体機能の低下(→老化)を原因とする動作の困難を補うための道具や装置。食事,入浴,家事,更衣,排泄,余暇活動など,日常生活のさまざまな場面において,体の不自由な人の自立を助け,社会参加を促進する。体の症状や不便さの範囲は人によって異なり,無理な使用は症状を悪化させるおそれがあるため,使う人に合ったものを正しく選ぶ必要がある。利用者が作業療法士(→作業療法)などリハビリテーションの専門家と協同して自作することが多いが,近年ユニバーサルデザインの製品や,大きさや長さ,材質などを自由に加工できるものも市販されている。握力のない人が食事をするためのホルダー付きスプーンやフォーク,手に不随意運動がある人が家事をする際に,丸棒に包丁を通して動きを抑え,てこの原理を利用して押し切りを行なう包丁付きまな板,支柱を両足の間に挟んで座り,一方の編み棒を支柱に取り付け,自由になる方の手でもう一方の編み棒を操作する片手棒針編み器などがある。

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