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藁葺き ワラブキ

デジタル大辞泉の解説

わら‐ぶき【××葺き】

わらで屋根をふくこと。また、その屋根。「藁葺きの家」「藁葺き屋根」

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大辞林 第三版の解説

わらぶき【藁葺き】

屋根を藁で葺くこと。また、その屋根。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

藁葺き
わらぶき

草葺き屋根の総称。葺き材には、茅(かや)、小麦殻(から)、稲藁などがある。そのほか、茅と小麦殻、小麦殻に稲藁など、混合して葺くこともある。総称して草葺きというが、通称、藁葺きともいう。耐久力はそれぞれ異なり、茅だけならば50年、小麦殻で20年、稲藁では2年ぐらいとされている。葺き替えは、一度に全体をということもあるが、4分の1ずつ葺き替え、その間に損傷のひどい部分だけ指茅(さしがや)をして補修する。屋根の小屋組みの構造はほとんど叉首(さす)造といって、小屋梁(はり)の両端から叉首を斜めに立ち上げ三角形を形づくる。叉首は合掌(がっしょう)ともいうので、この造りを合掌造ともいう。叉首の上には、水平に何本かの母屋(もや)(ヤナカ)を渡し、さらにその上に、屋根勾配(こうばい)に沿って垂木(たるき)を流す。その上にさらに竹を細かく水平に渡して、竹の簀子(すのこ)や藁莚(わらむしろ)をかける。茅や小麦殻などの葺き草は束にしてその上に積み重ねて葺く。叉首はネソと称する藤蔓(ふじづる)に似た植物で縛り付けるが、藁縄を用いることもある。その他の材料の結束には藁縄を用いる。葺き草は、束の一つずつを、針と称するとがった木の枝を用いて、表面からと内部から交互に縄で垂木竹などに締め付ける。最後の仕上げは、槌(つち)や鋏(はさみ)で平滑にする。
 草はすべて軒先から棟に向かって根元を下にして葺き上げる。稲藁のときは穂先を下にする。屋根の厚さは、軒先で水平に測って、60センチメートル以上、90センチメートルに及ぶこともある。その木口(こぐち)は水平のこともあるが、屋根勾配に対して直角に近く切り上げ、外部から厚みを見られるようにする。外観上ばかりでなく、月日を経過すると、軒の先端が下がってくるからでもある。葺き納めの棟は、葺き草の束で押さえ、杉皮や竹、瓦(かわら)などを使用して納める。草葺きのもっとも重要なのは、この葺きの納まりであるから、各地によって特徴あるくふうがなされ、棟飾りとする。頂部には木材を股(また)型に組んだものを置くこともある。それをクラまたは千木(ちぎ)とよぶ。その根元を長く垂らす地方もあり、これを神社建築の千木と関連づけて考える人もあるが、本質的には異質のものである。地方によっては、軒の葺き地だけ、ヨシや麻殻(あさがら)、細竹を混ぜ、さらに煤竹(すすだけ)や煤墨、石灰などを用いて、縞(しま)模様や家紋、文字などを巧みに表現する習慣もある。棟には最後に芝土を置き、岩苔(いわごけ)やショウブなどを植えたり、木製の箱棟を取り付けることもある。いろりやかまどからの煙出しの小窓を設け、とくに養蚕地帯では、換気孔のついた小屋根を設置する。それがやがて屋根の形式を左右する。
 草葺き屋根の形式は寄棟が普通である。葺き方の工作がもっとも容易でかつ安全だからである。その棟の両端に煙出しの穴を設けると、入母屋(いりもや)型に近くなり、さらに養蚕などで屋根裏を利用する結果、大きく窓を設けて、完全に入母屋型にする地方もある。入母屋型はそれだけ手間がかかるが、外観がはでになるので、その意味でこの形式を好むこともある。切妻(きりづま)型は屋根形式としては単純であり、簡素な建物には多いが、本格的につくる場合は、技法上かえってむずかしい。それは両端のケラバの葺き草の納まりがやっかいであるからである。それにもかかわらず山梨県や岐阜県では切妻の草葺きが多い。飛騨(ひだ)の白川村や富山県の五箇山(ごかやま)には、巨大な切妻の民家があり、「合掌造」の俗称で知られている。合掌は草葺き屋根のどの形式にもあるので、この形式だけを合掌造と称するのは適当でない。この巨大な切妻造は、屋根裏を二層三層に利用し、さらにその床面積を広くするために高く、勾配(こうばい)も急になったにすぎない。急勾配の原因を積雪のためと考える向きもあるが、瓦や鉄板ならともかく、草葺きでは雪は草にしがみつくので、急勾配を積雪対策と考えるのは無理である。[竹内芳太郎]

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