(読み)シュウ

デジタル大辞泉 「衆」の意味・読み・例文・類語

しゅう【衆】[漢字項目]

[音]シュウ(漢) シュ(呉)
学習漢字]6年
〈シュウ〉
人数が多い。「衆寡
多くの人々。「衆知衆目会衆観衆群衆公衆聴衆民衆
衆議院のこと。「衆参
〈シュ〉多い。多くの人々。「衆生しゅじょう衆徒
[名のり]とも・ひろ・もり・もろ
[難読]下衆げす

しゅう【衆】

[名]
多くの人。大ぜいの人。衆人。「に先んずる」
人数の多いこと。集団。「を頼んで事を起こす」⇔
ある集団を形づくる人々。しゅ。「若い」「近在の
ところの衆」の略。
[接尾]人を表す名詞に付いて、複数の人を尊敬や親愛の意を込めて言い表す。古くは単数の人にも用いた。しゅ。「旦那」「観客

しゅ【衆】

[名]しゅう(衆)」に同じ。「若い
[接尾]しゅう(衆)」に同じ。「女房

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精選版 日本国語大辞典 「衆」の意味・読み・例文・類語

しゅ【衆】

  1. ( 「しゅ」は「衆」の呉音 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. しゅう(衆)[ 一 ]〔色葉字類抄(1177‐81)〕
      1. [初出の実例]「暫時も衆のために説法せざることなし」(出典:伝光録(1299‐1302頃)釈迦牟尼仏)
    2. しゅう(衆)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「あるしゅ、藤英、くわばかりなくせさるを見て」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
    3. しゅう(衆)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「彼文覚と申は、もとは〈略〉上西門院の衆(シュ)〈高良本ルビ〉也」(出典:平家物語(13C前)五)
    4. しゅう(衆)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「さあ爰で・ふぐりのない衆待て居や」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
    5. ( [梵語] saṃgha の訳語 ) 修行中の僧たち。大衆(だいじゅ)
      1. [初出の実例]「雪峰も衆のなかにすぐれたりとおもひて」(出典:正法眼蔵(1231‐53)一顆明珠)
  3. [ 2 ] 〘 接尾語 〙しゅう(衆)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「nhôbǒxuua(ニョウバウシュワ) コレヲ マコトニ ウケイデ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)

しゅう【衆】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 多数の人。大勢の人。また、三人以上の称。しゅ。
      1. [初出の実例]「衆の中にありて聴聞をす」(出典:観智院本三宝絵(984)中)
      2. 「寡を以て衆(シウ)に当り」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一一)
      3. [その他の文献]〔易経‐師卦〕
    2. ある集団をかたちづくる人々。集団の構成員。しゅ。
      1. [初出の実例]「せまりたる大学のしうとて笑ひあなづる人もよも侍らじ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
    3. ( 「ところ(所)の衆」の略 ) 御所などに詰めている侍。しゅ。
      1. [初出の実例]「蔵人所の衆・出納・小舎人に至るまで」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
    4. 人。お人。人々。しゅ。
      1. [初出の実例]「その衆様は揚巻様とは申しませぬか」(出典:歌舞伎・廓の花見時(助六)(1764))
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 人を表わす名詞などに付いて、親愛、尊敬の意を添える。しゅ。
    1. [初出の実例]「いつもの御だんなしうで御ざるに」(出典:虎明本狂言・河原太郎(室町末‐近世初))
  3. [ 3 ] 〘 接頭語 〙 名詞の上に付いて、多くの、多数の、の意を添える。
    1. [初出の実例]「もし衆工人、斉しく日曜日に、作工を做ば」(出典:自由之理(1872)〈中村正直訳〉四)

し【衆】

  1. [ 1 ] ( 「しゅう(衆)」の変化した語 ) 何人かの人。多くの人。人たち。
    1. [初出の実例]「いいへ、お店のしじゃアござりやせん」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)二)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 人を類型としてとらえた語に添えて、やや丁寧な気持を含ませていう。人たち。方々。「子ども衆」「男衆」「おなご衆」など。

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普及版 字通 「衆」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(異体字)
11画

[字音] シュウ
[字訓] おおい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
目+三人。目は古くは囗(い)の形に作り、邑の外郭を示す。その下に人の居する形は邑。三人を列する形は衆であるから、衆とは邑人をいう語である。〔説文八上に「多きなり」とあり、衆多の意とする。卜文の字形に、囗を日の形にしるすものがあり、郭沫若熱の日の下に労働する奴隷の意としたが、卜文では囗(邑)に従う字形が多い。金文に目に従う字が多くなるのは、神の徒隷とされた臣や民が、目の形に従い、あるいは目を傷なう形にしるされていることと関係があろう。金文には衆僕の語があり、戦争に従い、農耕に従う例がある。衆は集合名詞的な語であるから、特定の氏人としての身分を失ったものの称と考えられる。

[訓義]
1. おおい、多くの人、不特定の多くの人。
2. たみ、けらい、庶民。
3. 多くのもの、多くのこと。

[古辞書の訓]
名義抄〕衆 モロモロ・オホシ・イクサ・アマタ・ムラガル

[部首]
部首(ぎん)。〔説文〕〔玉〕に衆・聚など三字を属する。は从(從)・比と同じ構造法の字。単独に用いる例がなく、岐周のに仮借する例が〔書、泰誓、偽孔伝〕にみえる。

[声系]
〔説文〕に衆声としての二字を収める。は水の会集するところ、雨をいう。

[語系]
衆・tjium、dzumは声義近く、衆の声義を承ける。tzim、漸dziamもこの系統の語であろう。

[熟語]
衆悪・衆医・衆雨衆怨衆夥・衆寡・衆皆衆喙・衆客衆喊衆毀衆議衆竅・衆軍・衆芸・衆劇・衆賢・衆言・衆口・衆公・衆行・衆座・衆思・衆士・衆子・衆司・衆事・衆辞衆疾・衆聚衆庶衆胥・衆祥・衆情衆殖衆辱・衆神・衆人・衆世衆生・衆盛・衆籍・衆説・衆多・衆端・衆智・衆兆・衆鳥・衆・衆哲・衆怒衆匿・衆難・衆衆輩・衆非・衆費・衆美・衆魅・衆賓・衆夫・衆物・衆憤・衆兵・衆辟・衆峯・衆芳・衆望・衆謀・衆謗・衆万・衆妙・衆民・衆目・衆誉・衆吏・衆流・衆慮・衆力・衆霊・衆論
[下接語]
安衆・殷衆・介衆・合衆・観衆・義衆・蟻衆・鳩衆・御衆・群衆・軽衆・公衆・士衆・師衆・従衆・親衆・人衆・大衆・治衆・聴衆・徒衆・万衆・撫衆・民衆・有衆・用衆・容衆・養衆・黎衆・労衆

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【僧】より

…とくに男性を僧とよぶのに対し,女性は(あま)とよび,あわせて僧尼ともいう。〈僧〉とはサンスクリットのサンガsaṃghaに対する音写語で,僧伽(そうぎや)とも書き,衆,和合衆と訳す。サンガは元来,集団,共同体の意味で,修行者の集り,教団を指すが,中国では転じて個々の修行者を僧とよぶにいたった(その複数形をあらわす僧侶もまた,日本では個人を指す語に転化した)。…

【同名衆】より

…室町時代末期,同じ苗字を持ち行動をともにした武士の集団。平安時代の後期から鎌倉時代にかけて,武士は惣領を中心に武士団を形成し,中には一族がという組織を作ることもあったが,室町時代になると党結合は弱くなり,規模もしだいに小さくなり,それとともに党にあたる語にも衆という語が用いられるようになった。たとえば戦国時代では,美濃三人衆,山家三方(やまがさんぼう)衆,九一色(くいしき)衆,武川(むかわ)衆,那須衆,三好三人衆等の衆組織が有名である。…

※「衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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