賀茂(読み)かも

精選版 日本国語大辞典 「賀茂」の意味・読み・例文・類語

かも【賀茂】

[一] 賀茂神社のこと。
※古今(905‐914)恋一・四八七「ちはやぶるかものやしろのゆふだすきひとひも君をかけぬ日はなし〈よみ人しらず〉」
[二] 京都市北区上賀茂と、左京区下鴨のこと。
※俳諧・皮籠摺(1699)下「下やみに賀茂の麦食尋けり〈涼菟〉 下闇や鳩根情のふくれ声〈キ角〉」
[三] 謡曲。脇能物。各流。金春禅竹(こんぱるぜんちく)作。古名「矢立鴨」。播磨国室の明神の神職が賀茂明神に参詣し、水汲の女から白羽の矢のいわれを聞く。やがて御祖(みおや)の神(しん)別雷神(わけいかずちのかみ)が現われ、国土を守るさまを見せる。
[四] 静岡県の東部、伊豆半島南部の郡。
[五] 広島県の中南部にあった郡。加茂とも書いた。現在の東広島市を中心とする地域にあたる。
[六] 播磨国(兵庫県)中央部の旧郡名。平安末・鎌倉前期ごろ、東西二郡に分かれ、のちそれぞれが加東郡加西郡となった。〔播磨風土記(715頃)〕

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デジタル大辞泉 「賀茂」の意味・読み・例文・類語

かも【賀茂/加茂】[謡曲]

謡曲。脇能物金春禅竹こんぱるぜんちく作。播磨はりまむろの明神の神職が賀茂神社に参詣すると、御祖神みおやのしん別雷神わけいかずちのかみが現れ、神徳を説く。

かも【賀茂/鴨】[地名]

京都市北区・左京区にわたる賀茂川流域。上賀茂・賀茂・下鴨の辺り。
[補説]曲名別項。→賀茂

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日本歴史地名大系 「賀茂」の解説

賀茂
かも

鴨とも書く。南は高鴨たかかも神社のある大字鴨神かもがみから、北は鴨都波かもつわ神社のある旧御所町に及び、金剛葛城山麓一帯の呼称であったらしい。大字櫛羅くじらの高鴨山には鴨山口かもやまぐち神社が鎮座、御所町に鴨口かもぐち町の町名賀茂前かもまえの小字があり、大字三室みむろに「加茂の西」、大字ましに「鴨浦かもうら」、鴨神に「カモゾヘ」の小字が遺存する。

「釈日本紀」が引く「山城国風土記」には、神倭石余比古の御前に立った賀茂建角身命は、「大倭の葛木山の峯に宿りまし、彼より漸に遷りて、山代やましろの国の岡田の賀茂に至りたまひ、山代河の随に下りまして、葛野かどの河と賀茂河との会ふ所に至」った、ゆえにその地を「名づけて賀茂と曰ふ」と記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賀茂」の意味・わかりやすい解説

賀茂
かも

静岡県東部,西伊豆町北部の旧村域。伊豆半島西岸にある。 1956年宇久須 (うぐす) 村と安良里 (あらり) 村が合体して賀茂村が成立。 2005年西伊豆町と合体。中心集落の宇久須は駿河湾の一漁港,北にある全国有数のケイ石鉱山 (→伊豆ケイ石鉱山 ) の鉱石積出港でもある。さらに富士山の展望と海水浴,キャンプの適地に恵まれた温泉地として発展している。南部の安良里は西伊豆の避難港の一つ。付近ではカーネーショングラジオラスなどの温室促成栽培が行なわれる。黄金崎からの富士山の眺望は特にすばらしい。一部は富士箱根伊豆国立公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「賀茂」の意味・わかりやすい解説

賀茂 (かも)

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