賢所(読み)カシコドコロ

デジタル大辞泉 「賢所」の意味・読み・例文・類語

かしこ‐どころ【賢所】

《恐れ多い所の意》
宮中三殿の一。天照大神あまてらすおおみかみ御霊代みたましろとして神鏡を奉安してある所。内侍所ないしどころ。けんしょ。
八咫やたの鏡のこと。
内侍女官も参りあはずして、―を出だし奉るにも及ばず」〈平家一一

けん‐しょ【賢所】

かしこどころ」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「賢所」の意味・読み・例文・類語

かしこ‐どころ【賢所】

  1. [ 1 ] 皇居の中で天照大神御霊代(みたましろ)として、模造の神鏡をまつってある所。内侍所(ないしどころ)。けんしょ。
    1. [初出の実例]「相府深嘆恐所焼損事、秉燭退出」(出典小右記‐寛弘二年(1005)一一月一六日)
    2. 「中納言は守宮神、かしこどころの御前にて伏しまろび給て」(出典:栄花物語(1028‐92頃)花山たづぬる中納言)
  2. [ 2 ] 神鏡。八咫鏡(やたのかがみ)
    1. [初出の実例]「鏡三〈和名加之古止古呂〉、并太刀契不取出」(出典:日本紀略‐天徳四年(960)九月二四日)

けん‐しょ【賢所】

  1. 〘 名詞 〙 「かしこどころ(賢所)」を音読みした語。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「賢所」の意味・わかりやすい解説

賢所
かしこどころ

「けんしょ」とも読む。皇居で天照大神(あまてらすおおみかみ)の御霊代(みたましろ)とする神鏡を祀(まつ)ってある所。内侍所(ないしどころ)ともよばれた。三種神器一つである神鏡(八咫鏡(やたのかがみ))が、伊勢(いせ)神宮建立とともに移されたため、宮中では別の神鏡を祀ることにした。当初天皇の起居する所に祀られたが、つねにいっしょであることを避けて別に場所を設けた。これが賢所で、平安宮内裏(だいり)では温明殿(うんめいでん)にあり、鎌倉時代以後は春興殿(しゅんこうでん)に移った。1869年(明治2)明治天皇の東京遷都に伴って、皇居内の山里御庭に造営され、皇居火災後の89年皇霊(こうれい)殿、神殿とともに宮中三殿として吹上御苑(ふきあげぎょえん)内に新造され、現在に至っている。

[吉田早苗]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「賢所」の解説

賢所
かしこどころ

「けんしょ」とも。尊所・神座・神殿とも。宮中において天照大神(あまてらすおおみかみ)を象徴する神鏡を安置し祭る所。平安宮では,綾綺殿(りょうきでん)の東の温明殿(うんめいでん)にあった。神殿に奉仕し,神鏡の守護にあたる内侍(ないし)の居所でもあったため,内侍所(ないしどころ)とも称した。賢所には三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)のほか,天皇の権力を象徴する太刀・節刀・鈴なども保管された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賢所」の意味・わかりやすい解説

賢所
かしこどころ

内侍所ともいう。三種の神器の一つ,皇祖神といわれるアマテラスオオミカミの御霊代 (みたましろ) という神鏡を祀る殿舎。内侍がこれを守護した。神鏡は古くは天皇の宮殿に安置されたが,伊勢神宮が創設されると,そこに移され,宮殿には別の神鏡を祀り,ここを賢所といった。平安時代には温明殿,鎌倉時代には春興殿,明治以後は山里御庭,吹上御苑に移された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「賢所」の解説

賢所
かしこどころ

三種の神器のうち八咫鏡 (やたのかがみ) が奉安される宮中祭殿
宮中三殿の一つ。内侍所 (ないしどころ) ともいう。八咫鏡は皇祖神天照大神 (あまてらすおおみかみ) の御魂代 (みたましろ) として祭られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「賢所」の意味・わかりやすい解説

賢所 (かしこどころ)

内侍所(ないしどころ)

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百科事典マイペディア 「賢所」の意味・わかりやすい解説

賢所【かしこどころ】

内侍所

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世界大百科事典(旧版)内の賢所の言及

【宮中三殿】より

…皇居に奉斎されている賢所(かしこどころ)・皇霊殿・神殿の3殿の総称。1月3日の元始祭をはじめ,春秋2期の皇霊祭・神殿祭,および神嘗祭・新嘗祭や先帝祭その他の皇室祭祀がここで行われる。…

【内侍所】より

…女官の内侍が守護したところからこの名がある。賢所(かしこどころ∥けんしよ)ともいい,威所,尊所,恐所,畏所とも記す。三種の神器の一つである神鏡は,伊勢神宮に祀られているが,これを模して造った神鏡が天皇の身辺近くに奉安されたもので,平安京では紫宸殿の東北にある綾綺殿(りようきでん)の東に位置する温明殿(うんめいでん)がその場所となった。…

【内侍所】より

…女官の内侍が守護したところからこの名がある。賢所(かしこどころ∥けんしよ)ともいい,威所,尊所,恐所,畏所とも記す。三種の神器の一つである神鏡は,伊勢神宮に祀られているが,これを模して造った神鏡が天皇の身辺近くに奉安されたもので,平安京では紫宸殿の東北にある綾綺殿(りようきでん)の東に位置する温明殿(うんめいでん)がその場所となった。…

※「賢所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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