贖物(読み)あがもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

贖物
あがもの

祓 (はらい) のとき,罪やけがれをあがなうために神に差出すもの。または身の災いを人形に負わせて水に流し,災いをはらうもの。または令制で,死罪以下の罪人が,罪をつぐなうためその軽重に応じて差出すをいう。律では「 10に対して銅1斥 (600g) とする」などと定められ,銅がなければ銭を時価に準じて出す規定であった。

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デジタル大辞泉の解説

あが‐もの【×贖物】

《「あかもの」とも》
祓(はら)えに用いる具。身のけがれや災厄を代わりに負わせて、川などに流す装身具や調度品。形代(かたしろ)。
罪をつぐなうために出す財物

しょく‐ぶつ【×贖物】

罪を償うために差し出す。あがないもの。ぞくぶつ。

ぞく‐ぶつ【×贖物】

しょくぶつ(贖物)

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世界大百科事典 第2版の解説

あがもの【贖物】

罪穢(つみけがれ)をい清めるときに,その代償として差し出す物品のこと。上代においては,罪穢はともに祓によって消滅すると考えられていたが,律令制度の確立後にはもっぱら罪は刑によって,穢は祓によって解除されると考えられるようになった。しかし,その後も罪穢は祓によって清められるという観念は依然として強く残った。6月,12月の晦日に行われる恒例の大祓(おおはらえ)の儀には,〈御贖(みあがもの)〉として〈鉄人像,金装横刀,五色薄絁,糸,安芸木綿,凡木綿,麻,庸布,御衣,袴,被,鍬,米,酒,鰒,堅魚,腊,海藻,塩,水盆,坩坏,,柏,小竹〉を使用したことが《延喜式》に見えている。

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大辞林 第三版の解説

あがもの【贖物】

〔「あかもの」とも〕
はらえの際に、身のけがれや罪を代わりに負わせて川などに流す装身具や調度品。形代かたしろ
罪のつぐないとして出す財物。

しょくぶつ【贖物】

律令時代、稲・布・銅銭などを納付させて犯罪人に罪をあがなわせたこと。また、その物。

ぞくぶつ【贖物】

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

贖物
あがもの

罪穢(つみけがれ)を祓(はら)い清めるために、その代償として差し出した物品をいう。法制が確立しなかった古代には、罪も穢も祓(はらえ)で解消すると考えられていた。のち法制が確立すると、罪は刑で償われ、穢は祓によって解消すると考えられるようになった。『延喜式(えんぎしき)』四時祭(しじさい)上の「御贖(みあが)」には、鉄人像(まがねのひとがた)、金装横刀(こがねづくりのたち)、五色薄(いついろのうすぎぬ)、糸、安芸木綿(あきのゆう)、凡木綿(おおしのゆう)、麻(あさ)、庸布(ちからしろのぬの)、御衣(みそ)、袴(はかま)、被(ふすま)、鍬(すき)、米、酒、鰒(あわび)、堅魚(かつお)(きたい)、海藻(め)、塩、水盆(みずひらか)、坩坏(かわしりつき)、匏(なりひさご)、柏(かしわ)、小竹(しの)などが記されている。御贖は毎年6月と12月の大祓(おおはらえ)や毎月晦日(みそか)の祓にも進上された。[沼部春友]

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精選版 日本国語大辞典の解説

あがい‐もの あがひ‥【贖物】

〘名〙 (古くは「あかいもの」) 罪のつぐないとして出すもの。過料。
※三代格‐二〇・天長元年(824)五月五日「仍湏其贖物者銅代収稲、国司撿納便宛営溝池

あがない‐もの あがなひ‥【贖物】

あが‐もの【贖物】

〘名〙 (「あが」は、動詞「あがう(贖)」の語幹。「あかもの」とも)
① 祓(はら)いの具。身のけがれや、身にふりかかる災難などを、代わりに負わせて川などに流してやる装身具や調度。人形(ひとがた)。形代(かたしろ)。《季・夏》
※権記‐長保二年(1000)一二月二九日「除却之後。入御簾中、東廂南第三間設御座、供御贖物
② 祓いの道具をいう女房詞。
③ 罪過のつぐないとして出す物。特に、律令時代、犯罪人に対して、銅銭、稲、布などの物件を納付させて罪をあがなわさせたこと。また、その物件。
※令義解(833)職員「贓贖司。正一人。掌〈略〉贓贖。〈謂、非理取財曰贓。倍贓亦同也。出金当罪曰贖。入公入私並同也。其諸国贖物。即入当司。以充理獄舎等也〉闌遺雑物〈略〉事

しょく‐ぶつ【贖物】

ぞく‐ぶつ【贖物】

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