罪穢(つみけがれ)を祓い清めるときに,その代償として差し出す物品のこと。上代においては,罪穢はともに祓によって消滅すると考えられていたが,律令制度の確立後にはもっぱら罪は刑によって,穢は祓によって解除されると考えられるようになった。しかし,その後も罪穢は祓によって清められるという観念は依然として強く残った。6月,12月の晦日に行われる恒例の大祓(おおはらえ)の儀には,〈御贖(みあがもの)〉として〈鉄人像,金装横刀,五色薄絁,糸,安芸木綿,凡木綿,麻,庸布,御衣,袴,被,鍬,米,酒,鰒,堅魚,腊,海藻,塩,水盆,坩坏,匏,柏,小竹〉を使用したことが《延喜式》に見えている。一条兼良の《公事根源》(応永年間撰)は〈あが物は身のわざはひをあがふ物をいふ心なり,人形を作て,身の代とする事おなじ心なるにや〉と述べ,罪穢を移して河海に流しやる人形(ひとがた)と贖物との関係を指摘している。なお,刑罰の科料としての贖物は刑部省に収められた。
執筆者:茂木 貞純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
罪穢(つみけがれ)を祓(はら)い清めるために、その代償として差し出した物品をいう。法制が確立しなかった古代には、罪も穢も祓(はらえ)で解消すると考えられていた。のち法制が確立すると、罪は刑で償われ、穢は祓によって解消すると考えられるようになった。『延喜式(えんぎしき)』四時祭(しじさい)上の「御贖(みあが)」には、鉄人像(まがねのひとがた)、金装横刀(こがねづくりのたち)、五色薄絁(いついろのうすぎぬ)、糸、安芸木綿(あきのゆう)、凡木綿(おおしのゆう)、麻(あさ)、庸布(ちからしろのぬの)、御衣(みそ)、袴(はかま)、被(ふすま)、鍬(すき)、米、酒、鰒(あわび)、堅魚(かつお)、腊(きたい)、海藻(め)、塩、水盆(みずひらか)、坩坏(かわしりつき)、匏(なりひさご)、柏(かしわ)、小竹(しの)などが記されている。御贖は毎年6月と12月の大祓(おおはらえ)や毎月晦日(みそか)の祓にも進上された。
[沼部春友]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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