博学をもってきこえた中国,南宋の鄭樵(ていしよう)(1104-62)の著。後世,唐の杜佑(とゆう)の《通典(つてん)》,元の馬端臨の《文献通考》とあわせて〈三通〉とよばれ,政書に分類されることが多い。だがその総序で《史記》をほめ《漢書》をおとしめていることからも明らかなように,断代史ではない通史を著そうというのが鄭樵の目的であった。本紀18巻,后妃伝2巻,年譜4巻,略52巻,列伝124巻,あわせて200巻。本紀と列伝は旧来の正史の記事を簡略にまとめ,年譜は正史の〈表〉に相当する。もっとも特色が示されるのは正史の〈志〉に相当する略の部分であって,あわせて20略をかぞえ,それらのなかには唐の劉知幾の《史通》の意見にもとづくところの〈氏族略〉〈都邑略〉〈草木昆虫略〉,文字学,音韻学に関する〈六書略〉〈七音略〉,目録学として創見に富む〈校讐(こうしゆう)略〉など,旧来の〈志〉にはないあらたな項目が設けられている。
執筆者:吉川 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…中国,書名に通の字を持つ9種類の制度中心の百科全書集。唐の杜佑(とゆう)の《通典(つてん)》,宋の鄭樵の《通志》,元の馬端臨の《文献通考》は,性格は違うが歴代の制度沿革を知るに有用な書で三通と呼ばれてきた。清の乾隆帝は1747年(乾隆12),67年にそれぞれ〈皇朝〉と〈欽定続〉の名を冠した《文献通考》《通典》《通志》6種を勅撰,これらが一括して九通といわれるが,実録,会典などにくらべ,二次史料的でかつ膨大なため,あまり使われない。…
※「通志」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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