1940年代の初め,イギリスのコンフナーR.Kompfnerによって発明された極超短波(UHF以上)の広周波数帯域増幅管。TW管ともいう。通常の増幅器では,共振回路を用い,集中的に電子流と相互作用を行うので周波数帯域幅が狭い。進行波管では,進行する電波と電子流とをある長さにわたって相互作用を行わせる。電波の速度が広い周波数範囲にわたりほぼ一定であれば,広帯域性が得られる。低い単位長あたりの増幅度は,長さによって稼ぐ。進行電波の回路である導波管などは,位相速度が光速より速い。したがって,これを電子の速度とほぼ同じにするために,遅波回路を用いなければならない。らせん回路はその代表的なもので,軸上の電波速度が,らせんのピッチと周との割合で光速より減速され,1オクターブ程度の広い周波数帯域が得られる。らせん回路は耐熱性が低いので,小電力用に適し,数Wから数百W程度までである。kW級には円形または矩形導波管を変形したろ波器形回路が用いられる。マイクロ波の地上および人工衛星の通信用に使われている。
執筆者:相浦 正信
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