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金属疲労 きんぞくひろう metal fatigue

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知恵蔵2015の解説

金属疲労

金属材料に繰り返し、長時間、応力が加わると、降伏点より低い応力でも、応力が集中する局部に亀裂が生じ、それが進行して破壊に至ることがある。この現象が金属疲労。破壊面に独特の貝殻状波紋が見られるのが特徴。航空機の構造材などは、振動や圧力変化によって長時間繰り返し外力を受けており、疲労破壊の危険にさらされている。

(岡田益男 東北大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

きんぞく‐ひろう〔‐ヒラウ〕【金属疲労】

金属材料に外力が繰り返し加わり、無数の微小な亀裂が生じること。材料がもろくなって、やがては破壊される。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
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百科事典マイペディアの解説

金属疲労【きんぞくひろう】

ある力をくり返し受けていくうちに,金属に亀裂が生じたり,強度が落ちること。1985年8月の日航ジャンボ機墜落事故では後部圧力隔壁の金属疲労が原因とされた。
→関連項目航空事故

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

きんぞくひろう【金属疲労】

金属の疲れ。金属材料が荷重を繰り返し受けて微小な亀裂を生じ、それが伝播して破壊にいたる現象。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

金属疲労
きんぞくひろう

金属材料が繰り返し荷重を受けると静的な破壊荷重よりはるかに小さい荷重でも破壊することがある。この現象を金属疲労といい、人類が金属を用いて機械や建造物をつくるようになって以来の大きな課題である。
 19世紀の中ごろ、鉄道建設が進むにつれて機関車車軸の疲労が問題となり、イギリスのランキンは1843年にこの問題に関する論文を発表している。また、イギリスの技師フェアベアンW. Fairbairn(1789―1874)は列車によって繰り返し荷重を受ける箱桁橋(はこげたばし)の強さに興味をもち、独自の疲労試験機を用いて実験的研究を行っている。しかし、金属疲労の科学的研究の原点といわれるのはプロイセン生まれのウェーラーA. Whler(1819―1914)である。彼は自ら試作した試験機と測定器により数多くの基礎的実験を行い、疲労亀裂(きれつ)の発生、応力振幅や耐久限度の概念など金属疲労に関する先駆的研究を進めた。彼の設計製作した試験機はミュンヘンのドイツ博物館に保存されている。
 工業が飛躍的に進歩し、機械や構造物の使用条件が過酷になる一方、より安全で合理的な設計が要求される今日では、金属疲労の問題の重要性はますます大きくなっている。少なくとも常温で繰り返し荷重を受ける機械や構造物の設計は疲労を基準にして行われる。[林 邦夫]

疲労破壊の様式

金属材料の疲労は基本的には材料固有の一つの性質であると考えられるが、きわめて複雑な様相を示し、材料の大きさや形状、応力の種類などの力学的因子や金属学的因子によって大きな影響を受ける。一般に静的な荷重によって金属材料が破壊する場合には、破断面近傍が塑性変形したのちに破壊する。たとえ応力集中が生じていても、まず最大応力部が塑性変形して近傍の応力がしだいに平均化されてから破壊する。ところが、繰り返し荷重による疲労破壊の場合は、延性材料であっても、ほとんど塑性変形を生じないで破壊する。微細に調べると、破壊に至るまでの塑性変形の様式は静的破壊の場合と類似しているが、疲労破壊の場合はその変形がきわめて局部的であるという特徴がある。これは、繰り返し応力によって材料のなかのもっとも弱い部分に微細な亀裂(きれつ)を生じ、一度亀裂が生ずれば亀裂両端の応力がきわめて大きいので、その後の繰り返し応力により亀裂は進展し、荷重を負担する材料の断面積がしだいに減少して、ついには瞬間的に破壊するという疲労破壊の破壊様式によるものである。したがって、疲労破壊の破断面は静的破断の場合とは異なり、貝殻状の模様がみられ、疲労亀裂の進展したようすがわかる。[林 邦夫]

応力と疲労強度

金属材料の疲労に対する強さを疲労強度といい、疲労試験(疲れ試験ともいう)によって調べられる。金属材料に加えられる繰り返し応力の最大値と最小値との差の半分を応力振幅(S)とよぶが、一定の応力振幅に対して疲労破壊するまでの繰り返し数(N)を測定し、種々の応力振幅について行った試験結果をもとに図示したものをSN曲線といい、疲労強度を表す重要な線図である。この表示法はウェーラーによって提案されたのでウェーラー曲線ともいう。SN曲線は、一般に応力振幅が小さくなると破壊に至るまでの繰り返し数が多くなることを示しているが、鉄鋼材料では、応力振幅がある値以下になるといくら繰り返しても破壊しなくなる。この応力振幅の上限値を疲労限度といい、この値以下で鉄鋼材料を使用するように設計すれば疲労破壊の心配はないことになる。また、ある繰り返し数に対して疲労破壊しない応力振幅の上限値を、その繰り返し数に対する時間強度、ある応力振幅に対して疲労破壊するまでの繰り返し数を疲労寿命という。ある時間強度で設計された機械部品などは、対応する疲労寿命に達する前に検査して部品の交換などを行う必要がある。疲労強度は、繰り返し応力の平均値に対しては、それが材料の弾性限界に比べて小さい場合、あまり影響を受けない。しかし疲労試験では、同一材料、同一条件で試験を行っても、疲労強度にかなりのばらつきがある。
 疲労試験は一般に長い時間と多大の経費とを要するので、より簡単に測定可能な他の材料特性、たとえば静的材料試験結果と疲労強度とを関係づけようという多くの試みがなされてきた。しかし、特定の材料や応力の場合に適用できそうな関係はいろいろみいだされてはいるが、一般性をもち十分信頼できる関係は現在のところ存在しない。疲労強度は繰り返される応力の種類によっても異なるので、引張り、圧縮、曲げ、ねじりなど一つの応力に対する疲労試験のほかに、2種類以上の応力を同時に加える組合せ荷重疲労試験や、機械部品などとして金属材料が実際に使用されたときの荷重を推定し、応力の種類、振幅、周波数、波形などを一定のプログラムに従って変化させるプログラム疲労試験なども行われている。なお、応力振幅が変動する場合の金属材料の疲労寿命を推定するのに、個々の応力振幅に対する疲労被害を加算する累積疲労被害則が用いられる。
 金属材料の疲労強度に影響を及ぼす因子はきわめて多く、材料や熱処理が同一であっても、試料の大きさ(寸法効果)、形状(切欠き効果)、表面の仕上げの程度により複雑な影響を受ける。また、腐食の存在、温度条件によっても疲労強度が著しく低下することがある。[林 邦夫]

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