デジタル大辞泉
「陰嚢」の意味・読み・例文・類語
ふぐり【陰=嚢】
1 金玉。睾丸。いんのう。
2 松ぼっくり。松かさ。
「橋立の松の―も入り海の波もてぬらす文殊しりかな」〈咄・醒睡笑・五〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ふぐり【陰嚢】
- 〘 名詞 〙
- ① 多くの哺乳類の雄の陰茎基部に下垂する袋。いんのう。〔十巻本和名抄(934頃)〕
- ② 松ぼっくり。松かさ。
- [初出の実例]「山に千年海にせんねむ ふくりまてうしほにうつる嶺の松」(出典:俳諧・犬筑波集(1532頃)雑)
- ③ ( 形が①に似ているところから ) はかりの分銅。おもり。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
- ④ 江戸時代、宝引(ほうびき)の綱の一本につけた分銅や金輪。この綱を引き当てた人を当たりとした。
- [初出の実例]「恋の宝引を始めて、思ひ思ひの思わくをふぐりと定」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)三)
いん‐のう‥ナウ【陰嚢】
- 〘 名詞 〙 多くの哺乳類の雄の陰茎基部に下垂する袋。精巣、副精巣などを内部に含み、表面には汗腺、硬毛などがある。ふぐり。
- [初出の実例]「陰嚢を打て病脳忽堕レ命云々」(出典:看聞御記‐応永二八年(1421)九月二四日)
- 「動脈血脈の二筋が、背骨へついて下るままに、腎の臓へ来て〈略〉また陰嚢へ下って精汁と化り」(出典:志都の岩屋講本(1811)下)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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陰嚢
いんのう
男性外陰部の一部分。内部にそれぞれ1対の精巣(睾丸(こうがん))、精巣上体(副睾丸)、精索を含む嚢(のう)状の皮膚で、陰茎根部から下垂している。皮膚は薄く、思春期には色素が増加し暗赤褐色になる。汗腺(かんせん)、脂腺を有し、成人では表面に陰毛が生える。陰嚢正中線に細い高まりの陰嚢縫線(ほうせん)がある。陰嚢皮下には脂肪組織がなく、よく発達している平滑筋線維が縦走しているため、この筋の収縮で皮膚に細かいしわができる。平滑筋線維は寒暖に対して敏感に反応し、絶えず収縮運動を続けている。一般に左側精巣は右側精巣より低いので、陰嚢も左側が低位にある。精巣と精巣上体は胎生初期に腹腔(ふくくう)の背側壁で発生するが、胎生8か月ころになると、腹膜が鞘(さや)状に下方に突出した鞘状突起に沿って陰嚢内へと下降する。なお、鞘状突起は途中が閉鎖してしまうが、それが弱いと腹圧などで腸が陰嚢内に押し出される。これが陰嚢ヘルニアである。陰嚢は女性の大陰唇に相当する。
[嶋井和世]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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陰嚢【いんのう】
精巣(睾丸(こうがん))を包む皮膚の袋。下腹部の皮膚の続きであるが,メラニンに富み,汗腺が多く,皮下脂肪がなくて肉様膜という平滑筋の薄い層がある点で異なる。この筋層の収縮によって陰嚢の皮膚に著しい皺(しわ)が現れ睾丸の温度調整に役立っていると考えられている。発生学的には女性の大陰唇(陰唇)に相当し,男子では左右の部分が癒着したもので,その跡として,表面の正中線に陰嚢縫線(ほうせん)という線条が見られる。
→関連項目外陰部|停留睾丸
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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陰嚢
いんのう
scrotum
俗にふぐりともいう。男性の性腺である精巣 (睾丸) ,精巣上体 (副睾丸) ,精索を入れる嚢で,皮膚および皮下組織から成り,皮下脂肪をもたない。発生学的には女性の大陰唇に相当する。陰嚢内には隔壁があり,精巣が左右に移動することはない。表面から見ても,陰嚢縫線という縫い目が陰嚢を左右に分けている。陰嚢の皮膚にはひだがあり,多数の皮脂腺と汗腺がある。皮下では3層の筋膜が精巣を包んでおり,このうち提睾筋膜は精巣を上に吊上げる働きをする。急に冷水を浴びたときに陰嚢が縮み上がるのは,この筋膜の作用による。精巣が上下するのはそれ自身の温度調節が目的であり。陰嚢は,精巣を体温より若干低い温度に保つための構造と機能をそなえていると考えられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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