飢える(読み)ウエル

デジタル大辞泉 「飢える」の意味・読み・例文・類語

う・える〔うゑる〕【飢える/餓える/×饑える】

[動ア下一][文]う・う[ワ下二]
食物がなくて空腹に苦しむ。ひどく腹が減る。「大飢饉ききん多くの人が―・える」
望み求めている物事が得られないので、それを強く求める。「愛情に―・えている」
(「気がうえる」の形で)気力が乏しい。気が弱くなる。
「気が―・えきって来ると、笹村そっげるように宿の門を出た」〈秋声
[類語]かつえる腹が減る・腹を空かす・お腹が空く・お腹と背中がくっつきそう・小腹が空くひもじいひだるい食い足りない口寂しい口ざみしいぺこぺこ腹ぺこ空腹空腹感飢餓感飢え飢餓干乾し飢渇飢饉水飢饉空き腹空きっ腹ハングリー腹がすく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「飢える」の意味・読み・例文・類語

かつ・えるかつゑる【飢・餓】

  1. 〘 自動詞 ア行下一(ワ下一) 〙
    [ 文語形 ]かつ・う 〘 自動詞 ワ行下二段活用 〙
  2. 食べ物が無くて苦しむ。腹がひどく減ってひもじくなる。
    1. [初出の実例]「ゐ中之事はうゑかつへ候て、用之夫日之事さへ仕かね候」(出典:東寺百合文書‐に・(年未詳)(室町)四月一日・丹波大山荘一井谷百姓等申状)
  3. ( 「…にかつえる」の形で ) …に非常に欠乏を感じる。…が足りないと強く感じる。
    1. [初出の実例]「山寺の坊主、親しき人にあふて『この程久しく若衆にかつゑて迷惑をいたす』と語る」(出典:咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)下)

飢えるの補助注記

( 1 )室町時代頃から見える語で、終止連体形としてヤ行に転じた「かつゆ(る)」が使われているが、未然形、連用形は「かつえ、かつへ」の両形が区別しにくいので、その例は便宜上この項に入れ、「かつゆ」にははっきり区別できる「ゆ」の例だけあげた。→飢(かつ)ゆ
( 2 )歴史的仮名遣いは定めがたいが、飢(うゑ)語源として、カツヱとするのが通説


う・えるうゑる【飢・餓】

  1. 〘 自動詞 ア行下一(ワ下一) 〙
    [ 文語形 ]う・う 〘 自動詞 ワ行下二段活用 〙
  2. 飲食物が乏しくて苦しむ。空腹になる。のどがかわく。
    1. [初出の実例]「われよりも 貧しき人の 父母は 飢(うゑ)(こ)ゆらむ」(出典:万葉集(8C後)五・八九二)
  3. ( 多く「気がうえる」の形で用いて ) 気力が乏しい。気が弱くなる。
    1. [初出の実例]「過なる時は勢溢れてとどむべからず。不及なる時は餒(ウヘ)(〈注〉アザレ)て用をなさず」(出典:談義本・田舎荘子(1727)猫之妙術)
  4. ( を比喩的に用いて ) 強く望んでいるものが満たされないで苦しむ。
    1. [初出の実例]「詩の話、歌の話、昌作の平生飢ゑてる様な話が多いので」(出典:鳥影(1908)〈石川啄木〉六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android