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日本古代の市の一つ。会賀,恵我とも記される。応神陵など恵我を冠する陵名や現存地名からみて,古くは藤井寺市~羽曳野市北部一帯を広く〈恵我〉と称したと考えられる。餌香市はこの地域に所在したことは明らかであるが,より具体的には大津道と丹比(たじひ)道の石川渡河点付近,すなわち現在の藤井寺市国府付近と羽曳野市古市付近の2ヵ所が考えられるが,にわかに決めがたい。《日本書紀》顕宗即位前紀の新室寿(にいむろほぎ)の詞章〈旨酒(うまさけ)餌香の市〉を,《釈日本紀》が高麗人(こまびと)が餌香市に来住して良酒を醸造したと注しているのは,この地域が古来渡来人の集住地であったことと関係する。また雄略13年3月条に,天皇が歯田根命(はたねのみこと)の贖罪のための資財を〈餌香市辺の橘の本〉に置かしめたとある。文字どおりとすると,海柘榴市(つばいち)の椿,阿斗桑市(あとのくわのいち)の桑とともにこの市にも橘が植えられていたことになる。770年(宝亀1)会賀市司の官人が任じられたが,これは前年,由義宮(ゆげのみや)を西京としたのに伴い,その東西市として位置づけた結果であろう。
執筆者:栄原 永遠男
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日本古代の市。『日本書紀』雄略(ゆうりゃく)天皇13年3月条に「餌香の市辺の橘(たちばな)の本(もと)」とあるので、海柘榴市(つばいち)の椿(つばき)、阿斗(あとの)桑市(くわのいち)の桑のごとく、橘の木が植えられていたのであろう。その所在地は、大阪府の藤井寺市、羽曳野(はびきの)市北部の古名「恵我(えが)」からみて、その範囲内にあたり、藤井寺市国府(こう)付近もしくは羽曳野市古市(ふるいち)付近が考えられる。770年(宝亀1)「会賀市司(えがのいちのつかさ)」が任命されたが、これは、前年に由義宮(ゆげのみや)(八尾市)を西京(さいきょう)としたのに伴い、餌香市を平城京の東西市(とうざいいち)に相当せしめたため、東西市の市司にあたるものとして置かれたのであろう。
[栄原永遠男]
…しかし,20世紀になると,新しい店舗が主要街路に沿ってつくられ,その比重が低下した。ギルド商人職人都市広場【坂本 勉】
【日本】
[古代]
《日本書紀》《万葉集》などには,8世紀以前の市として〈餌香市(えがのいち)〉〈阿斗桑市(あとくわのいち)〉〈海柘榴市(つばいち)〉〈軽市(かるのいち)〉などがみえる。このうち〈海柘榴市〉は上ッ道,山辺道と横大路の交点付近に,〈軽市〉は下ッ道と山田~雷~丈六の道との交点付近など主要交通路の結節点に位置し,飛鳥の倭京の北東と南西にあって,これと密接な関係にあったらしい。…
※「餌香市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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