デジタル大辞泉
「駄」の意味・読み・例文・類語
だ【駄】
[名]荷役に使う馬。駄馬。
「―一疋を給はせよ」〈大鏡・道長下〉
[接頭]名詞に付いて、値うちのないもの、つまらないもの、粗悪なものなどの意を表す。「駄菓子」「駄じゃれ」
[接尾]助数詞。馬1頭に負わせる荷物の量を1駄として、その数量を数えるのに用いる。江戸時代には36貫(約135キロ)を定量とした。
「旦那はお駕かおむまか。お荷物はいく―ほどござります」〈滑・膝栗毛・三〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
だ【駄】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 馬が荷を負うこと。また、荷を負った馬。
- [初出の実例]「駄賃料一万五千斛〈駄五万疋疋別三斗〉」(出典:類聚三代格‐八・弘仁一三年(822)三月二八日)
- [その他の文献]〔李夢陽‐豆茎行〕
- ② 運送用の馬。荷馬。駄馬。また、牝馬のこと。
- [初出の実例]「もしまことにきこしめしはてまほしくば、駄一疋たまはせよ」(出典:大鏡(12C前)六)
- ③ 馬で荷物を運ぶこと。また、牛馬に負わせた荷物。
- [初出の実例]「凡公私運米五斗為レ俵、仍用二三俵一為レ駄。自余雑物亦准レ此。其遠路国者。斟量減之」(出典:延喜式(927)五〇)
- [その他の文献]〔陸游‐示諸稚詩〕
- ④ 馬一頭に負わせる荷物の量。概略の量をさして助数詞的に用いるが、江戸時代の一駄は、本馬(ほんま)が三六貫(約一三五キログラム)、軽尻(からじり)が一六貫(約六〇キログラム)と定められていた。
- [初出の実例]「凡一駄荷率絹七十疋。絁五十疋。糸三百絇。綿三百屯。調布卅端。庸布
段。商布五十段。銅一百斤。鉄卅廷。鍬七十口」(出典:延喜式(927)二六)
- ⑤ 酒三斗五升(六三リットル)入りの樽二つの称。東海道下りで、二樽を一駄としたところからいう。その一樽を片馬(かたま)という。また、醤油は、八升入八樽を一駄とし、四樽を片馬という。
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙 名詞の上に付いて、ねうちのないつまらないもの、粗悪なもの、の意を表わす。「駄菓子」「駄作」「駄句」「駄弁」など。
- [初出の実例]「だ酒でも打食らって」(出典:浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)中)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「駄」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 
駄
だ
馬に荷を背負わせて運ぶこと、また荷を背負った馬や、その荷をいう。転じて運送用の荷馬をいい、ときに牝馬(ひんば)をさすが、これは牝馬が荷を運ぶ用にあてられることが多かったことによるものと考えられる。馬一頭に背負わせられる荷物の重量をいう場合、江戸時代の定めでは、荷物運び専門の本馬が一駄36貫(約135キログラム)、人1人を乗せる軽尻(からじり)が一駄16貫(約60キログラム)であるが、この軽尻の重量に換算して、酒3斗5升(約63リットル)入りの樽(たる)二つを一駄といい、一つを片馬(かたうま)といった。
荷馬(駄馬)は乗馬に適さない下等な馬とされたため、駄菓子、駄物、駄洒落(だじゃれ)などとこの駄の字を名詞に冠して、値うちのないもの、つまらないものの意を表す。
[宇田敏彦]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
Sponserd by 