魂消る(読み)タマゲル

デジタル大辞泉 「魂消る」の意味・読み・例文・類語

たま・げる【消る】

[動ガ下一]《「たまきえる」の音変化》非常に驚く。肝をつぶす。びっくりする。たまぎる。「人出の多いのには―・げた」
[類語]驚く仰天びっくりどきっとするぎくっとするぎょっとする動転する喫驚きっきょうする驚愕きょうがくする驚倒する一驚する驚嘆する瞠目どうもくする恐れ入るあきれる唖然あぜんとする愕然がくぜんとする呆気あっけにとられる目を疑う目を丸くする目を見張る息をのむきもをつぶす腰を抜かす

たま‐ぎ・る【消る】

[動ラ五(四)]たまげる」に同じ。
「『人殺し!』と老婆の―・る声」〈木下尚江良人の自白
[動ラ下二]こわがる。びくびくする。
「いとほしやさらに心の幼びて―・れらるる恋もするかな」〈山家集・下〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「魂消る」の意味・読み・例文・類語

たま‐・げる【魂消】

  1. 〘 自動詞 ガ下一段活用 〙 ( 「げる」は「きえる」の変化したもの ) 肝をつぶす。驚く。びっくりする。仰天する。たまぎる。たまがる。
    1. [初出の実例]「巻台の古人たまげん高欠び」(出典:俳諧・広原海(1703)一五)
    2. 「其三十人が悉く抜き身を携げて居るには魂消(タマゲ)た」(出典坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一〇)

魂消るの語誌

( 1 )「驚く」意の方言は、近畿周辺にビックリスル、その外側にオビエル類、さらに外側にタマゲル類が周圏分布を呈し、かつて都で起こったタマゲル類→オビエル類→ビックリスルとの語の改変を反映する。
( 2 )文献への出現順は、オビユ・オドロク(奈良時代)→タマゲル類(平安時代末)→ビックリスル(室町時代末)で、意味差・文体差などが関与するため、方言に反映された歴史とは必ずしも噛み合わない。


たま‐ぎ・る【魂消】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙たまげる(魂消)
    1. [初出の実例]「主上夜々おびえたまぎらせ給ふ事有りけり」(出典:高野本平家(13C前)四)
    2. 「『アレッ、新坊様が!』と魂消(タマギ)った叫声が」(出典:鳥影(1908)〈石川啄木〉九)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙たまげる(魂消)
    1. [初出の実例]「いとほしやさらに心のをさなびてたまぎれらるる恋もするかな」(出典:山家集(12C後)下)

たま‐が・る【魂消】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙たまげる(魂消)日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「こりゃたまらぬはたまがられぬぞ」(出典:雑俳・長ふくべ(1731))

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