驚く(読み)オドロク

デジタル大辞泉 「驚く」の意味・読み・例文・類語

おどろ・く【驚く/×愕く/×駭く】

[動カ五(四)]《意識していなかった物事に、はっと気づく意が原義
意外なことに出くわして、心に衝撃を受ける。びっくりする。感嘆する。「宇宙の神秘に―・く」「父の博識に―・く」
はっと気がつく。
「ほととぎすけさ鳴く声に―・けば君に別れし時にぞありける」〈古今哀傷
目が覚める。
「あまたたび言ふ声にぞ―・きて見れば」〈・八〉
[可能]おどろける
[類語](1びっくりするどきっとするぎくっとするぎょっとするたまげる仰天する動転する喫驚きっきょうする驚愕きょうがくする驚倒する一驚する驚嘆する瞠目どうもくする恐れ入るあきれる唖然あぜんとする愕然がくぜんとする呆気あっけにとられる目を疑う目を丸くする目を見張る息をのむきもをつぶす腰を抜かす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「驚く」の意味・読み・例文・類語

おどろ・く【驚・愕・駭】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 今まで意識しなかったことを意識する。はっと気がつく。
  2. 意外なことにあって、心が動く。心の平静を失う。びっくりする。
    1. [初出の実例]「天照大神、驚動(ヲトロキ)たまひて、梭(かひ)をもて身を傷(いた)ましむ」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
    2. 「水鳥の羽音におどろいて、矢ひとつだにも射ずして」(出典:平家物語(13C前)七)
  3. はっとして気づく。注意がひかれる。
    1. [初出の実例]「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる〈藤原敏行〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・一六九)
  4. 眠りからさめる。目ざめる。
    1. [初出の実例]「時に天皇、皇后の膝に枕して昼寝したまふ。〈略〉天皇則ち寤(ヲトロキ)て、皇后に語りて曰はく」(出典:日本書紀(720)垂仁五年一〇月(熱田本訓))
  5. ( 「驚いた…」などの形で ) あまりのひどさにびっくりするほどである。あきれる。
    1. [初出の実例]「驚いた無神経な奴だな」(出典:アパアトの女たちと僕と(1928)〈龍胆寺雄〉八)

驚くの語誌

( 1 )上代から生理的覚醒(目覚める)と心理的覚醒(びっくりする)とを意味したが、中古では、意外な事実に遭遇して平静さを失うとか、事態を急に悟るといった心理的意味での用法が目立つ。
( 2 )平安中期以降「目おとろかぬはなきを」〔源氏藤裏葉〕のように目、耳、心など感覚関連語彙と共起する例も多く、さらに「今昔‐一七」の「驚くままに目悟めぬ」、「同‐二八」の「目悟めて驚たりける」などから双方の意味に分化傾向が見られ、次第に「目覚める」意は用いられなくなった。

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