胸や腹の臓器を覆う胸膜や腹膜という薄い膜にある中皮細胞のがん。ほとんどはアスベスト(石綿)が原因で、呼吸困難や痛み、肺の周囲や
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中皮細胞から発生する腫瘍(しゅよう)の総称。中皮細胞は、肺を覆う胸膜、心臓を覆う心膜、腹部の消化器臓器を覆う腹膜などの漿膜(しょうまく)の表面に並んでいるので、由来する膜によって、胸膜中皮腫、心膜中皮腫、腹膜中皮腫に分けられ、なかでも胸膜中皮細胞から発生するものが多い。胸膜中皮腫では、胸痛、咳(せき)、胸水貯留による呼吸困難などの症状を伴い、腹膜中皮腫では腹水や腹痛などを伴う。
かつては良性のものと悪性のものに分けられ、特定の部位で増殖する限局性の良性中皮腫は、線維性の塊をつくることが多いので線維性中皮腫とよばれていた。しかし、現在ではこれは孤在性線維性腫瘍として、中皮腫とは別に扱われている。したがって現在では、中皮腫といえば悪性中皮腫をさす。中皮腫は特定の部位で増殖する限局性のものと、漿膜に広範囲に浸潤していくびまん性のものがあり、多くはびまん性のものである。
発癌(がん)を誘発する化学物質に直接接触したり、あるいは吸入したりする作業環境にさらされて発症する腫瘍を職業癌とよぶが、そのなかで石綿(アスベスト)にさらされる業務の従事者に発生する中皮腫は、発症頻度の高いものである。男性に多く、潜伏期間が長いのが特徴で、40年前後(25~50年ほど)を経過してから発症することが多い。
[編集部 2016年11月18日]
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