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DDT ディーディーティーdichlorodiphenyl-trichloroethane

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

DDT
ディーディーティー
dichlorodiphenyl-trichloroethane

C14H9Cl5 。昆虫類に対する神経毒として殺虫作用をもつ塩化ジフェニルエタン系化合物。最も殺虫作用の強いのは pp′-体であるが,殺虫剤としての工業製品は pp′-体約 65~80%を含む異性体混合物である。クロロベンゼンクロラールを硫酸の存在で反応させてつくる。白色粉末で,融点は 90℃前後。 1874年に合成されていたが,1939年スイスの P.ミュラーらによりその殺虫効果が発見され,広く防疫,農業用殺虫剤として用いられるようになった。昆虫に対しては接触,経口的に作用するが,あぶら虫,だに,温血動物に対する毒性は小さい。しかし残存農薬は害虫以外の生物にも影響を及ぼすおそれがあるので,日本では使用を禁止された。

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デジタル大辞泉の解説

ディー‐ディー‐ティー【DDT】[dichlorodiphenyltrichloroethane]

dichlorodiphenyltrichloroethane》殺虫剤の一。有機塩素系で、神経毒として強い殺虫効果を示すが、残留性が高く、環境汚染や生物濃縮をもたらす。現在は使用禁止。

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百科事典マイペディアの解説

DDT【ディーディーティー】

ジクロロジフェニルトリクロロエタンdichlorodiphenyl trichloroethaneの略で,有機塩素系殺虫剤の一種。クロルベンゼンベンゼン)とクロラールを反応させてつくる。
→関連項目海洋汚染化学物質審査規制法カーソン環境ホルモン公害輸出殺虫剤生物濃縮沈黙の春抱水クロラール有機塩素化合物

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世界大百科事典 第2版の解説

ディーディーティー【DDT】

有機塩素系殺虫剤の一つ。dichlorodiphenyltrichloroethaneの略。DDTにはいくつかの異性体があるが,その中で殺虫力のあるのはp,p′‐DDTである。1939年に,スイスのP.H.ミュラーらによってその殺虫性が発見され開発された。ミュラーはその業績で1948年度のノーベル生理学医学賞を受けた。 DDTは融点108℃の白色結晶で,メイチュウヨトウムシ,ウンカ,スリップス,アオムシなどの農業害虫ばかりでなく,ハエ,カ,シラミ,ノミなどの衛生害虫に有効なので,第2次世界大戦中から,戦後にかけて大量に用いられた。

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大辞林 第三版の解説

DDT

〖dichlorodiphenyltrichloroethane〗
有機塩素化合物の殺虫剤の一。化学式 C14H9Cl5 無色・特異臭のある結晶。第 2 次大戦後から各国で害虫駆除に広く使われたが、最終的に人体に蓄積されて残留毒性が持続するため、日本では 1971 年から使用が禁止されている。ジクロロジフェニルトリクロロエタン。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

DDT
でぃーでぃーてぃー

ジクロロジフェニルトリクロロエタンdichlorodiphenyltrichloroethaneの略称。正式化学名は2,2-bis (p-chlorophenyl)-1,1,1-trichloroethane。USP記載名はクロロフェノタン。有機合成殺虫剤の先駆をなすもので、1874年にツァイドラーOthmar Zeidler(1859―1911)により合成され、1939年にスイスのP・H・ミュラーによって殺虫力が発見された。第二次世界大戦中ドイツやアメリカで軍用に使用され、戦後は各国でカやハエやシラミなどの衛生害虫、あるいは農作物の害虫防除に広く用いられた。ベンゼンに結合するクロルの位置により4種の異性体があるが、殺虫力の強いのはp,p'(粗製品中約80%)で、白色針状結晶。モノクロルベンゼンとクロラールを硫酸で脱水縮合して合成する。水には溶けない。化学的に、また微生物的に分解しにくい安定な化合物である。DDTは神経繊維に作用する神経毒で、冷血動物に強い毒性を現し、哺乳(ほにゅう)類などの温血動物に対しては概して弱い。食物連鎖によって生物濃縮され、最終的に人体の脂肪組織に蓄積されるため残留毒性が問題となって、1969年(昭和44)より日本では自粛的に生産を中止し、1971年から使用が禁止となった。[村田道雄]

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世界大百科事典内のDDTの言及

【海洋汚染】より

…また鉱・工業からの廃液中の銅が沿岸のカキを汚染し,緑色の有毒カキが生産されたことも有名な事件である。(3)DDT,PCBの汚染 農業の生産性を高めるために,どこの国でも,多量の化学肥料や農薬を用いている。そのために生産性は確かに上がったが,一方では散布された農薬や余分の肥料は,大気中を浮遊し,地表に落下したものは河川を通じ,最終的には海洋に流れ込み,海洋の農薬汚染をもたらした。…

【殺虫剤】より


[種類]
 現在までに用いられてきた殺虫剤を化学構造から分類すると表のとおりである。これら殺虫剤のうちDDT,γ‐BHCドリン剤などの有機塩素系殺虫剤は,安価でしかもたいへん有効な殺虫剤として,第2次大戦後二十数年間にわたって多用されたが,その残留性による慢性毒性の危険から,現在では大部分が製造停止,あるいは登録からはずされている。一方,有機リン酸エステル系殺虫剤として最初に開発されたTEPP,パラチオンなどは,急性毒性が強く,その有効性にかかわらず危険な殺虫剤と考えられていたが,その後の開発研究によって,低毒性の同族体,例えばマラソン,MEP,ダイアジノンなど多数が見いだされ,現在ではカーバメート系殺虫剤とともに,主要な殺虫剤として広く使用されている。…

※「DDT」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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