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防疫 ぼうえきcommunicable diseases control

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

防疫
ぼうえき
communicable diseases control

感染症の流行を防ぎ,またその侵入を予防するための対策をいう。以下の3つに大別できる。 (1) 感染源対策 外来感染症に対しては海港,国境,空港の各検疫があり,国内感染症については,患者および保菌者を早期に発見し,これを隔離治療するとともに,患者の家族,同居者などの接触者 (検の場合は同乗者) には隔離,監視などの措置をとる。また病原体保有動物の有無を検し,有菌ネズミや昆虫などを駆除する。 (2) 感染経路対策 消化管感染,飛沫感染,接触感染,経皮感染など主要感染経路それぞれに応じた遮断措置がとられる。たとえば交通遮断,休校,家屋や器物,交通機関などの消毒,飲食物販売禁止,手指の洗浄を行わせるなど。 (3) 個体の感受性対策 予防接種や,受動免疫を得させるために,たとえばジフテリア破傷風など治療血清の注射などが行われる。その他,日常公衆衛生知識の普及をはかり,感染症予防に適した生活習慣をつくることなども必要な対策とされる。

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デジタル大辞泉の解説

ぼう‐えき〔バウ‐〕【防疫】

感染症(伝染病)の発生・流行を予防すること。感染症患者の早期発見・隔離、消毒や媒介動物の駆除、予防接種などを行う。→検疫

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼうえき【防疫 communicable disease control】

伝染病発生の三大要因(感染源,感染経路,個体の感受性)を中心に環境条件や宿主条件を加えて,総合的に対策を立てて流行を防ぐことをいう。本来,伝染病予防と同義語であるが,防疫を伝染病発生時の対策(防遏((ぼうあつ)))のみに限局して使うこともあり,そのため発生時防疫と平常時防疫に区別することがある。日本においては,伝染病予防法等により感染源・感染経路対策(患者の早期発見・早期治療,隔離による伝播防止等)を,予防接種により感受性者対策を,また環境衛生の整備を目的とする各種法律によって感染経路対策(媒介動物対策,検疫による伝染病の侵入防止等)を行っている。

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大辞林 第三版の解説

ぼうえき【防疫】

感染症の国内への侵入・国内での流行を予防するための処置。海港および空港検疫、患者または保菌者の早期発見と隔離、媒介となる動物の駆除、予防接種など。 「 -対策」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

防疫
ぼうえき

防疫とは、元来、伝染病の予防(コントロール)と同義語であって、行政機構のうえからみると、1897年(明治30)の「伝染病予防法」の制定に伴い、内務省衛生局「防疫課」が設けられたのが最初である。しかし、これより先、1877年と79年のコレラ大流行を契機として制定された「伝染病予防規則」(1880)に関連して防疫の語が用いられている。伝染病予防規則は、伝染病をコレラ、腸チフス、赤痢、ジフテリア、発疹(はっしん)チフス、痘瘡(とうそう)(天然痘)の6種としたうえ、とくに致命率が高く伝播(でんぱ)力の強い急性伝染病を「疫病」とし、その予防を効果的に行うため、国および地方自治体が組織的に活動することを「防疫」と称した。防疫は平常時と発生時に大別され、また、伝播性および致命率の低い伝染病や結核、性病のように社会性の強いものは別個に扱われていた。しかし、これら疾病が激減するとともに、防疫という語よりは「伝染病対策」の語が一般的となり、さらに、より広義の「感染症対策」という包括的な語が用いられるようになった。これを反映して防疫課(旧厚生省)も、1975年(昭和50)「保健情報課」に、85年にはさらに「結核難病感染課感染症対策室」と改められ、現在は厚生労働省「結核感染症課」となっている。また法律面でも、伝染病予防法は1999年(平成11)に廃止され、かわって感染症予防・医療法(感染症法)が施行されている。したがって、現在、防疫という場合には、前述の急性伝染病発生時の対策に限定して用いるのが普通である。なお、外来伝染病の侵入防止は検疫行政として扱われ、国内防疫とは区別される。
 伝染病発生の条件は「病原体」「伝播経路」「宿主の感受性」の三要因であるが、わが国で近代医学に基づく防疫は、痘瘡に対する嘉永(かえい)年間(1848~54)の牛痘接種、1858年(安政5)の種痘館(種痘所)による種痘の普及といった感受性対策(予防接種)が端緒であった。続いて1877年(明治10)と79年のコレラ大流行によって、検疫を含む病原体対策、経路対策(生活環境対策)が導入された。その結果、痘瘡やポリオの防疫は予防接種が優先され、コレラや赤痢は環境対策が、腸チフスは以上に加え、病原体対策が重点とされるようになった。つまり、疾病別に防疫のあり方、重点の置き方が異なるのである。
 現代の防疫は、疾病の情報収集と常時監視制度(サーベイランス)の確立が原則とされ、WHO(世界保健機関)を中心とする国際協力事業のほか、国内における流行予測事業、感染症サーベイランス事業などが推進されている。WHOが中心となって成功した好例が痘瘡の根絶計画であり、わが国における成果としては、生(なま)ワクチンによるポリオ対策などがあげられている。[春日 齊]

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