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X線天体 エックスせんてんたい X-ray object

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

X線天体
エックスせんてんたい
X-ray object

X線を放射している天体。中性子星ブラックホールなどの超高密度星を一員とする近接連星系,超新星残骸活動銀河クエーサーなどがある。このほかにほぼ全天からやってくると思われる背景X線もあるが,これらには太陽系全体を取り巻いていると思われる古い超新星残骸からくる軟X線と,銀河系外の宇宙の果てからくる正体の分からないX線がある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

エックスせん‐てんたい【X線天体】

X線を強く放射している天体。恒星中性子星ブラックホールなどとの近接連星や、超新星の残骸、クエーサーセイファート銀河などがある。太陽などの恒星も、弱いX線を放射している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

X線天体
えっくすせんてんたい

X線を放射している天体の総称。太陽はX線を出している。この場合、100万Kの温度をもつコロナや、太陽面の爆発に伴う1000万Kというような高温度領域からX線が出ると考えられている。宇宙には太陽と比べて桁(けた)違いに強いX線を出す天体がある。X線の観測がされるまでその存在が知られていなかった天体に、中性子星やブラック・ホールを伴った天体がある。これらは、1962年、ロケット観測によって発見されたX線天体の正体として、宇宙物理学の分野で重要な役割を果たしている。狭い意味でのX線天体は、これらの天体を伴い、強くX線を放出する天体を意味する。しかし今日では、あらゆる種類の天体は、強弱の違いはあるがX線を出していることが明らかとなった。したがって、星から銀河に至るほとんどの天体はX線天体ということもでき、各種の方法によるX線観測の対象になっている。[松岡 勝]

銀河系内のX線天体


特殊な近接連星
X線天体のうち中性子星を伴ったものに、X線パルサーまたは高質量X線連星系と、低質量X線連星系とよばれるものがある。X線パルサーは一般に中性子星と早期型星(質量が重く明るい星)との近接連星系をなしているものが多い。早期型星から中性子星にガスが降り込み、そのガスが中性子星の重力場に落ち込むとき、落下のエネルギーを得て高温状態になるため、X線が放射されると考えられる。中性子星の磁場が強いとき、落下ガスのほとんどは磁極に落ち込み、そこが高温になってX線の放射領域となる。このとき、中性子星が磁極とは違った軸の周りを回転していると、回転に伴って周期的にX線強度が変わるX線パルサーとなる。現在50個余りのX線パルサーが発見されていて、周期は10分の1秒から1000秒近くまで分布している。X線パルサーの回転周期は、一般には、ガスの落下とともに角運動量を得てしだいに速くなっているのが特徴であり、電波パルサーの周期がしだいに遅くなるのと対称的である。
 一方、低質量X線連星系は、銀河の中心部の膨らんだ部分(バルジbulge)に多く存在することからバルジX線源とも名づけられ、一般に晩期型星(質量が軽く暗い星)と中性子星との連星系とされている。晩期型星は早期型星よりも寿命が長く、低質量X線連星系の中性子星は古いと考えられる。このため、これらのX線天体は磁極の存在の特徴を示すパルサーの周期変動を示すものがない。このX線源では、相手の星からガスが流出して中性子星の表面に降り積もる。この積もったガスはときどき熱核反応によって爆発的に燃え、中性子星の表面が1000万Kを超える温度になる。この現象がX線で10~30秒ほどの短時間で輝くのが観測される。これがX線バーストとよばれる現象である。X線バースト以外にほぼ定常に輝くX線は、落下したガスが中性子星の周りで1000万Kを超える高温のガス雲をもった降着円盤をつくるために放出されるものと考えられている。
 中性子星のかわりにブラック・ホールを伴った近接連星系の候補がいくつかある。この代表的なものに、はくちょう座のX線源(はくちょう座X‐1)があるが、ここから出るX線は、1000分の1秒ほどの時間スケールから秒・日・年に及ぶ広い範囲の変動をしている。とくに短時間変動は、中性子星を伴ったX線源ではみられない特徴である。ブラック・ホールの周りに降着円盤が形成され、その内側では、強いX線を放出する高温または高エネルギー領域が形成されると考えられている。[松岡 勝]
超新星の残骸
X線天文学がみつけたもう一つの銀河系内天体に、超新星の爆発後に残された高温ガス星雲がある。かに星雲のように爆発後1000年ほどのものは、エネルギーの高いX線(数キロ電子ボルトまたは数オングストロームのX線)も放射している。一方、はくちょう座にある網状星雲のように古い超新星の残骸は、約100万Kの高温プラズマになっていて、エネルギーの低いX線(1キロ電子ボルト以下、または20~40オングストローム)を強く放射している。このような高温ガスは、超新星が爆発したときに出る衝撃波で星間空間のガスが加熱されてできたものと考えられる。これも、時間を経て古くなると、広がって温度も低くなり低温の星間ガスになっていく。
 超新星爆発時につくられた中性子星は、爆発後1000年ほどのものは単独でも電波パルサーのほか、X線のパルサーを放出している。これらは周期が1秒以下で回転のエネルギーを使いながら電波やX線の放出をしている。これらは周りに広がった高温のガス雲を伴ったものが多い。[松岡 勝]
変光星
これまで変光星として光の観測で知られていた天体は、上記の中性子星を伴った連星系に比べて弱いX線を放出している。白色矮星を伴った連星系は「激変星」として白色矮星の周りの降着円盤や白色矮星の表面から、比較的激しく変動するX線が放出される。[松岡 勝]

銀河系外のX線天体

銀河系外で強くX線を出す天体は恒星状天体(クエーサー)やセイファート銀河など活動銀河とよばれるものである。これらのX線の強さは中性子星を伴ったX線天体に比べてさらに1万倍から1億倍にも達する。活動銀河は電波や光でも観測されているが、X線はこれらの中心核やジェットガスの高エネルギー状態の領域から放出されている。この天体も日・月・年の時間スケールでの変動がみられるが、X線領域ではもっと短い時間スケールの変動が観測されている。活動銀河の中心には太陽質量の100万倍から1億倍ほどのブラック・ホールがあって、そこにガスが落ち込む過程で高温の混沌(こんとん)領域ができ、そこからX線が放出されると考えられる。ときには、光速に近いジェットガスが放出され、そこからも強いX線が放出される。
 通常の銀河は銀河系内のX線を放出するほか、ハローとよばれる高温のガスがX線を放出しているものもある。普通の銀河が100から1万個集まった銀河団は1000万K~1億Kの高温ガスに満たされていて、強い高温プラズマからの熱的X線が放射されている。[松岡 勝]

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