伊勢(いせ)神宮の旧神職の一つで、熱田(あつた)、香取(かとり)、鹿島(かしま)などの神社でもみられる職名。「うち」とは祭神に親しく仕え奉る義。古語で「うちびと」といい、中世以来「うちんど」と音転した。大(おお)内人と小(こ)内人に大別される。『延暦(えんりゃく)儀式帳』では、皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮(ないくう))に大内人3人、小内人13人、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮(げくう))に大内人3人、小内人5人あり、『延喜太神宮式(えんぎだいじんぐうしき)』によれば、内宮に大内人4人、小内人19人、外宮に大内人4人、小内人8人が置かれている。大内人は禰宜(ねぎ)に次ぐ重職として宮中守衛や御料出納(すいとう)などを務め、内宮の上席者をとりわけ宇治(うじ)大内人と称した。また小内人は御笥作(みけつくり)、忌鍛冶(いみかじ)、陶器作(すえものつくり)、御笠縫(みかさぬい)、日祈(ひのみ)、御巫(みかんなぎ)、御馬飼(みうまかい)、木綿作(ゆうつくり)などの諸職に分かれ、およそ祭器具の調製や神事奉仕が神役の主たるものであった。歴史的には大小の内人ともに人員や職役の変化がみられ、大内人には権玉串(ごんたまぐし)、宮掌(くうじょう)、番検が増え、小内人では大麻(おおぬさ)、御塩湯(みしおゆ)、鑰取(かぎとり)、御火(みひ)、菅裁(すがたち)などの職が加わった。しかし1871年(明治4)の神宮制度改革に伴い、これら内人のすべてが廃止された。
[中西正幸]
伊勢神宮の古い祠官の一つ。〈うちびと〉とも呼んだ。内は親しく奉仕するという意に由来する。物忌(ものいみ)とともに神宮の祭祀を行う上での重要な職掌で,禰宜(ねぎ)の下にあって神役に奉仕した。《延喜式》の大神宮に関する規定には,大内人・小内人の二つに分け,大内人は内宮(ないくう)・外宮(げくう)にそれぞれ4人,小内人は内宮に9人,外宮に8人,また各別宮(べつくう)に2人ずつおいた。小内人はその職掌によって御笥作(みけつくり)内人,御笠縫(みかさぬい)内人,木綿作(ゆうつくり)内人,陶器作(すえのうつわつくり)内人,忌鍛冶(いみかじ)内人,日祈(ひのみ)内人,御巫(みかんなぎ)内人などと呼ばれた。その内容や員数については時代により相当な変遷がある。また伊勢神宮のほかにも古社の中には内人の職掌のあったことが知られている。
執筆者:茂木 貞純
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…物忌(ものいみ)とともに神宮の祭祀を行う上での重要な職掌で,禰宜(ねぎ)の下にあって神役に奉仕した。《延喜式》の大神宮に関する規定には,大内人・小内人の二つに分け,大内人は内宮(ないくう)・外宮(げくう)にそれぞれ4人,小内人は内宮に9人,外宮に8人,また各別宮(べつくう)に2人ずつおいた。小内人はその職掌によって御笥作(みけつくり)内人,御笠縫(みかさぬい)内人,木綿作(ゆうつくり)内人,陶器作(すえのうつわつくり)内人,忌鍛冶(いみかじ)内人,日祈(ひのみ)内人,御巫(みかんなぎ)内人などと呼ばれた。…
※「内人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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