さ迷・彷徨・徘徊(読み)さまよう

精選版 日本国語大辞典 「さ迷・彷徨・徘徊」の意味・読み・例文・類語

さ‐まよ・う ‥まよふ【さ迷・彷徨・徘徊】

〘自ワ五(ハ四)〙 (「さ」は接頭語)
気持が定まらなかったり迷ったりして、あたりを歩きまわる。うろうろと歩きまわる。また単に、いったりきたりする。
書紀(720)景行四〇年是歳(北野本南北朝期訓)「朝夕(あさいふ)進退(サマヨヒ)て還らむ日を佇(つまた)て待つ」
※俳諧・猿蓑(1691)四「越より飛弾へ行とて〈略〉道もなき山路にさまよひて」
② はっきりとした目的もなく、あちらこちらを歩く。さすらう。流浪する。
※海道記(1223頃)東国にさまよひ行く子「東国に(サマヨヒ)行く子あり。本の城国を別れて仮宿にふせり」
読本・春雨物語(1808)樊噲上「旅人にやつし、長崎の津にさまよひ来たりしが」
③ ある場所にはっきりと固定しないで、あちこち動く。
(イ) 雲や霧などがただよう。
曾丹集(11C初か)「とをつ川吉野の滝をわけくれば氷ぞあわとうきてさまよふ」
(ロ) 一般的にいう。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「其声が未だ中有(ちゅうう)徘徊(サマヨ)ってゐる内に」
④ 気持、決心などが定まらないでいる。また、落ち着きがなくなる。
源氏(1001‐14頃)真木柱「色めかしう、さまよふ心さへそひて、もてわづらひ給ふ」

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