しい(読み)シイ

デジタル大辞泉 「しい」の意味・読み・例文・類語

しい[感]

[感]
静粛にするようにと人を制止するときに発する声。しっ。「しい、静かに」
動物などを追うときに発する声。しっ。「しい、あっちへ行け」
あざ笑ったりするときに発する声。ふん。
「…とよみたりければ、―と笑ひけるなり」〈古活字本平治・下〉

し・い[接尾]

[接尾]形容詞型活用[文]し(シク活)》名詞、動詞の未然形、畳語などに付いて形容詞をつくる。そういうようすである、そう感じられるという意を表す。「おとな―・い」「喜ば―・い」「毒々―・い」

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精選版 日本国語大辞典 「しい」の意味・読み・例文・類語

しい

  1. 〘 感動詞 〙
  2. あざ笑う時に発する語。ふん。
    1. [初出の実例]「将門は米かみよりぞきられけるたはら藤太がはかりことにて とよみたりければ、しい、とわらひける也」(出典:平治物語(1220頃か)下)
  3. 他を制止する時に発する語。し。
    1. [初出の実例]「『何じゃ七本八本』『シイ。七重八重で御ざる』」(出典:虎寛本狂言・萩大名(室町末‐近世初))
  4. 動物などを追う時に発する語。し。
    1. [初出の実例]「見た所はちいさい池成れども、うをはおびただしう有る。シイシイシイ」(出典:虎寛本狂言・武悪(室町末‐近世初))
  5. 人に呼びかける時に発する語。また、先払いの時に発する語。
    1. [初出の実例]「しいしい申」(出典:虎明本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初))

し・い

  1. 〘 接尾語 〙 ( 形容詞型活用 )
    [ 文語形 ]し ( 形容詞シク活型活用 ) 名詞・動詞・畳語などに付いて、形容詞をつくる。そのような性質がある、…の様子だ、…と感じられるの意を示す。「おとなしい」「腹立たしい」「にくにくしい」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「しい」の意味・わかりやすい解説

シイ
しい / 椎
[学] Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky

ブナ科(APG分類:ブナ科)の常緑高木。ツブラジイ。高さ25メートル、径1.5メートルに達する。樹皮は黒褐色。小枝は細かく分かれ、半球状の樹冠をつくる。冬芽は扁平(へんぺい)、葉は左右2列に互生し、表面は濃緑色で裏面は銀灰色から銀褐色に変わり、光沢が強く、全縁または上半部に鈍い鋸歯(きょし)がある。5月下旬、雄花、雌花ともに穂状花序となり、当年枝の葉腋(ようえき)に斜め上向きにつく。雄花序はクリの花に似てよく目だち、強い臭気がある。虫媒花。堅果は黒褐色、先がとがった長楕円(ちょうだえん)形から球形で、落果する直前まで外面に突起のある灰色の総包で完全に包まれ、成熟するには2年間かかる。大木になっても樹皮が滑らかで堅果は小さく卵円形、長さ約1センチメートルのものをツブラジイ(別名コジイ)、若木のうちから樹皮が割れ始め、堅果は大きく狭卵形、長さ約1.5センチメートルのものを変種スダジイ(別名イタジイ)といって区別するが中間形が多く、どちらも単にシイということが多い。近年は、ツブラジイとスダジイC. sieboldii (Makino) Hatus.は別種とされ、中間形は両種の雑種と考えられている。

 スダジイは福島県以西の暖帯に広く分布し、沿岸地でよく育つ。一方ツブラジイはおもに近畿地方以西の内陸部に分布する。稚樹、成木ともに耐陰性がある。萌芽(ぼうが)更新も行い、乾燥地形では大群落をつくり、日本の暖帯林の極相種となる。建築材などにするが、材質は劣る。シイタケ栽培の原木ともする。蜜(みつ)に悪臭があり、養蜂(ようほう)家に嫌われる。

 シイ属は殻斗(かくと)にクリ状のいがをもつものが多く、クリカシ属ともよばれる。すべて常緑樹である。主として東アジアの暖帯に約50種分布し、照葉樹林の代表樹種である。堅果はタンニンが少なく生食できるものが多いことから、古代人類にとっては農耕文化以前から重要な食料となっていたと考えられている。多くの種が分布する中国では栲の字でこの属を統一している。

[萩原信介 2020年1月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「しい」の意味・わかりやすい解説

シイ (椎)
Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky

山腹や丘陵に林をつくり,褐色を帯びたやや小型の葉を密に茂らせ,日本の暖帯林の最も中心となるブナ科の常緑高木。高さ25mにも達する。葉は2列につき,5~10cmで,楕円状卵形,全縁か先端部に鈍鋸歯があり,先は尾状にのびる。葉の表は濃緑色で無毛,裏には銀色を帯びた細かい鱗片が密生し,はじめ銀白色,後に灰褐色に見える。花は4~5月,新枝の開出と同時に開く。雄花序は新枝の基部や中部につき,細長い穂となり,ややしなだれる。雄花は黄白色で6枚の花被があり,12本のおしべが目だつ。雌花序は新枝の先端部の葉腋(ようえき)につき,細長い穂となり直立する。雌花には花被に囲まれた3本のめしべがあるが,目だたない。花期には,黒っぽい旧葉を背景に,赤褐色の新葉と黄白色の雄花が茂り,また強いにおいがあり,遠くからでも木の下からでもそれとわかる。堅果は翌年の秋に熟す。はじめは,表面に短い突起のある殻斗が全体を包んでいるが,後に不規則に割れて1個の堅果を出す。本州(中国,近畿から福島県,新潟県まで),四国,九州に分布する。

 シイにはスダジイvar.sieboldii(Makino)Nakaiとコジイvar.cuspidata Schottky(ツブラジイともいう)の2型が知られる。スダジイは堅果が大きく長く,樹皮は早くから縦にひび割れ,葉も大きい。日本の海岸沿いに多い。コジイは,堅果が小型で丸く,樹皮は老木になるまで平滑,葉はやや小型で球状の樹冠をつくる。近畿から四国にかけて多くみられる。琉球諸島にはオキナワシイが生育し,台湾,中国南部,マレーシア,ニューギニアにも近縁種がある。材は薪炭,建築,器具などに用いられ,シイタケの榾木(ほたぎ)ともなる。堅果の養分をためた子葉は,渋みがなくやや透明な白色で,食用となる。また庭園樹としても温暖地で広く利用され,斑入り(ふいり)の品種もある。
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普及版 字通 「しい」の読み・字形・画数・意味


7画

[字音] シ・イ

[字形] 形声
声符は巳(し)。〔爾雅、釈宮〕に「樞(くるる)の北方にするもの、之れを時と謂ふ。時之れをと謂ふ」とみえる。また堂階の傍らをいう。

[訓義]
1. 戸の軸を支える木。
2. 堂の両階の傍ら。
3. 〔説文〕に(い)の古文とする説がある。

[古辞書の訓]
名義抄 ミギリ


】しい

長くつらなるさま。〔水経注、済水下〕(酸棗の西に韓王の氣臺り。孫子(楚)の故(韓王)臺賦~に曰く、丘陵のたるを蔑(ないがしろ)にし、五嶽の嵯峨たるに亞(つ)ぐと。

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【脂】しい

あぶらと(なめしがわ)。

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】しい

のうぜんかずら。

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【卮】しい

は水器。

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頤】しい

頰杖。

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【徙】しい

さまよう。

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【試】しい

試験場。

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【紫】しい

宮殿。

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【鴟】しい

鴟夷。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「しい」の意味・わかりやすい解説

シイ(椎)
シイ
Castanopsis cuspidata

ブナ科の常緑高木で,日本の暖地の照葉樹林を構成する代表的な樹種である。また庭木や公園樹としてもよく植えられている。高さ 10~20mとなり,四方に枝を張って大きな樹冠をつくる。厚い革質の葉をやや密に互生する。雌雄同株で,5~6月に開花し,雄花は長さ 10cmあまりの長い花穂 (尾状花序) をつくって多数の淡黄色のおしべが目立つ。雌花は数花が短い穂上に並び,下部の葉腋に生じる。めしべには3本の花柱がある。秋,細長いどんぐり状の堅果をつけ,食用にもなる。長さ5~6cmの楕円形の葉をもち,細長い円筒形の堅果をつけるスダジイ C. cuspidata var. sieboldiiと葉が小さく (長さ2~4cm) ,径 1cmほどのほぼ球形の実をつけるツブラジイ (コジイ) C. cuspidata var. cuspidataの2変種に区別することがある。

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百科事典マイペディア 「しい」の意味・わかりやすい解説

シイ(椎)【シイ】

ブナ科の常緑高木で,ツブラジイ(コジイ)とスダジイ(イタジイ)とがある。前者は関東南部〜九州に自生し,樹皮はなめらかで割れ目はできない。葉は薄く,卵状長楕円形で先がとがり,裏は灰褐色となる。雌雄同株。虫媒花。5〜6月,新枝の葉腋に,淡黄色で強いかおりのある雄花が多数穂状に開く。雌花穂は新枝の先端部の葉腋につき,短い。果実はほぼ球形で,翌年の10月ごろ黒褐色に熟し,かわくと褐色となる。殻斗はとがったいぼ状突起があって,はじめ果実を包むが熟すと不規則に裂ける。後者は東北地方南部〜九州に分布し,小木のうちから樹皮が縦に割れ,葉は大型で薄い。果実は円錐状卵形で前者より大型。ともに材は建材,器具,薪炭,樹は防火樹などとし,果実は食べられる。またシイタケの原木とする。マテバシイは別属。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「しい」の解説

〓 (シイ)
※〓は「木」の右に「啚」。

植物。ブナ科シイノキ属の常緑樹の総称

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