国民民主党(2018年結成)(読み)こくみんみんしゅとう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

国民民主党(2018年結成)
こくみんみんしゅとう

日本の政党。旧希望の党と旧民進党のそれぞれ一部が合流して、2018年(平成30)5月に発足した旧国民民主党前身である。2020年(令和2)に解党し、大半のメンバーが立憲民主党へ流れたため、残った玉木雄一郎(1969― )ら少数メンバーで再発足した少数野党である。略称は国民だが、新・国民民主党とよばれることもある。綱領で「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の改革中道政党」を掲げるが、リベラル派議員の多くが立憲民主党へ流れ、改革保守の色彩が濃い。外交防衛では、憲法解釈変更や自衛権拡大に反対ではあるが、現実的な安全保障政策が必要との立場をとり、日米同盟重視から日中韓を軸とするアジア重視へのシフトを標榜(ひょうぼう)している。革新的イノベーションによる経済成長、地域主権改革、原子力エネルギーに依存しない社会の構築を掲げ、消費増税には慎重で、政府の再配分機能の充実を訴えている。党本部は東京都千代田区平河(ひらかわ)町。2020年末時点の所属国会議員は16人(衆議院7人、参議院9人)、代表は玉木で、元外相の前原誠司(1962― )のほか労組出身議員が加わった。

 2017年の衆議院議員選挙を控え、東京都知事の小池百合子(1952― )が改革保守主義を掲げる希望の党を立ち上げ、民進党は、護憲・リベラル系(旧立憲民主党)、改革保守系、無所属議員グループなどに分裂した。森友(もりとも)・加計(かけ)学園問題などで政権批判が強まるなか、2018年、野党再結集を目ざし、連合(日本労働組合総連合会)が音頭(おんど)をとって、旧民進党と、希望の党から分党した国民党の両党が合流して旧国民民主党を結党した。その後、野党第一党の旧立憲民主党の陰で、支持率が低迷。2019年の参議院議員選挙後に旧立憲民主党との合流協議を進めたが難航し、結局、2020年に旧国民民主党は事実上分裂。所属議員の大半が立憲民主党へ合流したため、新・国民民主党は所属国会議員13人の少数政党として再スタートした。なお法令上は旧・国民民主党とは別の、新規設立政党である。

[矢野 武 2021年3月22日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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