(読み)ジョウ

デジタル大辞泉 「尉」の意味・読み・例文・類語

じょう【尉】

老翁。おきな。特に能で、老翁の役。また、それに用いる能面。⇔うば。→尉面
炭火の白い灰となったもの。
「あらかた―になりかけた炭火」〈里見弴・安城家の兄弟〉
律令制で、衛府えふ検非違使けびいしの第三等官。→判官じょう

い【尉】[漢字項目]

常用漢字] [音](ヰ)(呉)(漢) [訓]じょう
軍隊・自衛隊階級の一。「佐」に次ぐもの。「尉官/一尉・少尉大尉陸尉
中国、秦・漢時代の官名の一。軍事・警察を担当した。「校尉廷尉・都尉」
[名のり]やす

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精選版 日本国語大辞典 「尉」の意味・読み・例文・類語

じょう【尉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 老夫。また、能楽では、老人の役のほかに老人の翁の面をいうこともある。
    1. [初出の実例]「老翁をぜうとなづく、如何」(出典:名語記(1275)六)
  3. 炭火の白い灰。黒い炭が白い灰になるのを、老人の白髪になぞらえていう。
    1. [初出の実例]「木よくもえあがり候時、せうにならざるやうに、しげしげとわらを木の上へかけ」(出典:上杉家文書‐永祿二年(1559)六月二九日・鉄放薬方并調合次第)
  4. じょう(判官)

【尉】

  1. 〘 名詞 〙 中国で軍事、警察を担当した官。秦の郡県制で郡尉・県尉が置かれたのに始まる。日本では、軍事、警察などをつかさどる者の官名に用いた。
    1. [初出の実例]「冨平県の尉、鄭余慶と云ふ人」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)

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普及版 字通 「尉」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] イ(ヰ)・ウツ
[字訓]のし

[説文解字]

[字形] 会意
もとに作る。+火+(又)。〔説文〕十上に「上より下を案(おさ)ふるなり。に從ひて火を持つ。以てを尉申するなり」とあって、火のしをすることをいう。は折りたたんだ衣服・布。これに又(手)で火(熨斗(のし))を加える形。のち官名に用いられ、また別に熨の字が作られた。

[訓義]
1. ひのし、ゆのし。
2. 官名、古の獄官。じょう。
3. 慰に通じ、なぐさめる。
4. に通じ、あみ。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕尉 ノス・ノシ

[声系]
・慰はみな尉声に従い、熱する、うちに閉じこめる、ほぐすなどの意がある。

[語系]
尉jut、鬱iut、翳yetは声義に通じるところがあり、気のこもる状態をいう。

[熟語]
尉安尉氏・尉尉薦尉斗尉律尉繚
[下接語]
衛尉・軍尉・校尉・准尉・大尉・廷尉・都尉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尉」の意味・わかりやすい解説



wei

中国の官名。軍事,警察を司った。秦・漢時代,太尉 (たいい) は最高の軍事長官で,丞相 (じょうしょう) ,御史大夫 (ぎょしたいふ) とともに三公と呼ばれ,国政を担当した。このほか中央には衛士 (えいし) を統轄し,宮門を守護した衛尉,刑罰を司った廷尉があり,郡には郡尉がおかれて軍事を司り,太守と並んで郡を治めた (後漢に廃止) 。また中央の諸官を監察し,首都付近の督察にあたる司隷校尉,首都の盗賊を取締る中尉があり,軍中には校尉がおかれた。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【県】より

…県の人口は唐では下県が1000戸以下だったが,元代江南では1万戸が中と下の境界線で,40km平方が普通である。長官は唐までは令,丞,尉。宋以後は知県,主簿,県尉とよぶ。…

※「尉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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