中国古代の諸子百家の一つとして《漢書》芸文志に見える。そこに著録された書籍から推して,九流に分属できなかった依託(擬作)の文献で,内容が浅薄または迂誕(大げさで実際的でない)と評定された一群である。周王朝の中央職官〈王官〉から諸子が派生したとする班固は,この流派が〈稗官(はいかん)(地方行政職員)〉に淵源する,と説く。〈小説〉とは,瑣細な話柄のことで,街談巷語(町のうわさ話)の細事を集め,閭里(むら)の見聞を書きとめて,治身理家(一家の経営や処世術)の用に供したり(桓譚《新論》),余暇の娯楽の資とした(張衡〈西京賦〉)ものであったらしい。後漢後期には,神仙,方術に関する説話が流行して《捜神記》などに伝わるが,あたかもその源流にあたる。
執筆者:戸川 芳郎
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