志賀高原(読み)しがこうげん

精選版 日本国語大辞典 「志賀高原」の意味・読み・例文・類語

しが‐こうげん ‥カウゲン【志賀高原】

長野県北東部の高原。志賀火山の溶岩流の流動により形成された。長野と前橋を結ぶ草津街道が通じる。地形は凹凸に富み、湖沼、温泉が各所にある。大正末期から観光地として開発され、キャンプ場スキー場としてにぎわう。上信越高原国立公園の一中心。

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デジタル大辞泉 「志賀高原」の意味・読み・例文・類語

しが‐こうげん〔‐カウゲン〕【志賀高原】

長野県北東部にある高原。標高1400~2000メートル。火山性溶岩台地で、上信越高原国立公園の中心部。スキーなどでにぎわう。

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日本歴史地名大系 「志賀高原」の解説

志賀高原
しがこうげん

下高井郡やまうち町地籍に中心がある。山ノ内町の面積は二六六平方キロのうち、八六パーセントは山岳地帯、そのうち四三パーセントは志賀高原で占める。上信越高原国立公園(面積一八万八千九一五ヘクタール)心臓部

白根しらね(二一五六メートル)から横手よこて(二三〇四・九メートル)赤石あかいし(二一〇八・六メートル)岩菅いわすげ(二二九五メートル)裏岩菅うらいわすげ(二三三三メートル)と北に続き、西に折れて焼額やけびたい(一九六〇・二メートル)竜王りゆうおう(一九〇〇・一メートル)五輪ごりん(一六二〇・二メートル)、南に三沢みさわ(一五〇四・六メートル)かさたけ(二〇七五・八メートル)の外壁をもつ擂鉢すりばち状地形の内側をいい、その内側には志賀しが(二〇三五・五メートル)裏志賀うらしが(二〇四〇メートル)を中心に、坊寺ぼうでら(一八三九・五メートル)寺小屋峰てらこやみね(二一二五メートル)東館ひがしだて山・西館にしだて山・あさひ山などの山々があって、また大沼おおぬま池・琵琶びわ池・まる池・はす池・三角みすま池・木戸きど池・なが池・弓池・小池・渋池・四十八池・稚児ちご池・ノ原・平床原ひらとこはらなどの湖沼や湿原が数十ヵ所も地形のまにまに存在する。

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改訂新版 世界大百科事典 「志賀高原」の意味・わかりやすい解説

志賀高原 (しがこうげん)

長野県北東部,下高井郡山ノ内町東部を中心とする火山性の高原。上信越高原国立公園の中心部にあたる。秋山郷を流れる中津川の源流部でもあり,その支流雑魚(ざこ)川が西流する。横手山岩菅(いわすげ)山,東館山(1994m),西館山(1757m),笠ヶ岳(2076m)などの高山に囲まれ,中央に噴出した志賀山からの溶岩流により起伏に富んだ標高1400~2000mの高原が形成された。これらの山に囲まれて溶岩流の凹部に湛水した大沼池,木戸池,丸池,蓮池,三角(みすみ)池など数多くの小さな湖がある。植生は山地帯のカエデシラカバ亜高山帯トウヒダケカンバ,高山帯のハイマツと垂直的変化に富んでいる。落葉広葉樹が多いことから紅葉の景観にもすぐれる。

 志賀高原は昭和初期までは沓野(くつの)地区(山ノ内町)の入会地で,採草地竹細工に用いるネマガリダケ,薪炭材などの採取地に利用されているにすぎなかった。高原を通る草津街道は南の大笹街道の脇往還の役割を果たし,奥信濃と北上州を結ぶ最短ルートとして利用され,発哺(ほつぽ)温泉熊ノ湯温泉などの湯治場もあったが,観光開発がはじめられたのは1927年に長野電鉄が湯田中まで開通し,29年に志賀高原丸池スキー場が開設されてからであった。30年丸池ヒュッテ,37年志賀高原温泉ホテル(京都ホテル経営)と観光施設も相次いで建設された。志賀高原は上越国境,信越国境の深雪地帯に比べ積雪量は多くないが,標高が高いため積雪期間が長く,雪質も乾いた粉雪が多く,また地形の起伏にも富み,スキー場としての自然条件にすぐれていた。このため第2次世界大戦後,アメリカ軍が将兵の休養のため丸池スキー場を接収し,46年日本で初めてのスキーリフトを建設した。52年にこれら施設が返還され,スキーリフトは長野電鉄に払い下げられた。これを契機に志賀高原の本格的な観光開発が進み,55年には冬季も丸池までバスが運行されるようになった。スキーリフト,ロープウェー,旅館,ホテルなどの建設も相次ぎ,日本有数のスキー場となっている。

 志賀高原の地籍は,沓野地区の住民によって構成される財団法人和合会の所有で,戦前から進出していた長野電鉄,京都ホテルを除き,地元資本によって観光開発が行われてきた。70年には渋峠を越えて山ノ内町上林と群馬県草津温泉を結ぶ41kmが改良舗装され志賀草津道路(92年無料開放)として開通し,年間を通じて観光客が多い。近年は北部の焼額(やけびたい)山(2050m),五輪(ごりん)山(1620m),竜王山(1900m)一帯は奥志賀,南部の上高井郡高山村に属する山田温泉一帯は南志賀と呼ばれ,観光開発が盛んになっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「志賀高原」の意味・わかりやすい解説

志賀高原
しがこうげん

長野県の北東部、群馬県に接し、上信越高原国立公園の中心をなす高原。志賀山(やま)(2037メートル)を中心とする標高1300~2000メートルの起伏の多い高原で、周囲は岩菅(いわすげ)山(2295メートル)、赤石山(2109メートル)、横手山(2305メートル)、五輪(ごりん)山(1620メートル)、笠(かさ)ヶ岳(2076メートル)などの山々に囲まれる。志賀山は湖中から噴出した火山で、その際流出した溶岩流によって形成された溶岩台地が志賀高原であり、溶岩流の窪地(くぼち)に湛水(たんすい)したのが大沼池、琵琶(びわ)池、蓮(はす)池などの大小の湖沼群である。高原の気候は多雪寒冷で、とくに2月は積雪が2、3メートルに及び、4月までは積雪がある。盛夏は最高気温の平均が22℃前後で涼しい。植物はシラビソ、コメツガやカンバ、ブナなどが多い。とくに志賀山を中心にした針葉樹の原生林や琵琶池から蓮池一帯のシラカバは美しい。岩菅山や志賀山など2000メートルを超えるとハイマツも多く、岩菅山にはコマクサ、ガンコウランハクサンコザクラなどがある。動物ではカモシカ、ツキノワグマなども生息する。

 開発の歴史は18世紀末から始まる。天明(てんめい)年間(1781~1789)には木戸池近くの田ノ原が松代藩(まつしろはん)によって開田されたことがある。1802年(享和2)には発哺(ほっぽ)温泉が発見され、近世末は山ノ内町から草津温泉に通ずる草津道がにぎわった。幕末松代藩の佐久間象山(しょうざん)は熊ノ湯の利用を勧めている。高原が注目されるようになったのは大正末期からで、スキーが行われるようになり、昭和初年長野電鉄が開発を始め、長野―湯田中間が開通した。志賀高原と名づけられたのもこのころである。第二次世界大戦後はスキーブームとともに大きく発展し、南部の山田温泉一帯の南志賀、北部の岩菅山を中心とする地域の奥志賀まで開発が進んでいる。

 高原上の観光資源は多様で、大小70余の湖沼、高山植物、温泉などに恵まれ、スキー場などの施設も整備されている。近年の上信越道の開通により、観光利便は向上した。高原の中央を志賀草津有料道路が通り、長野、群馬両県から入ることができる。年間の観光客のうち70%はスキー客である。

[小林寛義]


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百科事典マイペディア 「志賀高原」の意味・わかりやすい解説

志賀高原【しがこうげん】

長野県北東部,山ノ内町にある高原。上信越高原国立公園の一部。志賀山の溶岩流によって形成された凹凸の多い台地状の地形で,標高1400〜1700m。岩菅(いわすげ)山,横手山など2000m以上の山々に囲まれ,丸池,木戸池,琵琶池をはじめとする数多い湖沼群,高山植物の豊富な湿原などが入りまじり変化に富む。温泉も多く,熊ノ湯発哺(ほっぽ)は丸池とともに観光の中心。日本有数のスキー場でもある。山ノ内温泉郷から群馬県草津町へ渋峠経由の志賀草津高原ルートが通じる。
→関連項目山ノ内[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「志賀高原」の意味・わかりやすい解説

志賀高原
しがこうげん

長野県北東部,三国山脈の北西部にある火山性の高原。標高 1500~2000m。山ノ内町に属する。岩菅山,横手山,笠ヶ岳など 2000m級の山に囲まれており,志賀山の溶岩流によって形成された。シラカバ,ダケカンバの林があり,シャクナゲ,ミズバショウなどの高山植物も豊富。琵琶池,丸池,木戸池などの湖沼群や深い渓谷があり,地形は変化に富む。また熊ノ湯,発哺 (ほっぽ) ,地獄谷などの温泉もある。5月中旬までスキー客でにぎわい,夏は避暑客が多い。群馬県境の渋峠を越える志賀草津道路 (国道 292号線) の開通によって観光客が激増。南に接する山田温泉郷一帯は南志賀,北方の岩菅山一帯は奥志賀と呼ばれて観光開発が進んでいる。上信越高原国立公園の中心部をなす。

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世界大百科事典(旧版)内の志賀高原の言及

【温泉】より

…これを人々は〈冬住み〉といった。また志賀高原には大正期まで2軒の季節的温泉宿しかなかった。これらはいずれも冬季にはふもとの母村に下山していたが,昭和初期にスキーが導入されると,冬季でも宿泊客があり,定住温泉集落に成長した。…

※「志賀高原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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