デジタル大辞泉
「成敗」の意味・読み・例文・類語
せい‐ばい【成敗】
[名](スル)
1 処罰すること。こらしめること。特に、罪人などを打ち首にすること。「逆賊を成敗する」「けんか両成敗」
2 裁決すること。さばき。「神の成敗」
3 政治を行うこと。執政。
「賢王賢主の御政も、摂政関白の御―も」〈平家・一〉
4 処置すること。取り計らうこと。
「今度の軍の―をば三浦平六左衛門にぞ許されける」〈太平記・一〇〉
[類語]処罰・制裁・両成敗・厳罰・罰する
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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せい‐ばい【成敗】
- 〘 名詞 〙
- ① 政治を行なうこと。政務を執ること。執政。政務。
- [初出の実例]「いかなる賢王賢主の御政(まつりごと)も、摂政関白の御成敗も」(出典:平家物語(13C前)一)
- 「われ一己(いっこ)にて成敗(セイバイ)を主(つかさど)ればこそ」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後)
- ② とりはからうこと。処置すること。工夫。計画。
- [初出の実例]「賀茂祭以後可レ有二小除目一之由云々。所望之事成敗難レ計」(出典:明衡往来(11C中か)上本)
- 「今度の軍の成敗をば三浦平六左衛門にぞ許されける」(出典:太平記(14C後)一〇)
- ③ さばくこと。裁決すること。さばき。裁断。
- [初出の実例]「申旨理非如何、大学迷二成敗一」(出典:貴嶺問答(1185‐90頃))
- ④ こらしめること。処罰すること。しおき。特に罪人を斬罪に処すること。打ち首にすること。お手討。
- [初出の実例]「察二其所一レ録。為図二成敗一」(出典:本朝文粋(1060頃)二・応討滅夷賊符〈都良香〉)
- 「罪を緩(ゆる)うするは将の謀也と云事を知らざりける六波羅の成敗(セイハイ)を」(出典:太平記(14C後)六)
- 「彼男は縄をかけて其夜にせいばいにあいける」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)四)
- ⑤ ⇒せいはい(成敗)
せい‐はい【成敗】
- 〘 名詞 〙
- ① 事の成ることと敗れること。成功と失敗。成功するか失敗するかということ。勝敗。
- [初出の実例]「九曰、信是義本。毎事有信。其善悪成敗。要在二于信一」(出典:十七箇条憲法(604))
- 「さては軍(いくさ)の成敗(セイハイ)心にくからず」(出典:太平記(14C後)八)
- [その他の文献]〔史記‐高祖本紀〕
- ② ⇒せいばい(成敗)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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成敗 (せいばい)
中世武家が1232年(貞永1)に初めて制定した法律は〈御成敗式目〉と称せられている。〈成敗〉という辞句を公式に法制用語として使用したのはこれが最初であろう。その注釈書(《式目抄》)に,〈成敗〉という意味について,〈成敗ノ二字ハ,日本ニツカウモ,唐(中国)ニツカウモ,同ジ心也,成トハ悪ヲヤブルヲ云,善事ヲバ成シ,悪事ヲバ敗ルヲ成敗ト云ウ也,但シ成ト敗トハ二ツニシテ一也,善ヲ成セバ自ラ悪ハ敗ルヽ也,悪ヲ敗レバ自ラ善ハ成ル也〉と説明し,〈成敗〉は相関的な語であるとしているように,古来広義には政務を意味し,狭義には制裁または裁判を意味した。しかし,鎌倉後期より戦国以降に及び,一転して最終最重の制裁たる死刑を意味するに至った。明治維新後,修史館において旧幕府の記録を漢訳するに当たり,〈成敗〉を改めてことごとく〈処斬〉としてしまったという。また喧嘩両成敗法にいう成敗も原被両者に死罪を科すという意味であった。
執筆者:辻本 弘明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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「成敗」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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成敗
せいばい
政務をとること,事柄を処置すること,裁決すること,処罰することなど,中世~近世にさまざまな意味で用いられた。漢語の原義は「勝敗(を決すること)」で,中世における意味の中心は物事を分別し決定することにあった。鎌倉幕府ではしばしば所領を承認する安堵(あんど)との対比で用いられ,一方の当事者の申立てにもとづく安堵に対し,成敗は対立する当事者の主張の間に立って断を下すことを意味した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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