暴動(読み)ボウドウ(英語表記)riot

翻訳|riot

デジタル大辞泉 「暴動」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐どう【暴動】

群集が暴徒となって騒動を起こし、社会の安寧を乱すこと。
[類語]騒擾擾乱革命変革維新改新改革改変改造政変事変内乱反乱クーデター世直し

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精選版 日本国語大辞典 「暴動」の意味・読み・例文・類語

ぼう‐どう【暴動】

  1. 〘 名詞 〙 乱暴な行為。大勢でひき起こす騒動。特に、徒党を組んで騒動を起こし、社会の安寧を乱すこと。〔新令字解(1868)〕
    1. [初出の実例]「ますます暴動募りて〈略〉米を渡さぬ家は打毀しなどする程に」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉八)

暴動の語誌

幕末・明治初期に造られた新漢語。はじめは単に乱暴な行為の意であったが、次第に暴行による反社会的動乱、社会の安寧を乱す騒動の意に限定されるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「暴動」の意味・わかりやすい解説

暴動
ぼうどう
riot

群集の未組織的、自然発生的な集合的爆発行動のこと。具体的には、古代における奴隷の反乱、中世以降の農民一揆(いっき)、打毀(うちこわし)、フランス革命発端になったバスチーユ牢獄(ろうごく)の襲撃、機械打ち壊し(ラッダイト)運動、米騒動などがそれにあたる。長期間にわたって、民衆が身分的・階級的支配にさらされたり、経済的、政治的、社会的、文化的に抑圧されたりすると、民衆の間には大量の不満が蓄積されるが、その不満がなんらかのきっかけを得ることによって急進的、破壊的な敵意表出行動として爆発することがある。それが暴動である。計画的、組織的なものではないがゆえに、かえって衝撃力、破壊力に富む。

 多くの場合、暴動は政治的変革には結び付かないが、それが適切な理論と指導者を得るならば、革命とか内乱といった事態に進展していく。こうした事例を日本の歴史にみいだすことはむずかしいが、フランス革命やロシア革命にはそうした側面をみることができる。暴動は、その暴力性、急進性、破壊力のゆえに、ややもするとその盲目性や衝動性が一方的に強調されがちであるが、変革の契機としての側面がもっと重視されてよい。

 歴史的には暴動は時代曲り角に多く出現してきたが、管理化、組織化が著しく進行している現代においては、暴動の対象・契機・主体によって人種暴動、囚人暴動、労務者暴動、反カトリック暴動などを区別する、ほとんど歴史性を欠いた概念として用いられている。21世紀におけるこれまでもっとも注目される、多くの意味をくみ取られるべき暴動は、エスニシティ人種民族)や宗教のかかわる都市暴動であろう。

[矢澤修次郎]

『G・リューデ著、前川貞次郎他訳『フランス革命と群衆』(1963・ミネルヴァ書房)』『S・タロー著、大畑裕嗣監訳『社会運動の力――集合行為の比較社会学』(2006・彩流社)』『喜安朗著『パリの聖月曜日――19世紀都市騒乱の舞台裏』(岩波現代文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「暴動」の意味・わかりやすい解説

暴動 (ぼうどう)
riot

非計画的な,組織をもたない自然発生的な集団的暴力行使で,初期的段階の内乱の一形態ともなる。暴動は,支配される側の大衆が,さまざまな不満を正規の政治システムを通じて解消できないとき,事前の計画も明確なリーダーシップもほとんどないまま,暴発的に行う暴力の行使である。歴史上,暴動の例は枚挙にいとまがないが,古代ギリシア・ローマの奴隷の反乱,中世ヨーロッパの農民一揆や日本の百姓一揆の多くや米騒動などがその例である。現代の大衆民主主義社会でも,アメリカの黒人暴動にみられるようにうっ積した不満のはけ口として自然発生的な群集の集団的暴力行使が行われることがある。このような群集は社会集団論の見地からモッブmob(乱衆)と呼ばれることもある。

 暴動の原因が単に日常的不満の蓄積にとどまらず,合法的な政権交代の展望の欠如にまでいたると,それは容易に組織的,計画的な内乱へと転化していく。また暴動に対する既存政権の対応が適切さに欠けると,暴動によってうまれる混乱は政治的真空状態をも現出させ,政権の転覆すら起こりうる。体制側は,暴動の鎮圧に成功すると,再発防止のため暴動参加者を厳罰に処する。イギリスにおける暴動法Riot Act(1715。12人以上の者が暴動を目的として集会を催した場合,この法令を読み上げて解散を命じ,応じない者は厳罰に処された)の規定や,日本の旧刑法における兇徒聚衆罪(きようとしゆうしゆうざい),およびこれをひきつぐ現行刑法の騒乱罪などはその一例である。しかし,その見せしめ的効果が永続する保証はない。したがって,結局は暴動の原因になった不満を解消し,大衆の政治的要求が権力に伝えられるためのチャンネルの形成が必要になってくる。これに失敗すると暴動が再発,頻発することになり,それはしだいに自然発生的状況から計画化,組織化への方向をたどり,全面的な内乱へと発展していく危険性が高まる。現代の大衆民主政治においては,さまざまな形での大衆の政治的示威行動(デモなど)が合法的に認められている。また大衆が利用可能なマス・メディアの発達が著しいため,何ら直接的な政治性をもたない,たとえば暑い夏を背景として群集心理に動かされた暴動もしばしば起こっている。
内乱
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「暴動」の意味・わかりやすい解説

暴動
ぼうどう
riot

群集や暴徒による自然発生的な集団的暴力。具体的には反乱,一揆,騒擾 (そうじょう) ,打ちこわしなどをいう。暴動は社会秩序を転覆し新社会秩序の建設を志向する革命的行動と類似しているが,両者は通常区別される。暴動が革命的行動に転化する事例はなくはないが (フランス革命,ロシア革命) ,通常政治指導や組織が欠如したり,弱体であることから,暴動と呼称される。暴動は支配層に恐怖を与え,あるいは統治についての自省の機会を与えるが,暴動主体が新政治権力をつくりだすことはなく,せいぜい支配層内部における統治者の交代をもたらすにすぎない。しかし暴動は鬱積 (うっせき) した社会不満の噴出であることが多く,その数は統治の良否を示すバロメーターである。封建時代に頻発した日本や西ヨーロッパにおける農民の一揆や反乱,最近ではアメリカ合衆国における黒人暴動,東ヨーロッパにおける自由を求める暴動などはこの典型である。

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普及版 字通 「暴動」の読み・字形・画数・意味

【暴動】ぼうどう

徒党を組んで騒ぐ。

字通「暴」の項目を見る

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