歌語(読み)カゴ

デジタル大辞泉 「歌語」の意味・読み・例文・類語

か‐ご【歌語】

特に和歌に用いられる言葉表現。「つる」を「たず」と表現する類。うたことば。

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精選版 日本国語大辞典 「歌語」の意味・読み・例文・類語

うた‐がたり【歌語】

  1. 〘 名詞 〙 歌についての物語。歌にまつわる話。歌物語(うたものがたり)
    1. [初出の実例]「よろづの御物語、文の道のおぼつかなくおぼさるる事どもなどとはせ給て、又、すきずきしきうたがたりなども、かたみに聞えかはさせ給ふついでに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)

歌語の語誌

文学史では、「歌語り」と「歌物語」とを分け、前者を口承段階のもの、後者文字化された段階のものとする。しかし、当時「歌語り」と「歌物語」との間に区別があったとは考えにくい。


か‐ご【歌語】

  1. 〘 名詞 〙 主として、和歌をよむ時だけに用いられる言葉。鶴(つる)に対する「たづ」、蛙(かえる)に対する「かはづ」など。広くは四季景物歌枕古歌秀句異名序詞懸詞など和歌の表現に関わる慣用的、類型的な語句体系をさす。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「歌語」の意味・わかりやすい解説

歌語
かご

和歌に用いられることば。とくに、鶴(つる)に対して「たづ」、蛙(かえる)に対して「かはづ」、あるいは「わぎもこ(我妹子)」「さくらばな(桜花)」「さくらがり(桜狩)」などのように、普通の話しことばや散文には用いられず、和歌を詠むときだけに用いられる特定のことばをさすことが多い。一般に和歌のことばは和語系で、漢語を用いることはまれであり、洗練された文学用語として、いわゆる俗語的なものが排除される傾向にあったから、歌語はしだいに雅語的なものとして受け止められるようになった。懸詞(かけことば)や縁語、あるいは音数律など、和歌特有の表現技法の影響下にあり、一方その変遷は、和歌史の推移に深くかかわっている。

[久保木哲夫]

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百科事典マイペディア 「歌語」の意味・わかりやすい解説

歌語【うたがたり】

和歌について,その作者,内容,成立事情などを語ったもの。打聞。平安貴族の生活には和歌が深く浸透していたため,歌にまつわる説話や噂話が口頭で語られることがあった。それがやがて文字で記され,さらに創作が加えられることによって,歌物語の基となったと考えられている。《大和物語》や《後撰和歌集》にはこうした和歌の打聞の面影が色濃く残されているとされる。

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