法華宗(読み)ホッケシュウ

デジタル大辞泉 「法華宗」の意味・読み・例文・類語

ほっけ‐しゅう【法華宗】

法華経をよりどころとするところから》
古く、天台宗異称
日蓮宗俗称。また、その流派うち、本門流・真門流・陣門流の総称

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精選版 日本国語大辞典 「法華宗」の意味・読み・例文・類語

ほっけ‐しゅう【法華宗・法花宗】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。
  2. 天台宗の別称
    1. [初出の実例]「如法華宗四教五味、以摂一切仏教」(出典選択本願念仏集(1198頃))
  3. 日蓮宗の別称。
    1. [初出の実例]「中古以来、吾朝号法花宗之族出来焉、其説背本経、非仏法者也」(出典:尺素往来(1439‐64))
  4. 日蓮宗の一流派。日印流祖とし、孫弟子の日陣が完成したもの。新潟県三条市の本成寺総本山とし、はじめ日蓮宗本成寺派と称していたが、明治三一年(一八九八)一二月、正式に法華宗と改称された。現在はこれを陣門流とし、他に本門流・真門流を含む総称。

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改訂新版 世界大百科事典 「法華宗」の意味・わかりやすい解説

法華宗 (ほっけしゅう)

法華経》をよりどころとする宗派。《法華経》は,インドの比丘(びく)(僧)の教団とは別に,在家信者の菩薩団の運動のなかで北西インドに成立,釈尊は歴史を超えた永遠の昔からの存在であるとし,その教えを譬喩(たとえ)や象徴によって説いた。インドでは竜樹が《大智度論》に引用し,世親はこの注釈書《妙法蓮華経優婆提舎(うばだいしや)》を著している。中国では6種の漢訳ができたが,クマーラジーバ鳩摩羅什)の《妙法蓮華経》が最も流布した。注釈も多く行われ,とりわけ法雲の《法華経義記》はその最高とされる。この経を根本としたのが天台宗で,天台大師智顗ちぎ)により一宗となり,独特の経の位置づけをした。智顗の三大部(《法華玄義》《法華文句》《摩訶止観(まかしかん)》)はその体系を示している。のち法相(ほつそう)・華厳密教の勢力におされたが,湛然(たんねん)はこれを中興した。日本では,聖徳太子がすでに《法華義疏》を著したが,中国天台宗の教学書を日本に伝えたのが鑑真で,これをうけて日本天台法華宗を始めたのが最澄である。日本天台宗は天台・禅・律・密教の4宗を含み,のちに浄土教も展開させた。《法華経》への信仰は,こうした宗派に収れんされただけでなく,広く流布している。とりわけ同経に説く悪人成仏・女人(によにん)成仏の教えがうけいれられた。《法華経》の書写・出版,講経,埋経も行われ,強烈な法華信仰をもつ持経者もあらわれ,文芸・美術にも深く影響を与えた。鎌倉時代の日蓮は,天台宗の密教化を否定,釈尊-智顗-最澄-日蓮の思想的系譜を描き,法華宗=法華仏教の正統を継承する者として自己規定したばかりでなく,釈尊にみずからを直結させる宗教的系譜を描いた。日蓮以後,中世において日蓮法華宗が展開していった。近世末期幕末から明治維新期には《法華経》をよりどころとする在家仏教運動が展開した。こうした法華仏教は,密教・禅仏教・浄土教とともに,現代の日本仏教を構成している4本柱の一つといってよい。
天台宗 →日蓮宗
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「法華宗」の解説

法華宗
ほっけしゅう

広義には「法華経」をよりどころとする教団の総称。日蓮みずからは自説を法華宗とはよばず,「予が一門」と称したが,門弟らは法華宗と称し,1876年(明治9)日薩が日蓮宗の公称許可を得るまで続いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法華宗」の意味・わかりやすい解説

法華宗
ほっけしゅう

もとは天台宗が『法華経』を根本経典としたので天台宗の本名であった。しかしのちに日蓮宗が現れて盛んに『法華経』を広めたので,俗に日蓮宗を法華宗と称するようになった。

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百科事典マイペディア 「法華宗」の意味・わかりやすい解説

法華宗【ほっけしゅう】

日蓮宗

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「法華宗」の意味・わかりやすい解説

法華宗
ほっけしゅう

日蓮宗

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旺文社日本史事典 三訂版 「法華宗」の解説

法華宗
ほっけしゅう

日蓮宗

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世界大百科事典(旧版)内の法華宗の言及

【日蓮宗】より

…古くは〈法華宗〉〈日蓮法華宗〉などとも称した。日蓮を宗祖とする仏教の宗派の総称だが,現在では山梨県身延久遠(くおん)寺を総本山とする日蓮宗の代表的一派の名称でもある。…

【本能寺】より

…京都市中京区にある法華宗(本門流)の本山。妙顕寺から分かれた日隆が1415年(応永22)油小路高辻と五条坊門の間(現,下京区)に開創,29年(永享1)内野(うちの)に再建。…

※「法華宗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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