私語（読み）シゴ

デジタル大辞泉

し‐ご【私語】

［名］(スル)
１ ひそかに話すこと。ささやくこと。
「聞き取れるか聞き取れぬ程のしめやかな―の声で」〈二葉亭訳・あひゞき〉
２ 公の場であるにもかかわらず、自分たちだけでひそひそと勝手な話をすること。また、その話。「私語を慎む」
[類語]耳語・密語・内緒話・ひそひそ話・耳打ち・耳こすり・囁く

ささめき‐ごと【私^＝語】

「ささめごと」に同じ。
「うちうちにのたまはする御―どもの、おのづから広ごりて」〈源・若菜上〉

ささめ【私^＝語】

《「さざめ」とも》「ささめごと」の略。
「一生閨ねやに―せん事も絶えにしよと思へば」〈浮・近代艶隠者〉

ささめ‐ごと【私^＝語】

《「さざめごと」とも》ひそひそ話。ないしょ話。特に、男女間の恋の語らいをいう。ささめきごと。
[補説]書名別項。→ささめごと

ささ‐めき【私^＝語】

ささめくこと。ひそひそ話。ささやき。また、男女のむつごと。
「貴妃の―、再び唐帝の思ひにかへる」〈海道記〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ささめ‐ごと【私語】

1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「さざめごと」とも ) 声をひそめて話すこと。また、そのことば。ささやき。
   1. ① ひそひそ話。内証話。ささめきごと。〔観智院本名義抄（1241）〕
      1. [初出の実例]「これは伏屋(ふせや)がしたのささめごとなれば、壁の耳もおぼつかなからず」(出典：ささめごと（1463‐64頃）上)
   2. ② 男女間のむつごと。恋のささやき。
      1. [初出の実例]「うらやまし今宵(こよひ)はあはむ七夕(たなばた)のささめごとせむ積ることのは」(出典：為忠集（鎌倉中か）)
      2. 「他愛無い私事(サザメゴト)ばかりに酔はされてゐたのである」(出典：多情多恨（1896）〈尾崎紅葉〉後)
2. [ 2 ] ( ささめごと ) 連歌論書。二巻。心敬著。寛正四年（一四六三）執筆。翌年改訂増補を加え、現在異本が二種ある。連歌の歴史、作り方、作法などを問答体で細かく説明したもの。中世の代表的文学論で、連歌・和歌・仏道の同一性を説き、連歌修行即仏道修行といった人格主義的理想論を展開。

し‐ご【私語】

1. 〘 名詞 〙 ささやくこと。ひそかにはなすこと。また、その話。ささめごと。
   1. [初出の実例]「知信召_二武道_一私語曰、問_二刻限_一、帰来は、亥二点と可_レ申之由、相語也」(出典：台記‐保延二年（1136）一〇月一一日)
   2. 「漸く聞取れるか聞取れぬ程のしめやかな私語の声」(出典：あひゞき（1888）〈二葉亭四迷訳〉)
   3. [その他の文献]〔後漢書‐光武紀〕

ささめ【私語】

1. 〘 名詞 〙 ( 「さざめ」とも ) 「ささめごと（私語）」の略。
   1. [初出の実例]「一生閨(ねや)に私語(ササメ)せん事も絶(たへ)にしよとおもへば」(出典：浮世草子・近代艷隠者（1686）二)

ささ‐めき【私語】

1. 〘 名詞 〙 ささめくこと。また、そのことば。特に、男女間のむつごと。恋のささやき。ささめごと。
   1. [初出の実例]「貴妃の私語(ささめき)、再び唐帝の思(おもひ)に還る」(出典：海道記（1223頃）蒲原より木瀬川)

ささめき‐ごと【私語】

1. 〘 名詞 〙 ひそひそばなし。内証話。ささめごと。ささやきごと。
   1. [初出の実例]「あやしく、うちうちにのたまはする御ささめき事どもの、おのづからひろごりて」(出典：源氏物語（1001‐14頃）若菜上)

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【私語】しご

ささやく、ひそかに話す。唐・白居易〔長恨歌〕詩　七七日、長生殿　夜人無く私語の時　天に在りては願はくは比の鳥と作(な)らん　地に在りては願はくは理の枝と爲らん

字通「私」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」