囁く(読み)ササヤク

デジタル大辞泉 「囁く」の意味・読み・例文・類語

ささ‐や・く【×囁く/私語く】

[動カ五(四)]
小さな声で話す。ひそひそと話す。「耳もとで―・く」「愛を―・く」
うわさをする。「まことしやかに―・かれる」
かすかな音を立てる。「こずえに―・く風の音」
[可能]ささやける
[類語]呟く内緒話ひそひそ話私語耳打ち耳語密語耳こすりぼじゃぼじゃぼそぼそぼそっとぽつりぽつりぽつりひそひそちょろりぽろりもごもごもぐもぐぽつぽつしどろもどろうだうだぐだぐだくだくだくどくどぶつぶつぶつくさぐずぐずささやきつぶやくつぶやき

つつ‐や・く【×囁く】

[動カ四]つつめく」に同じ。
「信頼同心の由にてありけるも、そそやき、―・きつつ…とかく議定して」〈愚管抄・五〉

つつ‐め・く【×囁く】

[動カ四]ひそひそ言う。ささやく。つつやく。
じもこそしたべとて、―・きてやみぬ」〈土佐

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「囁く」の意味・読み・例文・類語

ささ‐や・く【囁・私語・耳語】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 ( 「やく」は接尾語 )
  2. ひそひそと話す。私語する。声をしのばせる。人にこっそり言う。そっと耳打ちする。ささめく。そそやく。また、比喩的に、草木、川などが小さな音をたてる。
    1. [初出の実例]「せめてささやくものから、てを打ちて仰ぐ」(出典:平松本大鏡(12C前)三)
    2. 「耳たぶによらせられ、小語(ササヤキ)給ふは」(出典浮世草子・日本永代蔵(1688)二)
  3. こそこそとうわさをする。
    1. [初出の実例]「向つ峯(を)に立てる桃の樹成らめやと人そ耳言(ささやく)(な)が情(こころ)ゆめ」(出典:万葉集(8C後)七・一三五六)
    2. 「今度の軍如何様にも墓々しからじと私語(ササヤ)く人も多かりけり」(出典:太平記(14C後)三四)

囁くの補助注記

「ささ」は擬声語で、「ささめく」が音が聞こえることに主意があるのに対して、「ささやく」は話し合う行為に主意がある。


つつ‐め・く【囁めく】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 大声で言うのをはばかって、ひそひそものをいう。ぶつぶつとかげ口をいう。ささやく。つつやく。
    1. [初出の実例]「買へる人転(つた)へ聞きて、乃ち盗みし衣なることを知り、当頭(ツツメキテ)求め匪(ず)。〈興福寺本訓釈 当頭 川々女支天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)

つつ‐や・く【囁やく】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙つつめく(囁━)色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「そのときに、おれがみぬかとおもって、さことつつやき、ささやき、聞たぞいやい」(出典:狂言記・内沙汰(1660))

そそ‐や・く【囁】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 後世「そそやぐ」とも ) 声をひそめて話す。ひそひそ話す。私語する。ささやく。〔大般若経字抄(1032)〕
    1. [初出の実例]「惟方は院の御書所に参りて〈略〉そそやき申て出にけり」(出典:愚管抄(1220)五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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