遅れる(読み)オクレル

デジタル大辞泉 「遅れる」の意味・読み・例文・類語

おく・れる【遅れる/後れる】

[動ラ下一][文]おく・る[ラ下二]
他のものよりあとになる。取り残される。「前の走者に―・れまいとして必死に走る」「流行に―・れる」「勉強が人より―・れる」
進み方が標準基準より遅くなる。「今年は開花が―・れている」「時計が―・れている」⇔進む
決められた時刻期限よりあとになる。また、それに間に合わない。「出発時間が―・れる」「門限に―・れる」
(後れる)親しい人に先立たれる。自分だけが生き残る。「妻に―・れる」
(後れる)気おくれがする。臆する。
「―・れた様子もなく」〈鴎外
他の人に及ばない。
和歌のかたや少し―・れ給へりけむ」〈大鏡伊尹
[類語](1立ち遅れる遅れをとる/(2)(3遅滞する延滞する延引する遅延する延着する遅刻する遅参する手遅れ/(6劣る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「遅れる」の意味・読み・例文・類語

おく・れる【遅・後】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]おく・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 他のものよりあとになる。ある基準よりおそくなる。
    1. (イ) 他よりあとになってへだたりができる。
      1. [初出の実例]「あしたづのひとりおくれて鳴く声は雲の上まできこえつがなん〈大江千里〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九九八)
    2. (ロ) 人に行かれてあとに残される。先をこされる。いっしょに行かないであとにとどまる。
      1. [初出の実例]「群鳥(むらどり)の 朝立ち去(い)なば 於久礼(オクレ)たる 我(あれ)や悲しき 旅に行く 君かも恋ひむ」(出典万葉集(8C後)一七・四〇〇八)
    3. (ハ) 親しい人に死なれて、自分の死ぬのがあとになる。死におくれる。先立たれる。
      1. [初出の実例]「命長くて思ふ人々にをくれなば、尼にもなりなむ、海の底にも入りなむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
    4. (ニ) ある基準の時間や時機よりおそくなる。定まった時刻に間に合わなくなる。
      1. [初出の実例]「春雨にもえし柳か梅の花ともに於久礼(オクレ)ぬ常の物かも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九〇三)
    5. (ホ) 時勢や流行など物事の進行にとり残される。
      1. [初出の実例]「早(すみやか)に図(はか)るに非ずは、必ず後(ヲクレ)なむ」(出典:日本書紀(720)崇神一〇年九月(熱田本訓))
    6. (ヘ) あとから生えた毛髪などが他よりのび方がおそくなる。
      1. [初出の実例]「いと長き人もひたひ髪は少し短うぞあめるを、むげにをくれたるすぢのなきや、あまりなさけなからむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  3. 才能、性質などが標準に及ばない。ふつうより劣る。また、官位の進み方が他よりおそくなる。
    1. [初出の実例]「今ひとりの男は、その同じ帝の母后の御兄末(あなすゑ)にて、つかさおくれたりけり」(出典:大和物語(947‐957頃)二条家本付載)
  4. ( 多く助動詞「た」「たり」を伴って ) 恐れて気力がなくなる。こわがる。気おくれする。
    1. [初出の実例]「『ああ、先(まづ)待て待て』『何とおくれたか』」(出典:虎寛本狂言・文山立(室町末‐近世初))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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