高知市(読み)コウチシ

デジタル大辞泉 「高知市」の意味・読み・例文・類語

こうち‐し〔カウチ‐〕【高知市】

高知

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「高知市」の解説

高知市
こうちし

面積:一四三・二三平方キロ

高知県の中央やや東寄り、土佐湾に面して、その入江の浦戸うらど湾を抱くようにして位置する。東は南国市、北は土佐郡土佐山とさやま村およびかがみ村、西は吾川あがわ伊野いの町および春野はるの町に接する。市域の西部および北部は標高四〇〇―六〇〇メートルの山地が連なり、東部には高知平野の美田が広がる。河川には北方土佐郡を上流とする鏡川が市の西北部から湾曲しながら東流し、浦戸湾に注ぐ。また国分こくぶ川が南国市北部およびその東の香美郡西部域の水を集めて西流、くち川・舟入ふないれ川を合せて浦戸湾に注ぐ。そのほか下田しもだ川なども浦戸湾に注ぐ。古くは現平野部のほとんどは内海であったが、鏡川などの堆積や隆起、さらには干拓による埋立などによって、ほぼ現在の状態となるのは近世のことである。このため平地部の土地は総体的に低く、常に集中豪雨・台風・津波による災害が繰返された。

高知市はかつての土佐郡・長岡郡・吾川郡の三郡の各一部からなるが、高知の名は、江ノ口川・鏡川に挟まれた大高坂おおだかさ山に山内一豊が居城を建築し、大高坂山を河中こうち山と改め、さらに多発する水害からこの字を忌み、五台山竹林ちくりん寺の文殊菩薩の高い知恵にちなんで高智山と改め、その後、高知の字をあてるようになったものという。

〔原始〕

内海が現市域平地部の大部分を占めていたため、原始時代の遺跡が低地から発見されることはなく、いずれも山地・丘陵部に限定されている。旧石器時代の終末期のものとして高知市域東部介良の高間原けらのたかまがはらより細石器の発見があり、高知市周辺にもこの頃の人々の生活のあったことが知られるようになったが、当市域には縄文時代の居住は確認されていない。高知市の山地・丘陵部に発見されるものは弥生時代の遺跡・遺物で、福井ふくいのかろうとぐち遺跡、朝倉の城山あさくらのじようやま遺跡、大津の高天原おおつのたかまがはら遺跡などが知られている。青銅器は、池の長崎いけのながさきから広鋒銅鉾二本の発掘が報告されている。

古墳はそのほとんどが中期・後期のものとみられ、その数も少ない。西は朝倉・つかはらから東へかけて秦泉寺じんぜんじ一宮いつく方面の丘陵部に分布し、東は介良・大津にあり、周辺低地を開拓し支配した人々あるいは特別の身分をもった人々の墳墓と考えられ、六世紀前半から七世紀にかけて水稲農業による経済力を蓄えた小豪族の活動を示している。土佐国造の祀った土佐大神は一宮の土佐神社であるが、国造の住んだ地は鏡川沿いの杓田ひしやくだの「カクソ」、あるいはその北西方にあたる尾立ひじの地が古くより考えられているが確証はない。


高知市
こうちし

2005年1月1日:高知市が土佐郡土佐山村・鏡村を編入
【土佐山村】高知県:土佐郡
【鏡村】高知県:土佐郡
【高知市】高知県


高知市
こうちし

2008年1月1日:高知市が吾川郡春野町を編入
【高知市】[変更地名]高知県
【春野町】高知県:吾川郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高知市」の意味・わかりやすい解説

高知〔市〕
こうち

高知県中部,土佐湾に面する中核市。県庁所在地。 1889年市制。 1942年長浜町と朝倉村,浦戸村など9村を編入して市域を拡張。 1972年,大津村と介良村を,2005年村と土佐山村を,2008年春野町をそれぞれ編入。中心市街地は浦戸湾奥に位置し,鏡川の三角州上に発達。慶長8 (1603) 年山内氏が築城して以後,城下町として発展。明治維新以来,県下の行政,経済,交通,文化の中心地となり,高知城 (国指定重要文化財) を中心に官庁街と学校区,播磨屋橋を中心に金融・商業区を形成する。セメント,製鋼,化学,製紙,パルプ,繊維などの工業が立地。和紙,かつお節,さんご細工は特産。耕地は国分川流域一帯に集中し,野菜の促成栽培が行なわれる。北部は山林が大半を占め,農林業がおもな産業。高知城跡武市半平太 (→武市瑞山 ) 旧宅および墓などの国指定史跡があるほか,朝倉神社本殿,土佐神社本殿など多くの国指定重要文化財を有する。桂浜五台山公園など景勝地も多く,北部は工石山陣ヶ森県立自然公園北山県立自然公園に,南西部は鷲尾山県立自然公園に属する。また,四国八十八ヵ所第 30番札所の善楽寺,第 31番札所竹林寺 (本堂は国指定重要文化財,庭園は国指定名勝) ,第 33番札所雪蹊寺,第 34番札所種間寺がある。筆山公園付近のミカドアゲハとその生息地は国の特別天然記念物に指定されている。 JR土讃線,土佐電鉄線が通るほか,国道 32号線,33号線,55号線,56号線,195号線などが集まる。面積 309.00km2。人口 32万6545(2020)。

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