凶(漢字)

普及版 字通 「凶(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] キョウ
[字訓] わるい・まがごと

[説文解字]

[字形] 象形
凵(かん)は胸郭の形。その中央に文身としての×形を加える。枉死者の屍にこの文身を施すことによって、その霊を鎮め、災厄を祓うことができるとされた。すなわち凶礼を示す字である。身分ある人の胸には朱でえがく絵身を加えて、(文)という。は人の正面形の胸に絵身を加えた形で、卜文・金文の字は、文身として∨や心字形を加えるものが多い。婦人のときには乳房をモチーフとするので、爽・・爾の×や百はその形である。凶を〔説文七上に「惡なり。地たれて、其の中に陷するに象るなり」と人の陥没する意とするが、凶が凶事における胸部の文身を示す形であることは、兇・匈・胸など、その系列の字形から考えても、明らかなことである。

[訓義]
1. わるい、まがごと、わざわい。
2. 不吉のこと、罪あること、けがれあること。
3. もとる、よこしま。
4. 不順なること、倒逆なること。

[古辞書の訓]
名義抄〕凶 アシ・ウレフ・ウレヘ 〔字鏡集〕凶 ウレフ・アシ・トガ

[部首]
〔説文〕〔玉〕ともに、この部に兇の一字を属する。〔玉〕に凶を「短折なり、惡なり、咎なり」、また「兇は懼(おそ)るる聲なり」とするが、凶は凶礼を示す文身、兇はその全身形である。

[声系]
〔説文〕に凶声として匈・の三字を収める。匈は凶に側身形を加えたもので、胸の部分を示す。兇は全身形でその状態を示す。(そう)は兇の下にさらに夊(すい)を加えたもので、凶声の字ではない。

[語系]
凶・兇xiongは同声。ともに凶事・凶懼を意味する。また(荒)xuangは凶作荒穢をいい、凶懼を惶huangという。みな一系の語である。

[熟語]
凶穢・凶悪・凶衣・凶威・凶音・凶凶殃・凶害凶黠凶猾凶悍凶旱・凶患凶頑凶危・凶軌・凶帰凶飢・凶・凶器凶虐・凶逆凶咎凶渠・凶凶・凶凶矜凶饉・凶具・凶愚・凶凶歉・凶験・凶言・凶功凶行・凶狡・凶荒・凶・凶寇・凶酷・凶詐・凶災・凶歳・凶作・凶札・凶残・凶侈・凶恣・凶事・凶日・凶邪・凶手・凶豎・凶醜・凶穣・凶心・凶身・凶信・凶人・凶声・凶賊・凶短・凶兆・凶徒・凶怒・凶党・凶盗・凶・凶・凶徳・凶毒・凶年・凶拝・凶悖・凶敗・凶犯・凶訃・凶服・凶問・凶聞・凶変・凶豊・凶謀・凶勃・凶慢・凶夢・凶妄・凶門・凶勇・凶妖・凶慾・凶乱・凶類・凶礼・凶戻
[下接語]
奸凶・姦凶・吉凶・救凶・禦凶・群凶・元凶・囂凶・讒凶・大凶・転凶・愍凶・憫凶・豊凶・妖凶

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報