鞦韆(読み)ブランコ

デジタル大辞泉 「鞦韆」の意味・読み・例文・類語

ぶらんこ【鞦韆】

擬態語ぶらり」「ぶらん」などからできた語か》2本の綱や鎖で横木をつり下げ、それに乗って前後に揺り動かして遊ぶもの。ふらここ。しゅうせん。 春》
[補説]作品名別項。→鞦韆

ぶらんこ【鞦韆】[絵画]

原題、〈フランスLes hasards heureux de l'escarpoletteフラゴナール絵画カンバス油彩。縦81センチ、横64センチ。18世紀ロココ美術を代表する雅宴画の一。ぶらんこに乗る若い女性と愛人である貴族男性を描いたもの。ロンドン、ウォーレスコレクション所蔵。

ふらここ【鞦韆】

《「ぶらここ」とも》「ぶらんこ」に同じ。 春》

ゆさ‐わり〔‐はり〕【鞦韆】

ぶらんこ。〈和名抄

しゅう‐せん〔シウ‐〕【××韆】

ぶらんこ。 春》

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精選版 日本国語大辞典 「鞦韆」の意味・読み・例文・類語

ぶらんこ【鞦韆】

〘名〙 (擬態語「ぶらり」「ぶらん」などからできた語か。一説に、balanço からとも)
① 二本の綱または鎖を釣り下げ、下端に横木(座席)を取りつけ、人が乗り、前後にふり動かす遊び道具。またそれを動かして遊ぶこと。ぶらここ。ぶらこ。ぶらんど。ぶらりこぶらりこ。ゆさわり。ゆさぶり。びしゃご。半仙の戯れ。しゅうせん。《季・春》 〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※あめりか物語(1908)〈永井荷風〉牧場の道「腰掛付の鞦韆(ブランコ)
② ぶらさがること。また、そのものやその状態。また、首つり俗称
※洒落図解心の心(1894)〈尾崎紅葉〉五「年の暮は首を縊る方が、何と無く相応(うつり)が好いよ。ぶらんこと為(し)やう」
[語誌](1)語源柳田国男の唱えた「ブランとさがってゐるからである」〔ブランコの話〕というのが妥当か。
(2)「ブランコ」の語形はおもに明治以降と思われる。

しゅう‐せん シウ‥【鞦韆】

〘名〙
① ブランコ。ゆさわり。ゆさぶり。ふらここ。《季・春》
経国集(827)一一・鞦韆篇〈嵯峨天皇〉「幽閨人、粧梳早、正是寒食節、共憐鞦韆好」
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉写生帳「共に一個の鞦韆(シウセン)に乗り、共に同一の小学に学び」
② (━する) 前後にふること。ゆすること。〔慶応再版英和対訳辞書(1867)〕

ぶらここ【鞦韆】

〘名〙 (「ふらここ」とも) =ぶらんこ(鞦韆)①《季・春》
※俳諧・芭蕉翁古式之俳諧(1685)「枝花をそむくる月の有明て〈才麿〉 ふらここつらん何某(なにがし)が軒〈コ斎〉」

ゆさ‐わり ‥はり【鞦韆】

〘名〙 ぶらんこ。ゆさぶり。ゆさばり。しゅうせん。《季・春》
※十巻本和名抄(934頃)二「鞦韆 古今芸術図云鞦韆〈秋遷二音 由佐波利〉以綵縄懸空中以為戯也」

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世界大百科事典(旧版)内の鞦韆の言及

【清明】より

…ちなみに,子推は寒食の由来となった介子推を指す。清明節の遊戯としては,墓参後にも行われた踏青の楽しい遊び以外に,鞦韆(しゆうせん)(ぶらんこ)遊びや打毬(だきゆう)(ポロ),蹴鞠(しゆうきく)(けまり),闘鶏などがある。鞦韆は唐・宋時代や遼代,婦人や子どもたちの楽しい活発な遊びとなり,唐の玄宗は半仙の戯と呼んだ。…

【ぶらんこ】より

…ぶらんこは新大陸にも知られており,旧大陸との伝播関係はまだ不明ながら,中米のトトナコ文化からは2人の女児が乗ったぶらんこ遺物が出土している。【寒川 恒夫】
[日本]
 《和名抄》には〈鞦韆,和名由佐波利(ゆさはり)〉とあり,また〈ぶらここ〉ともいった。嵯峨天皇に鞦韆(しゆうせん)の詩があり宮中でも行われていた。…

【ぶらんこ】より

…ぶらんこは新大陸にも知られており,旧大陸との伝播関係はまだ不明ながら,中米のトトナコ文化からは2人の女児が乗ったぶらんこ遺物が出土している。【寒川 恒夫】
[日本]
 《和名抄》には〈鞦韆,和名由佐波利(ゆさはり)〉とあり,また〈ぶらここ〉ともいった。嵯峨天皇に鞦韆(しゆうせん)の詩があり宮中でも行われていた。…

※「鞦韆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」