おさん茂兵衛(読み)オサンモヘエ

デジタル大辞泉 「おさん茂兵衛」の意味・読み・例文・類語

おさん‐もへえ〔‐モヘヱ〕【おさん茂兵衛】

京都烏丸からすま大経師の妻おさんと手代茂兵衛。天和3年(1683)姦通の罪によりはりつけとなった。井原西鶴好色五人女」、近松門左衛門大経師昔暦」などに作品化されている。

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精選版 日本国語大辞典 「おさん茂兵衛」の意味・読み・例文・類語

おさん‐もへえ ‥モヘヱ【おさん茂兵衛】

京都の大経師の妻おさんと手代茂兵衛。天和三年(一六八三)、姦通が発覚して処刑された。西鶴浮世草子「好色五人女」の一編、近松門左衛門の浄瑠璃「大経師昔暦」に描かれたほか、各種の芸能素材に取り上げられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「おさん茂兵衛」の意味・わかりやすい解説

おさん茂兵衛
おさんもへえ

実在の姦通(かんつう)事件、およびこれを脚色した小説、戯曲の登場人物名。1683年(天和3)、京都・烏丸通(からすまどおり)の大経師(だいきょうじ)意俊(いしゅん)の妻おさんが手代(てだい)茂兵衛と密通し、仲立ちをした下女玉(たま)と3人が丹波(たんば)国(兵庫県)に潜伏していたのを召し捕られ、9月22日粟田口(あわたぐち)で処刑されたという。井原西鶴(さいかく)は『好色五人女(こうしょくごにんおんな)』(1686)の「中段に見る暦屋(こよみや)物語」でおさん茂右衛門(もえもん)の名で小説化、近松門左衛門は浄瑠璃(じょうるり)『大経師昔暦(むかしごよみ)』(1715)にほとんど実名で脚色、その後も多くの作品に扱われている。近年では川口松太郎の小説『おさん茂兵衛』(1954)が『近松物語』の名で劇化され、新派の当り狂言になり、映画化もされた。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「おさん茂兵衛」の意味・わかりやすい解説

おさん茂兵衛
おさんもへえ

天和3 (1683) 年9月 22日姦通の罪でともに処刑された,京都烏丸の大経師の妻おさんと手代茂兵衛。2人で丹波国に逃げていたが捕えられ,洛中引回しのうえ磔 (はりつけ) になった。当時評判の事件で,歌にうたわれ,井原西鶴の『好色五人女』巻三や,近松門左衛門の浄瑠璃『大経師昔暦』 (1715上演) の素材となった。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「おさん茂兵衛」の解説

おさん茂兵衛
(通称)
おさん もへえ

歌舞伎・浄瑠璃の外題
元の外題
大経師昔暦 など
初演
正徳5.春(大坂・嵐三十郎座)

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デジタル大辞泉プラス 「おさん茂兵衛」の解説

おさん茂兵衛

古典落語の演目のひとつ

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