ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カピラ」の意味・わかりやすい解説
カピラ
Kapila
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生没年不詳。伝説的にインド六派哲学サーンキヤ学派の開祖とされる。彼は自説をアースリ Āsuriに教え、アースリはパンチャシカPañcaśikhaに伝え、これによって教えが広められたという。後代の作品『タットバ・サマーサ』(8世紀?)と『サーンキヤ・スートラ』(15世紀?)は彼に帰せられる。紀元前3世紀ころの『シュベーターシュバタラ・ウパニシャッド』にはサーンキヤ学派の人物であることを暗示して、カピラの名をあげてあり、それが文献上の最初である。前2世紀から後2世紀ごろの『マハーバーラタ』第12巻には、彼の名はサーンキヤ師として言及され、またベーダの祭式(供犠(くぎ))を批判し、出家遁世(とんせい)によって知による解脱(げだつ)を説く行者としても出ている。梵天(ぼんてん)の七子の一ともいう。提婆(だいば)の『百論』に対する婆藪開士(ばすかいし)の注釈(404年漢訳)には迦毘羅(かびら)の言としてサーンキヤ説が引かれており、カピラに比定される。しかし彼の実在を疑う学者も多く、また実在としても複数の人物を想定することになろう。
[村上真完 2018年5月21日]
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