精選版 日本国語大辞典 「さえ」の意味・読み・例文・類語
さえ さへ
① 既に存在する事実の上に、さらに同類の事実が添加する意を表わす。…まで(も)。→語誌(2)。
※枕(10C終)二五「寝おきてあぶる湯は、はらだたしうさへぞおぼゆる」
② 条件句に用いられて「せめて…だけでも」の意を表わす。→語誌(3)。
※新古今(1205)雑下・一七三八「命さへあらば見つべき身の果を偲ばん人の無きぞかなしき〈和泉式部〉」
③ 程度のはなはだしいものをあげて他を類推させる意を表わす。→語誌(4)。
[語誌](1)形容詞連用形をうける例は中古に現われる。
(2)語源は、「さへ(さえ)」の本源的な用法①の意味から考えて「添へ(添え)」であろうと言われる。
(3)「さえ」と類義の副助詞に「だに」「すら」がある。この三語は上代それぞれ独自の意義を有していたが、徐々に変遷し(「すら」「だに」の項参照)、結果的に「さえ」一語に収斂する。②の意義は本来「だに」の意義であったもの、③の意義は本来「すら」の意義であったものであり、いったんは「だに」がとってかわるが、更に「さえ」にとってかわられ、室町期には「さえ」が「だに」「すら」の意をも含む三つの意義をあわせもつことになる。
(4)ところが、「さえ」の本義である①は、たとえば「百二十句本平家‐一〇」で「又様をさへ替へけんことのむざんさよ」とあるのが、「天草本平家‐四」では「マタ サマヲ マデ カエタ コトノ ムザンサヨ」となるように、「まで(も)」にとってかわられ、近世以降は「さえ」本来の意①は一般に用いられなくなる。つまり、現代語の「さえ」は、上代の「すら」「だに」の意義を表わしているということになる。
(2)語源は、「さへ(さえ)」の本源的な用法①の意味から考えて「添へ(添え)」であろうと言われる。
(3)「さえ」と類義の副助詞に「だに」「すら」がある。この三語は上代それぞれ独自の意義を有していたが、徐々に変遷し(「すら」「だに」の項参照)、結果的に「さえ」一語に収斂する。②の意義は本来「だに」の意義であったもの、③の意義は本来「すら」の意義であったものであり、いったんは「だに」がとってかわるが、更に「さえ」にとってかわられ、室町期には「さえ」が「だに」「すら」の意をも含む三つの意義をあわせもつことになる。
(4)ところが、「さえ」の本義である①は、たとえば「百二十句本平家‐一〇」で「又様をさへ替へけんことのむざんさよ」とあるのが、「天草本平家‐四」では「マタ サマヲ マデ カエタ コトノ ムザンサヨ」となるように、「まで(も)」にとってかわられ、近世以降は「さえ」本来の意①は一般に用いられなくなる。つまり、現代語の「さえ」は、上代の「すら」「だに」の意義を表わしているということになる。
さえ
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報