締める(読み)シメル

デジタル大辞泉 「締める」の意味・読み・例文・類語

し・める【締める/閉める】

[動マ下一][文]し・む[マ下二]
強く引っ張ったりひねったりして、緩みのないようにする。「三味線の糸を―・める」「元栓を―・める」「ねじを―・める」
長い布やひもなどを巻きつけて、緩まないように固く結ぶ。「帯を―・める」「ネクタイを―・める」
鍵などで固定して動かないようにする。「鍵を―・める」
強く押しつけてしぼる。「ダイズを―・めて油をとる」

㋐(「緊める」とも書く)気持ち・態度などを緊張させる。また、管理を厳しくする。「気を―・めてかかる」「新入部員を―・める」「派を―・める存在」
㋑懲らしめる。とっちめる。「餓鬼大将を一度―・めてやろう」
出費を切り詰める。節約する。「交際費を―・める」「家計を―・める」
物事のまとまったことを祝ってみんなで一緒に手を打ち合わせる。手打ちする。「最後に手を―・めていただきましょう」
(「〆る」とも書く)そこまでを一区切りとして合計する。また、飲食店で会計を頼む。「売り上げを―・める」「いったん―・めてください」
(「〆る」とも書く)あれこれ飲み食いして、終わりの食べ物とする。「鍋料理雑炊で―・めよう」
10 (「〆る」とも書く)塩や酢で魚の身をひきしめる。「サバを酢で―・める」
11 魚の鮮度を保つため、血抜きをする。→活け締め
12 (閉める)あいていた窓や戸などをぴったりとじる。「雨戸を―・める」⇔ける
13 (閉める)その営業業務を終了する。また、廃業する。「店を―・める」「窓口は五時に―・めます」⇔ける
14 取り決める。
胸中残さずうち明けて、評議を―・めむといふ間もあらせず」〈浄・忠臣蔵
15 契りを結ぶ。
「―・めてはなれし身なりしを、また結びかへ行く旅の」〈浮・御前義経記・三〉
じる[用法]
[下接句]勝ってかぶとの緒を締めよ財布のひもを締めるたがを締める手綱を締める手を締める
[類語]締め付ける引き締める閉じる閉ざすふさぐたてる閉め切る畳むふうずるさえぎはば遮断する封鎖する閉鎖する閉塞へいそくする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「締める」の意味・読み・例文・類語

し・める【締・絞・閉・搾】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]し・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. まわりから強く圧力を加える。
    1. (イ) 紐状のものをからだや物のまわりに回してゆるまないように強く引っ張って固定させる。結ぶ。きつく縛る。
      1. [初出の実例]「くわがた打ったる甲(かぶと)の緒しめ」(出典平家物語(13C前)九)
    2. (ロ) 腕、手、脚などを用いて、相手のからだやその一部を強くはさみつける。
      1. [初出の実例]「弟の次郎をば馬手のわきにかいばさみ、ひとしめしめて」(出典:平家物語(13C前)一一)
    3. (ハ) ねじを回して両側から強く押し付け密着させる。
  3. 種子などを強く押しつけて油を絞り出す。
    1. [初出の実例]「アブラヲ ximuru(シムル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  4. 肉や皮を利用するために家畜などを絞め殺す。
    1. [初出の実例]「幸飼て置たうづら一羽、しめて、やき鳥にせふと」(出典:咄本・今歳咄(1773))
  5. 男女が手足をからみ合わせる。強く抱きあう。情交する。
    1. [初出の実例]「まだ夜は夜中、しめて御寝(およ)れよの」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上)
  6. 相手の心をひきつける。
    1. [初出の実例]「とろりとろりとしむる目の、笠のうちよりしむりや、腰が細くなり候よ」(出典:歌謡・松の葉(1703)一・琉球組)
  7. 自分のものにする。
    1. (イ) 取って自分のものとする。
      1. [初出の実例]「年久敷手代根帳を〆(シメ)、銭蔵銀蔵は渡して」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)三)
    2. (ロ) 食べる。食べてしまう。
      1. [初出の実例]「『きゃつ、はつものをしめたな』『ヲヲヨ。おのしたちの口へ這入る物ではない』」(出典:咄本・座笑産(1773)初もの)
  8. 閉じる。閉ざす。
    1. (イ) 開口部をふさぐために戸やふた、幕などを動かす。戸などを動かして窓や出入口をふさぐ。
      1. [初出の実例]「門しめてだまってねたる面白さ〈芭蕉〉 ひらふた金で表がへする〈野坡〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)上)
    2. (ロ) 特に、店の戸をとざして営業をやめる。
  9. 一段落終わらせる。くぎりをつける。締めくくる。
    1. (イ) 話し合いの決着をつける。
      1. [初出の実例]「書置を証拠に此金子請とれと跡先かまはず談合しめ」(出典:浮世草子・本朝二十不孝(1686)二)
    2. (ロ) 会計に一くぎりつけて帳尻を合わせる。総計する。
      1. [初出の実例]「日を〆て見れば年とぞ成にけり〈秋吟〉」(出典:俳諧・正徳乙未歳旦帖(1715))
    3. (ハ) 取引、交渉、工事などの結着を祝って関係者が掛け声とともに一斉に手を打つ。手打式をする。
      1. [初出の実例]「『まるく納まる』『この顔見せ』『目出度一つ、しめべいか』」(出典:歌舞伎・暫(1714))
  10. だらしなくふしだらにならないようにする。
    1. (イ) ゆるんだ気分やふんいきを緊張するようにさせる。ひきしめる。
      1. [初出の実例]「しめつ含(くく)めつせられし、更に及がたし」(出典:申楽談儀(1430)序)
    2. (ロ) 倹約する。節約する。きりつめる。
    3. (ハ) きびしくとがめる。強く責めなじる。
      1. [初出の実例]「ちとしめてくりゃうと親仁(おやじ)ねずに居る」(出典:雑俳・柳多留‐六(1771))
    4. (ニ) 打ちのめす。
      1. [初出の実例]「『以後の見せしめ二人とも、袋だたきにしてやらう』『いや、しめるとは面白い』」(出典:歌舞伎・青砥稿花紅彩画(白浪五人男)(1862)三幕)

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