改める(読み)アラタメル

デジタル大辞泉 「改める」の意味・読み・例文・類語

あらた・める【改める】

[動マ下一][文]あらた・む[マ下二]
新しくする。古いもの、旧来のものを新しいものと入れ替える。「日を―・める」「第一項は次のように―・める」
悪い点、不備な点をよいほうへ変える。改善する。「態度を―・める」「悪習を―・める」
服装や態度をきちんとする。「居ずまいを―・めて拝聴する」
正しいかどうか詳しく調べて確かめる。吟味する。「罪状を―・める」「財布中身を―・める」
[補説]13は「革める」、4は「検める」とも書く。
電話をかけて相手が不在であると「では、改めます」と言う人がいるが、これはおかしい。「では、改めてお電話します(いたします)」と言う方がよい。平成10年代半ば頃からの言い方か。
直す[用法]
[類語]改良改善検査調べる検するけみするえっする点検する検分する吟味する実検する臨検する検閲する査閲する監査するチェックする直す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「改める」の意味・読み・例文・類語

あらた・める【改・革】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]あらた・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 変更を加える。前からあるものを新しいものに取り替える。新しくする。変える。
    1. [初出の実例]「いにしへの野中古道阿良多米波(アラタメは)あらたまらむや野中古道」(出典類聚国史‐七五・歳次六・曲宴・延暦一四年(795)四月一一日)
    2. 「やまひにしづみて返し申し給ひける位を、世の中かはりてまたあらため給はむに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
    3. 「辰盛は通称を他人(たひと)と云って、後(のち)小三郎と改(アラタ)め」(出典:渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉一〇)
  3. 改善する。過失や欠点などを、反省してなおす。よくする。
    1. [初出の実例]「しばし懲(こ)らさむの心にて『しかあらためむ』ともいはず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    2. 「卒尓(そつじ)にし多年の非をあらたむる事もあり」(出典:徒然草(1331頃)一五七)
  4. 威儀をただす。容姿や態度、言葉などをきちんとととのえる。
    1. [初出の実例]「簪(かみさし)を抽き服を革(アラタメ)て」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
    2. 「古人冠を正し、衣装を改し事など、清輔の筆にもとどめ置れしとぞ」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)白川の関)
  5. 取り調べる。検査する。吟味する。
    1. [初出の実例]「西天より伝来せる袈裟、ひさしく漢唐につたはれることをあらためて」(出典:正法眼蔵(1231‐53)伝衣)
    2. 「紙入の中検(アラタ)むれば、果して五十幾円の紙幣(さつ)がばらばらと落ちた」(出典:魔風恋風(1903)〈小杉天外〉前)
  6. 差し止める。禁止する。また、してはならないことをしないように監督する。
    1. [初出の実例]「此女〈略〉、子おろしなりしが、此身すぎ世にあらためられて、今は其むごき事をやめて」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)二)
  7. 官職、所領などをとり上げ、他の人に替わらせる。改易する。
    1. [初出の実例]「所詮禅盛法印依其科、既被御師職之上者」(出典:親元日記‐寛正六年(1465)八月二〇日)
  8. 新しく別の機会をつくる。
    1. [初出の実例]「日をあらためるという手もあるにはあるが」(出典:他人の顔(1964)〈安部公房〉灰色のノート)
  9. ( 他動詞形を使って文の調子をととのえたもの ) =あらたまる(改)
    1. [初出の実例]「月海にうつりて、昼のながめ又あらたむ」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)松島)

改めるの補助注記

「あらた(新)」から派生したもの。アラタは訓読特有の語であるが、アラタムは平安時代和文にも広く用いられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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